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2018年2月24日土曜日

ASの靭帯骨棘(syndesmophytes)を評価する方法として、low dose CTを用いたスコアリングシステム = the CT Syndesmophyte Score (CTSS)の有用性


de Bruin F, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:371–377. doi:10.1136/annrheumdis-2017-212553

背景

  • ASは、靭帯骨棘(syndesmophytes)を形成する疾患である
    • syndesmophytesの評価は、頚椎・腰椎の側面レントゲンを撮影し、mSASSSにて評価する
      • しかしながら、側面レントゲンでは、椎体のうち前方の椎体角しか評価できず、胸椎に関しては他の軟部組織陰影が存在するため全ての胸椎を正確に評価することができない
      • さらに、C7は肩関節のため見えないことも多い
      • 撮影者など撮影方法によっても感度が異なってしまう
    • MRIにて全脊椎を撮影する方法もある
      •  しかし、calicificationに関連するsignalがなく、線維輪と靭帯が同じ程度のsignalを示すため、骨形成の評価にはあまり適していない
    • CTが、骨形成には、最も適切な評価方法である
      • しかしながら、被曝の問題もありフォローには適していない
      • 被曝に対しては、low-dose CT(ldCT)を使用することで克服できるかもしれない
      • 以前に、CTを使用して、コンピューターのアルゴリズムに基づいてASのsyndesmophytesを評価した報告もあったが、これらは腰椎のみを対象としたアルゴリズムであり、高解像度CTを使用しているため被曝量も多いものだったため、現実的な方法ではなかった
  • そのため、今回は、ldCTを使用して、AS患者の脊椎におけるsyndesmophytesを評価するためのスコアリング(the CT Syndesmophyte Score [CTSS] )を開発することを目的とした

方法
  • AS患者を対象とした、2年間の観察研究である、the sensitive imaging in ankylosing spondylitis (SIAS) study のデータを使用した
  • 60人の患者が対象
    • 30人:オランダ人
    • 30人 :ドイツ人
  • 組み入れ基準
    • mNY基準を満たす
    • 頚椎・腰椎側面レントゲンにて、syndesmophytesを 1 - 18 認める
    • 全脊椎MRI STIRにて、1個以上の炎症性病変を認める
    • 治療内容、疾患活動性は問わない
  • 頚椎・腰椎側面レントゲンと全脊椎ldCTはbaselineと2年後に撮影する
    • 東芝の64列CTを使用

  • the CT Syndesmophyte Score [CTSS] について
    • figure1A
      • 矢状断では、椎体の前方・後方を評価
      • 冠状断では、左方・右方を評価
    • figure1B
      • vertebral unit(VU)は、椎体の下半分・椎体間・椎体の上半分で構成される
      • C2下縁~S1上縁まで、23個のVUがある

      • figure1C
        • syndesmophytesを伴うVUの模式図。
        • グレーの点線は椎体間の中間を示しており、左側のsyndesmophytesのように中間に達しない場合は score 1, 右側のように中間を超える場合には score 2 , 椎体間をまたぐ場合は score 3 とする
        • 1個のVUに、8つの評価部位(quadrants)があり(下縁の左右、上縁の左右の4つが、冠状断と矢状断でそれぞれある)、評価部位ごとに最大の score が 3 であるために、1人の患者における最大 score = 552(3×8×23 VU)
      • figure1D(冠状断)
        • score 3:T11-12のように(白矢印)、椎体間をまたぐsyndesmophytesの場合は、T11の右側下縁椎体角とT12の右側上縁椎体角にそれぞれ score 3 とする。
        • score 2:T12-L1のように(白点状矢印)、椎体間の中間を超えてT12からsyndesmophytesを認める場合は、T12の右側下縁椎体角は score 2 とする。
        • score 1:左側のT12-L1のように(白矢頭)、椎体間の中間を超えずにsyndesmophytesを認める場合は、T12の左側下縁椎体角は score 1とする。
      • figure1E(矢状断)
        • 冠状断と同様に評価する
      • 上記スコアを、2人の読影者がそれぞれの患者を他の情報を盲検した状態で読影する



    結果

    • 60症例のうち、ldCTを撮影していない(n=9)、画像の質が不良など理由で除外され、最終的には49症例を解析
      • 合計 18 032ヶ所 (23 VUs * 8 quadrants * 49 patients * 2 timepoints)を評価した
    • baseline characteristics(table1)
      • 平均 50才
      • 男性 84%
      • HLA-B27陽性 88%
      • レントゲンによるsyndesmophytesの数
        • 平均 5.7 (SD 4.4)[読影者1]
        • 平均 6.3 (SD 5.1)[読影者2]





    • 各椎体と全脊椎における、baselineと2年後におけるそれぞれの平均CTSSスコアと、2年間におけるΔCTSSスコア(table2)
      • 読影者1と読影者2の間でスコアに有意差なし(ICCにて評価)
      • 全脊椎における、 baseline CTSS 中央値
        • 127 (range 11– 428) [読影者1]
      • 全脊椎における、 2年間の Δ CTSS 中央値
        • 10 (range −11 to 96)[読影者1]
      • 脊椎別にみると、胸椎が最もスコアが高く、構造破壊・骨増殖が強かった





    • 全脊椎のnet changeで評価すると、半数以上の患者が2年間で進行していると判断された
      • 61% [読影者1]
      • 76% [読影者2]
    • 脊椎別にみると、胸椎が、進行性の変化を示した患者の割合が最も多かった
      • 胸椎 63% > 腰椎 55% > 頚椎 49% [読影者1]





    • score 1, 2, 3をつけた椎体の分布(figure2)
      • 読影者間で同様
      • A:baselineにおけるscoreの分布
        • score 3:胸椎に多い
          • 胸椎のVUのうち、45%はscore 3だった
        • score 2:腰椎に多い
      • B:進行性の変化を示したVUの割合
        • 胸椎が、進行性の変化を示した割合が最も多かった



    • baselineにおいて、VUのうち、前方・後方・左方・右方における、scoreの分布(figure3)
      • どの方位(前方・後方・左方・右方)においても、胸椎が最もsyndesmophytesが多かった
      • その中でも最も多いのは、胸椎右方がsyndesmophytesが多かった


    まとめ
    • ASを対象とし、ldCTによってsyndesmophytesを評価する新しいスコアリングシステムであるCTSSの結果を示した最初の研究である
    • 読影者間で結果がほぼ一致する結果となった
      • 全脊椎のICC = 0.99, 脊椎別にみても ICC = 0.97–0.98
      • score分布も読影者間で同様だった
    • 最も構造変化が進んでいたのは胸椎であり、3人のうち2人の割合でなんらかの進行性変化を認めた
    • ldCTでsyndesmophytesを評価する利点は、レントゲンと異なり、妨害しうる構造物(軟部組織など)がないということである
      • そして、今回、ldCTにて最も進行性の変化割合が多かった胸椎が、レントゲンでは最も評価しにくい部位である
      • そのため、ldCTで胸椎を評価するのは非常に重要である
      • そして、ldCTでは、レントゲンと異なり、椎間関節や仙腸関節も評価できる
        • 椎間関節の評価の重要性については筆者らが研究中であるが、椎間関節とsyndesmophytesはそれぞれ別々に評価することができるように今回のスコアには含めなかった
      • mSASSSでは、syndesmophytesは有りか無しかのみで評価しているが、CTSSでは椎体間の50%を超えるか超えないかも評価しており、より詳細にsyndesmophytesの進行を評価できる
      • syndesmophytesの幅も評価に入れることを試みたが、これは再現性に乏しかった
    • 今後、構造変化の評価について、側面レントゲンとldCTを直接比較した研究が必要である

    2018年1月4日木曜日

    Bechet病の病態:MHC-1-opathy

    ①NATURE REVIEWS | RHEUMATOLOGY
    Behçet syndrome: a contemporary view
    Hasan Yazici1, Emire Seyahi2, Gulen Hatemi2 and Yusuf Yazici3 

    doi:10.1038/nrrheum.2017.208 

    Published online 3 Jan 2018 

    ②McGonagle, D., Aydin, S. Z., Gül, A., Mahr, A. & Direskeneli, H. ‘MHC-I-opathy’ — unified concept for spondyloarthritis and Behçet disease. Nat. Rev. Rheumatol. 11, 731–740 (2015).


    • Bechet病は、etiologyがまだわかっていない
    • 地域による有病率の違いや臨床症状によっていくつかのサブセットに分かれそうだというデータとして蓄積されてきているが、それによってむしろ、Bechet病の理解がより難しいものだとわかってきた。
      • Bechet病というよりも、症状の多様性から、"Bechet syndrome"の方が適切かもしれない。



    診断、鑑別疾患
    • Bechet病の所見(左)、その所見における鑑別疾患(中)、Bechet病でのその所見の特徴(右)としては、下のものがあげられる

    • 診断の際には、the International StudyGroup Criteria for Behçet Disease (ISBD) criteria という分類基準がよく参考にされる
      • しかし、これについても、地域によって有病率が異なっていたり(この基準を作成する際に解析された症例の80%は東アジアからの症例)、コントロール群が他の雑多な膠原病疾患でありChron病や潰瘍性大腸炎でないため炎症性腸疾患との鑑別が困難である、などの問題点がある
      • そのため、The International Criteria for Behçet's Disease (ICBD)が新しく2013年に作成された(下図)が、これもまた、地域による有病率を考慮して作成されたものではない


    • Bechet病で見られる所見も、Bechet病を強く示唆する項目と、弱い項目に分かれる

    • 強い項目
      • 眼病変
        • 眼科医が診察すれば他の所見がなくともBechet病によるものだと鑑別できる
      • 再発性の陰部潰瘍
        • 最もBechet病を強く示唆する所見
        • 陰嚢、陰唇に多い。
        • 口腔内潰瘍に類似するが、それよりも深く、大きく、治癒までに時間がかかる。
        • 男性のほうが重度であり、Bechet病患者ではテストステロンが好中球活性化を増強するというデータもある。
        • 潰瘍瘢痕も強くBechet病を示唆する
      • 血管病変
        • 45才以下の男性における肺、末梢血管の動脈瘤は強くBechet病を示唆する

      • 脳実質病変
        • 脳幹と大脳基底核の病変、脳幹萎縮

    • 弱い項目
      • 消化管病変
        • 炎症性腸疾患と区別するのが難しく、IBD患者の10%程度で針反応が陽性というデータもある
        • トルコ、日本、イランのBechet病の症例では、risk lociがCrohn病と共通であった
        • そのため、消化管病変はあくまでも弱い所見である
      • 他の弱い項目は、地域によっても異なる

    • Bechet病は2つのサブセットに分けることができる
      • ざ瘡・関節炎・付着部炎のグループ
        • seronegative SpAにBechet病を含むのは、上記のような共通する所見があるためである
      • 血管病変のグループ
        • 画像での評価が重要である
        • 逆に、未診断のBechet病疑いで喀血や画像で血管病変の所見があれば、Bechet病を強く示唆する
    • 病変による治療反応性の違いが、病態の検討に参考になる
      • コルヒチン:関節炎、結節性紅斑には有効。皮膚・粘膜潰瘍にはあまり効かない。
      • サリドマイド:口腔内潰瘍には有効。結節性紅斑は、むしろ増悪させる可能性あり。
      • エターネルセプト:口腔内潰瘍には著効。針反応には無効。


    etiology and pathogenesis
    • Streptococcus. SppやMycobacterium tuberculosisのHSPに対するT細胞の反応性、内皮細胞・エノラーゼ・retinal S-antigenに対する自己抗体の存在から、自己免疫疾患と考えられてきた
      • しかしながら、組織障害には関与しているものの、直接的な病態ではないと思われる
      • 性差や他の自己免疫疾患の併存がないことも、他の自己免疫疾患と異なる
      • 興味深いことに、Bechet病において、ヒトとマウスのneurofibrilに対する抗体が、Streptococcus. SppやMycobacterium tuberculosisのHSPと交差反応を示すのがわかり、再びBechet病における自己免疫疾患の要素が注目されている
    • 自己炎症性疾患の要素もある
      • pro-IL-1βが、眼房水も含め活動性Bechet病では増加している
      • MEFV遺伝子のvariant、TLRsをコードする遺伝子の変異も一部のBechet病患者で報告されている
        • しかしながら、FMFのようなmonogenicな疾患であり発症も小児期であり血管病変は稀であるが、Bechet病やCrohn病はpolygenicであり発症も成人が多い。
        • 実際に、IL-1β阻害は、これまでのところBechet病においては有効ではないようである(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01965145)
    • 上記のように、より大きくこの疾患を捉えるために、Bechet "syndrome"というほうが適切であろう
      • MHC-1-opathyによるBechet "syndrome"とすると、より包括的に捉えられるかもしれない

    MHC-1-opathyの病態
    • 当初、SpAにおいてHLA-B27キャリアが多いことがわかると、Bechet病もこれに含まれると考えられていたが、すぐにHLA-B51キャリアがBechet病に多く体軸性関節炎の患者では多くないことがわかり、SpAからBechet病が独立した
      • しかし、下の結果から、最近、この独立させる考えが正しいのか、再度検討する必要が出てきた
        • ASとPsAにおけるIL-10、IL-23-IL-17経路などの炎症反応経路がBechet病でも関係している
        • ざ瘡・関節炎を認めるBechet病では付着部炎も多く有しており、SpAと臨床所見がoverlapしている
    • HLA-B51はMHC class 1 alleleである
      • そして、HLA-B51は、endoplasmic reticulum aminopeptidase 1(MHC class 1を介してeffector cellに提示する抗原ペプチドを準備する器官であるendoplasmic reticulumに存在する分子)をコードする遺伝子であるERAP1とepistaticであるとわかっている
      • 重要なことに、ERAP1の多型は、PsAとASにおける感受性遺伝子であることも報告されている
        • すなわち、ペプチド-HLA相互作用が病態において重要ということである


    下図のeでは、HLA-B27キャリアの場合、MHC class1が過剰発現してmisfoldingとなり、ER stressとun-folded protein responseを引き起こし、IL-23やIFNを産生する

    (NATURE REVIEWS | IMMUNOLOGY VOLUME 12 | AUGUST 2012 | 573 より引用)



    Martinon, F. & Aksentijevich, I. Nat. Rev. Rheumatol. 11, 11–20 (2015)より引用 
    protein misfoldingによるinflammation signal pathwaysについて
    下図の様に、3つの経路がある

    下の図は、ERAP、proteasome、MHC class1の関係を示している。
    ERAPは、proteasomeと共に、polypeptideを処理して、細胞表面のMHC class1 に抗原提示用のペプチドを供給する。
    ERAP、proteasomeの機能が低下することによって、本来MHC class1に供給されるpolypeptideが細胞質 or ER内のいずれかに蓄積し、下流のMHC class 1からの細胞障害性T細胞やサイトカインへの刺激が影響される。

    • Bechet病、AS、PsAが、MHC class 1 をコードしているHLA遺伝子のvariantsと関連しており、これらの遺伝子がそのalleleの種類によってdisease-promoting (AS) もしくはdisease-preventing (Behçet syndrome)に作用するのか異なるのは、興味深いことである
      • これによって、"MHC-1-opathy"という概念ができた
        • HLA遺伝子alleleによって出現する臓器病変が異なる(下図)
          • 同じBechet病、同じPsAでも症状、臓器病変が異なるのは、背景にあるHLA alleleの違い原因かもしれない

        • MHC-1-opathyでは、HLA遺伝子などに加え、組織特異的な要因も関与している



          • 組織特異的因子に関しては、これらの疾患ではその部位に負荷がかかることが自然免疫を惹起するのに重要であることは臨床所見から明らかである
            • ASやBechet病における付着部炎
            • Bechet病における針反応
            • PsAにおける皮膚病変
          • そして、その組織特異的な因子とは、(MHC-1に関係していることを考慮すると)その組織ごとの機械的ストレスや蛋白のturnoverが関与しているのだろう(下図)
            • 前部ぶどう膜も、毛様体と虹彩が持続的に運動しており、機械的ストレスが多くかかっている部位である。人工レンズに変更すると炎症が改善することから、ぶどう膜から眼全体へ炎症反応が波及しているのだろう。
            • 皮膚は機械的microdamage+皮膚常在菌
            • 口腔内潰瘍はBechet病において噛むなどの機械的刺激 + cathelicidin とneutrophil defensins 1 and 3 (HNP­1 and HNP­3)  が増加 + 口腔内の菌(Bechet病患者では口腔内細菌の多様性が健常人と比べて少ないことがわかっているが、この変化が結果なのか原因なのかはわかっていない)
            • 血管病変に関しては、弁膜症や大動脈基部では機械的ストレスが当然かかっている
            • 消化管に関しては、小腸や口腔内の上皮細胞に発現するfucosyltransferase 2をコードしているFUT2遺伝子の変異がBechet病、Crohn病で報告されている。fucosyltransferase 2の酵素反応によって形成される上皮のα1, 2-fucose分子は、消化管細菌叢の形成や病原性微生物からのバリアとして作用するため、この遺伝子に変異があると消化管バリアが障害されることがわかっている
              • 上記のこれらがMHC-1-opathyにおける自然免疫反応の惹起に関係しているのだろう


      • MHC-alleleがこれらの疾患の重症度とも関連していることがわかっている
        • なお、高安動脈炎も、HLA-B52が重症化&早期発症のrisk alleleとして知られており、MHC-1が重症度と関連することを裏付けている

      • MHC 1 opathyと自己免疫疾患の違い(下の表)



      MHC-1-opathyの病態における免疫の役割
      • 疾患を発症させるというよりも惹起された炎症を促進するものであり、自然免疫の方がより重要である
      • ASやPsAでは、自然免疫のほうが病態の中心に近い。
        • これらでは、細胞障害性T細胞が獲得免疫の要素を担い、MHC class1に提示された抗原がTh1とTh17を活性化させる
      • しかしながら、Bechet病では異なる病態も関与している。
        • HLA-B51にコードされたMHCを有する患者は、保護的なERAP1多型を有しておらず、これによって組織障害が生じる。そしてこの機序は細胞障害性T細胞に依存したものではなく、主にNK細胞に対して抗原提示を担っている。また、HLA-B51を有しているのみでは、サイトカインの偏りは生じない。
      • Bechet病患者のCD8陽性IL-17産生細胞障害性T細胞(Tc17)は、IL-8やGM-CSFを産生し、好中球を活性化する。すなわち、Tc17が自然免疫と獲得免疫の橋渡しをしている。

      • バリアの機能を有する局所(皮膚や腸など)でlymphoid stress surveillanceを行なっているリンパ球は、IL-23-IL17経路を利用している。すなわち、IL-23-IL17経路は獲得免疫のみではなく、Bechet病やSpAにおける組織特異的な自然免疫の反応にも関与している
        • この反応には、Tc17のみではなく、NKT (natural killer T) cells, γδ T cells, invariant NKT cells、type 3 ILCs など幅広く関与している
        • 特に、現在、ILCによる皮膚、消化管、血管へのMHCとは独立した機能が注目されてきている


      • Bechet病において、MHC-1 opathy以外に、サイトカインをどのように制御しているのかも重要である
        • Bechet病では、JAK-STATシグナルがCD4陽性T細胞、CD4陽性において増加していることがわかっている。
          • 筆者は、この増加は、MHC-2関連自己免疫疾患でのTh2活性化と異なり、Th1 & Th17 type サイトカイン(IL-2, IFNγ、IL-6、IL-17、IL-23)の活性を反映していると考えている
      Curr Opin Rheumatol 2014, 26:56 – 63より引用 


      Epigenetics
      • Bechet病におけるepigeneticsのデータが蓄積されてきている
        • 細胞骨格やCD4陽性T細胞の細胞接着に関連する遺伝子のメチル化が異なることがわかっている
        • そして、この変化は、治療によって正常化するため、biomarkerとなる可能性がある
      • micro RNAsに関しても注目されてきている

      治療
      • 眼病変
        • 免疫抑制剤でダメならIFNα or TNFi
          • このいずれかが優れているのかは、head-to-headで試験を行なって評価する必要がある
        • IL-1, IL-6, IL-17に対する抗体製剤も試されてきた
          • gevokizumab(IL-1抗体), secukinumab(IL-17抗体)はいずれも試験は失敗に終わっている
          • TCZは、ケースレポートのsystematic reviewでは、IFNα or IFXに治療抵抗性の場合に有効かもしれないという結果だった
      • 動脈瘤
        • 高用量ステロイド+CYC monthly → AZA ± 手術
        • 上記でダメならTNFi
      • DVT
        • expert opinionで免疫抑制剤(AZA or CyA)使用すべき
        • 抗凝固療法はケースコントロール研究で再発予防にメリットなかったためcontroversialであるが、さらなる検証が必要だろう
      • CNS
        • 高用量ステロイド+免疫抑制剤(AZAなど)or  TNFi
        • CyAは神経毒性があるため禁忌
        • ケースシリーズでは、IL-6阻害は有望(そのケースでは髄液IL-6高値)な結果
      • 消化管
        • 軽症なら5-ASA製剤
        • 中等度以上ならAZA、難治性ならTNFi、サリドマイドも考慮
      • 造血幹細胞移植も有効な成績だったが、GVHDや感染症による死亡もあった


      2018年1月2日火曜日

      遺伝子による関節炎の分類(成人、小児)


      ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
      Vol. 70, No. 1, January 2018, pp 7
      –17

      背景

      • 成人と小児のリウマチ膠原病疾患は類似しており、同じ様に検査をして同じ様に治療するが、同じ疾患を見ることはない。
      • 成人の関節炎は多くはRAであり、seropositiveとseronegativeに分かれる。RA以外には、SpAがある。
      • 小児の関節炎には、ILAR(International League of Associations for Rheumatology)の7つのサブカテゴリーがある。それにはJIAが含まれ、JIAは6つに分かれる。それに加えて、7つ目には未分類JIAがある。



      ※小児慢性特定疾患難病情報センターのサイトより


      • これらの用語は、研究にリクルートしたりアルゴリズムに沿った診療を行うのに便利であり、小児JIAのように時系列でその疾患を追うことができる
      • しかしながら、小児の患者が成長して成人のリウマチ科医がみたときに、違う名前であるが同じ疾患だと判明した際に、やはり小児と成人の領域は共同して診療していく必要性があることを感じる
      • 幸いなことに、ここ最近はgeneticsによって、これらの疾患のspectrumのpatternを特定できるようになってきた
      • 今回のreviewでは、これらの研究結果を統合して、関節炎の"big picture"にしてみようかと思う。それによって、用語や領域を超えて、医師がどうやってこれらの疾患に向き合っていくかのヒントになれば良い

      The limits of eminence-based classification
      • 歴史的には、関節炎は臨床所見によって分類されてきており、専門家の意見に基づいた分類をeminence-based medicineと呼ぶこともある
      • eminence-based medicineにも問題がある
        • patternによる分類には限界があり、その最たるものがRAである
          • RFとACPAsによってseropositiveとseronegativeに分かれるが、臨床所見はoverlapしており、これらを臨床的にはっきりと区別するのは困難である
          • しかしながら、これらの違いは遺伝的な違い、関節炎への免疫複合体や補体の関与、滑膜のT細胞populationによって異なるものと考えられる。すなわち、臨床所見が同じだからといって病態も同じかというとそうではないことを示している、良い例がRAである
        • 他の問題としては、医師は、自分がみているものが全てだと考えてしまうことである
          • JIAと成人関節炎の境界線は16歳という年齢であり、病態ではないのである

      The genetics revolution
      • 遺伝学の発展によって、いくつかのclinical phenotypeが共通の遺伝的背景を有することがわかってきた
      • 結果として生じてくるこれまでの身体所見や検査所見とは異なり、遺伝子は病気に先行しているため、原因の解明に繋がる可能性がある
      • 関節炎と遺伝子の関係は、T細胞への抗原提示に関与するHLA領域から始まった
        • RAとHLA-DRB1*04、強直性脊椎炎とHLA-B*27などである
      • GWASによって、発症した人と発症していない人を比較することで、疾患のリスクとなる多くの遺伝子多型が判明した
      • それによって、ASとIL-17経路のように治療に繋がった例もあるが、多くは疾患とその多型の関係は曖昧である
        • 例として、RAにおいて、蛋白の配列が変わってしまうvariantは、リスクとされたハプロタイプの16%のみである
        • そして、GWASでヒットした遺伝子が疾患に与えるリスクはそこまで大きくなく、RAではリスクとなるHLAキャリアのodds ratio(OR)はせいぜい2.8程度であり、JIAに至ってはnon-HLA部位のリスクキャリアのORは1.1-1.4である
      • しかしながら、GWASでは頻度の高い遺伝子多型のみしか調べていない
        • 進化圧(evolutionally pressure)により、頻度の高い多型は、比較的、機能的な影響は小さく、それゆえ疾患への影響も小さいが、その影響の小ささがそのまま遺伝子の重要性を反映しているとも限らない
          • 例としては、HMGCR近傍のnon-coding多型は、コレステロール値への影響は小さいが、スタチンによる治療へ繋がった
          • 同様に、RAではIL-6やCTLA-4/CD28を含む治療ターゲットを明らかにした
        • また、頻度の低いものは評価していないので、それが大きな影響を有している可能性はある
        • そして、遺伝子のvariantが判明しても、それがそのように疾患の発症に関与しているのかも重要である

      Using genetics to help define categories of arthritis
      • Figure1がそれぞれの疾患とリスク遺伝子の関連を示している。
        • AOSDはデータがほぼないが、systemic JIAと臨床所見、IL-6とIL-18増加、末梢血の遺伝子発現signatureが類似しているため、同じStill's spectrumに入ると思われる
      • これによって、疾患の間で共通しているものが見えてくる。
        • しかし、当然、一卵性双生児が両者とも発症する確率は低い(ACPA-positive RA:16%、JIA:25%)ため、遺伝子が全てではない




      • 小児と成人の違いは、発症年齢が違うということであり、これは遺伝子要因と環境要因の比率が発症年齢によって変わってくるということであろう
        • すなわち、同じ疾患でも、40歳で発症する場合と70歳で発症する場合には異なる遺伝子背景を有していると考えられる
      • seropositive RAとRF positive polyarticular JIA(childhood-onset RA, or CORAとも呼ぶ)は、シトルリン化ペプチドを提示しやすいHLA allelesに強く関連している
        • seropositive関節炎は非常に年齢の低い小児には起こりにくく(6歳以下には、むしろRAと関連のあるHLA-DRB1 allelesは関節炎に対して保護的に働く)、JIAの特徴である慢性前部ぶどう膜炎もこのpopulationには起こることは稀であり、drug-free remissionも難しいことも共通している
        • 関節炎の分布なども類似しており、この2疾患は同じclusterにあることが強く示唆される
      • seronegative RA、seronegative oligoarticular(発症後半年間における罹患関節数 < 5) & polyarticular JIA(発症後半年間における罹患関節数 ≧ 5) 
        • 末梢血の遺伝子発現signatureとHLAは、oligo/polyによって分かれるのではなく、発症年齢によって分かれる(6歳未満 or 6歳以上)ため、seronegative JIAは罹患関節炎の数に関係なく"polygoJIA"というほうが適切であるという学者もいる
        • 少なくともHLAに関しては、これらseronegative JIAと、psoriatic JIA、enthesitis related arthritis(ERA)は遺伝子的に多少異なっており、RF positive polyarticular JIAは明らかに異なっている

      ○=遺伝子による分類、□=ILAR分類






      2018年1月1日月曜日

      ASに対するTNFiによる構造的進行の抑制効果:スイスの10年間のコホートより

      Molnar C, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:63–69.
        

      背景
      • AS(強直性脊椎炎)において、疾患活動性と将来の構造的進行の関連は示されてきたが、TNFiによる炎症抑制が構造的進行を抑制するかは示されていない
      • 3つのopen-labelのRCT試験では、ASに対してTNFiを2年間使用したが、これまでのhistorical cohortでのnon-biological treatmentと比較して構造的進行を有意に抑制することは示せなかった
        • しかしながら、観察研究では、TNFi治療によって体軸性病変の進行リスクが低下したというデータもある
      • 今回の試験では、10年間において画像フォローを行い、TNFiと構造的進行の関連を調べた

      方法
      • 臨床的にaxSpAと診断した、スイスのコホートであるSwiss Clinical Quality Management (SCQM) cohort を使用
        • 2年ごとに頸椎を含む脊椎の画像をフォロー
      • 今回は、上記コホートのうち、mNY criteriaを満たした症例を対象とした
      • modified Stoke Ankylosing Spondylitis Spine Score(mSASSS) にて構造的進行を評価
        • 2年間において、少なくとも2 unit以上の増加を構造的進行と定義
        • 読影は、それぞれ他のデータは盲検化された2人による

      ※mSASSS(Ann Rheum Dis 2005;64:127–9. )
      頚椎(第二頚椎下位から第一胸椎上位まで)と腰椎(第十二胸椎下位から第一仙骨上位まで)の椎骨間関節について、下の図のように0-3の4段階でスコア化(合計0-72)。スコアが高いほど骨の変化が進行している状態を示す。

      結果
      • 上記コホートにおいて、432人のAS患者が少なくとも1回は2年間のintervalをおいてレントゲンを評価され、解析対象となった
      • baseline(最初のX線撮影時) characteristics(table1)
        • HLA-B27陽性:80.6%
        • 平均年齢:40.3歳
        • 有症状期間:13.8年
        • 疾患活動性
          • BASDAI:4.2
          • ASDAS:2.8
          • CRP:0.8mg/dL
        • baselineの構造変化
          • mSASSS:1.0
          • syndesmophytesあり:34.3%
        • BMI > 25:45.1%
        • NSAIDs使用中:83.9%
        • TNFiに関して
          • 現在も使用中:37.7%
          • 以前に使用歴あり:43.1%
          • 平均投与年数:2.1年
        • 喫煙者:38.4%


      • 平均ΔmSASSS(2年間):0.9
      • 構造的進行あり(2年間でΔmSASSS ≧ 2 units)に関する多変量解析(figure1A)
        • TNFi使用歴あり(過去〜現在):OR 0.50(95% CI 0.28 to 0.88)
        • baseline mSASSS:OR 1.06(95%CI 1.04 to 1.09)
        • 男性:OR 2.16(95%CI 1.09 to 4.30)

      • 2年間で新規のsyndesmophyte ≧ 1ヶ所 に関する多変量解析(figure1B)
        • TNFi使用歴あり(過去〜現在):OR 0.55(95% CI 0.33 to 0.94)
      • 以下は、構造的進行の有意なリスクにはならず
        • NSAIDs
        • 喫煙歴
        • HLA-B27
        • 末梢関節炎の有無
        • BMI
        • 運動療法の有無


      • TNFiによる構造的進行のリスク低下は、治療開始前のASDASで調整しても、有意であった(table2)



      • TNFiの使用方法をいろいろ変えて解析(table3)
        • より長期間使用している方がリスク低下が大きかった
          • 4年以下 vs. 4年以上(model3)
        • 画像評価のintervalの間にTNFiを開始しても、構造的進行の抑制は有意ではなかった(model4)



      • TNFiの使用によって有意にASDASでの疾患活動性は低下した
        • −0.96 units, 95% CI −1.15 to −0.77
      • GEE modelによって、構造的進行のリスクに関して、経過による疾患活動性の変化で調整して解析(table4)
        • ASDASがより高いと、構造的進行のリスクも増加
          • OR 1.39, 95%CI 1.06 to 1.81
        • TNFi使用歴は、構造的進行のリスク低下を有意に下げなかった
          • OR 0.61, 95%CI 0.34 to 1.08, p=0.09


      • TNFi使用歴ありの群を、ASDASによってグループ分けし、mSASSSを評価(figure2)
      • TNFi治療によるresponder(画像的評価の時点でASDAS ≦ 2.1)、non-responder(画像的評価の時点でASDAS > 2.1)と定義してmSASSSを解析
        • responderのほうが有意に構造的進行が抑制された
          • 平均ΔmSASSS:"responder" 0.31 vs. "non-responder" 1.45 units 
        • inactive disease status(ASDAS ≦ 1.3)を治療開始してから2年後の画像的評価の時点で達成した場合、構造的進行はほぼ完全に抑制された
          • 平均ΔmSASSS:"inactive disease status" 0.01 vs. "2.1 > ASDAS > 1.3" 0.52 units



      • figure2と同じ様に、ASDASの代わりにCRPを使用してmSASSSの経過を層別化したが、ASDASのほうがよりはっきりと分かれた



      まとめ
      • 今回の長期間の解析によって、TNFiが、ASにおける構造的進行を抑制(mSASSS、新規のsyndesmophyte formation)することが示された
        • しかしながら、TNFiによる直接的な構造的進行の抑制は有意ではなく、あくまでも今回の解析ではTNFiによって疾患活動性を低下させることでもたらされていた
        • そして、TNFi使用期間も重要であることがわかった
          • table3のmodel4では、画像評価のintervalの間に始めても有意とはならなかった(今回のintervalの平均=2.1年)
          • すなわち、構造的進行を抑制するには、少なくとも2年間以上は炎症を抑制する必要があるだろう
        • ASDAS ≦ 1.3とinactive disease statusを達成した場合には、ほぼ完全に構造的進行は抑制された
          • 2016 ASAS-EULAR recommendationsではT2Tが推奨されたが、その具体的な目標値は示されていなかった。T2Tを行う場合には、ASDAS 1.3 がよいかもしれない

      • NSAIDs単独の構造的進行抑制は、議論の余地がある
        • 既報のRCTでは、特にCRP陽性群で、セレコキシブ屯用 vs. セレコキシブ定時使用において、有意に定時使用群が構造的進行を抑制した
        • しかしながら、同様のデザインにおける最近の報告では、ジクロフェナクでは有意差を示さなかった。いくつかの観察研究では、むしろ反対の結果が出ていることもある。
        • 今回の試験でも、NSAIDsは構造的進行を抑制しなかった(しかしながらどの程度NSAIDsを使用していたのかまでは情報を得ていない)
      • 他には、男性、baselineのmSASSSが、構造的進行のリスク因子だった
      • 人種間、TNFi製剤間の違いは考慮されていない

      2017年12月12日火曜日

      体軸性脊椎関節炎と末梢性脊椎関節炎(主にPsA)に対するT2T:2017 recommendation


      Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:3–17.  


      ※axSpAに関する2016 EULAR-ACR recommendationは既述

      ※PsAに関する評価項目について

      • PASDAS, GRACE, CPDAIをMDA criteriaの代わりにTICOPA studyに当てはめたらどうなるか、という試験はこちら
      • 赤が含まれていない項目、緑が含まれている項目




      DAPSA score


      MDA Criteria 
      – GRAPPA [Ann Rheum Dis. 2010 Jan;69(1):48-53.

      次の基準の7(臨床試験で検証)のうち5つを満たす場合は、MDAを有すると分類 
      1. 圧痛関節数 ≤ 1
      2. 腫脹関節数 ≤ 1
      3. PASI ≤ 1 または BSA ≤ 3 %
      4. 患者疼痛 VAS ≤ 15 mm
      5. 患者全般疾患活動性 VAS ≤ 20 mm
      6. HAQスコア ≤ 0.5
      7. 腱付着部炎箇所 ≤ 1
      • このMDA基準は、ランダム化比較試験と観察コホートで検証され、12ヶ月以上のMDAを達成した患者では、関節破壊の進行の有意な減少を示した
        • Arthritis Care Res (Hoboken). 2010 Jul;62(7):970-6. 



      疾患活動性の複合評価項目について

      • 炎症、構造変化、身体的機能の3つは、炎症性変化の過程で部分的に生じるが直接的に反映されているわけではないので、それぞれ別々に評価されるべきである


      • そのため、ASDASが、ASAS improvement and remission criteria より適切と考えられる
        • ASAS 20
          • 以下の4つの項目において、合計20%以上の改善を示し、かつ、少なくとも3つ以上の項目で(0-10のスケールで) 1 unit 以上の改善を示す。
            • patient global assessment
            • pain
            • BASFI(function)
            • BASDAIの朝のこわばりに関する質問5, 6のVAS scoreの平均(inflammation)
              • 全体で20%以上の増悪なし、改善のない項目にて1 unit以上の増悪がないことが前提
        • ASAS 40
          • 以下の4つの項目において、合計40%以上の改善を示し、かつ、少なくとも3つ以上の項目で(0-10のスケールで) 2 unit 以上の改善を示す。
            • patient global assessment
            • pain
            • BASFI(function)
            • BASDAIの朝のこわばりに関する質問5, 6のVAS scoreの平均(inflammation)
              •  全ての項目で増悪がないことが前提
        • ASAS remission
          • 上記と同じ4つの項目において、全ての項目が(0-10のスケールで) 2 unit を超えない
        • ASDAS inactive deisease:ASDAS < 1.3 


      決定したConsensusが下のtable3

      • principle
        • A:治療目標に関しては、リウマチ専門医と患者がshared decisionをしなくてはならない
        • B:疾患活動性に従ったT2Tは予後を改善する
          • PsAに対するTICOPA trialにて証明された
            • しかしこれは、T2Tの有用性というよりcsDMARDsの急速な増量(T2T群:4週おき、対照群:12週おき)と併用治療の有用性が影響しているかもしれない。
      TICOPA regimen(Lancet 2015;386:2489–98.)



          • axSpAに対するT2Tの有用性を調べた試験はまだないが(TICOSPA, NCT 03043846, and STRIKE, NCT 02897115 が進行中)、疾患活動性によって構造変化が進行することを考慮するとおそらく有効だろう。

        • C:全身性疾患であるため、関節外病変も注意し、他領域の専門家(皮膚科、消化器内科、眼科など)と連携する
        • D:最終的なゴールは、長期の健康関連QOLを改善し、社会参加をできるようにする
        • E:上記目標を達成するには、炎症をとることが重要である
          • PsA患者の1/3は非進行性であるが、多くの患者では予後を改善するのに炎症を抑えることが必要
      • recommendations
        1. 治療ターゲットは、clinical remission/inactive diseaseにすべきである
          • remissionを達成できない患者もいるのも事実
          • これまでremissionやinactive diseaseをターゲットにされた臨床試験は存在しない
          • 多様されるMDAは、いくつかの項目が残存するしうるので、低疾患活動性に相当する
          • そして、MDAを含む低疾患活動性をターゲットにすると構造破壊・身体機能低下が抑制される十分なデータがあるので、remissionやinactive diseaseをターゲットにすることは間接的に十分と考えられる
        2. 治療ターゲット・治療評価期間は、現在の臨床症状や使用している薬剤に合わせて、個別化すべき
          • NSAIDsとDMARDsでは治療効果判定期間が異なる
          • DMARDsであれば、3ヶ月以内に有意な改善を示し、6ヶ月以内に治療ターゲットを達成すべき
        3. clinical remission/inactive diseaseは、臨床症状と検査所見にて明らかな疾患活動性がないと定義される
          • MDA, clinical DAPSA にはCRP, ESRが含まれていないが、これらをターゲットにしても予後改善に関連することが報告されているので、検査所見は含まないことも考慮された
          • しかしながら、PsAでもaxSpAでも、急性期炎症反応蛋白レベルが構造破壊に関連することが示されており、客観的指標なので、疾患活動性の評価から除外はできないとされた
          • そして、上記推奨における検査所見には、超音波やMRIなどの画像評価は含まれていない
        4. low/minimal disease activityは代替治療ターゲットになりうるかもしれない
          • 既述したように、罹患期間が長い患者や併存疾患がある人では、remissionを達成するのは難しい
        5. 疾患活動性は、臨床所見と急性期炎症反応蛋白に基づいて計算されるべきである
          • 画像所見に関しては、フォローすることの正当性を示すデータがなく、現実的にMRIを何回もフォローすることは困難であるため、含まれなかった
          • RAでは、エコー寛解が臨床的寛解に優れているということは示せなかった
        6. 治療ターゲットを決めて治療内容を変更していくためにも、関節、皮膚、他の関節外病変(ぶどう膜炎、炎症性腸疾患など)に関するvalidated measuresを実臨床で使用すべきである
          • 高疾患活動性であれば 1 - 3 ヶ月ごと、治療ターゲットを達成したら 6 - 12 ヶ月ごとに記録に残すべき
        7. axSpA → ASDAS、PsA → DAPSA or MDA にてターゲットを決定すべき
          • axSpA
            • 2012年推奨では ASDAS and/or BASDAI + CRP だったが、syndemophyte(靭帯骨棘形成)に関してはASDASのほうがBASDAI + CRPより関連していることが報告されたため、BASDAI + CRP は今回除外された
            • そして、ASDASは、BASDAIよりも、多くの炎症性biomarkerやMRI変化と関連している
          • PsA
            • CPDAI、PASDASは多面的に評価している
            • しかしながら、薬剤によっては皮膚には有効だが関節病変には効果が低く(フマル酸、CyAなど。IL-17iは関節病変に対してはTNFiと同等だが、皮膚病変に対してはより有効性が高い。)、多面的評価では全て含めて有効となってしまい、詳細な評価ができない
            • ETN 50mg weekly vs. 100mg weekly を比較したPRESTA試験 のpost hoc解析でも、12週目時点で、CPDAIでは両群間に有意差がついたがDAPSAではつかなった。originalの試験でも、12週目時点でPASIのみ有意差がついたが、関節・dactylitis・腱付着部炎 scoreは有意差なし
              • そのため、乾癬性関節炎に対しては50mg, 乾癬に対しては100mgで承認された
            • GRAPPA, EULARでは、関節・腱付着部炎・皮膚病変のどれがpredominant かによって、異なる治療アルゴリズムを推奨している
            • すなわち、PsAにおいては、全ての病変をそれぞれのscoreで評価すべきであり、皮膚病変とそれ以外の病変を1つのscoreにして計算することは避けたほうがいいだろう
            • PsAにおいて、関節病変以外の活動性scoreが関節破壊に関連しているかはまだわからない
            • DAPSAは、CRPが含まれているが、関節病変に重点をおいた指標であり、皮膚項目を入れてvalidationすべきという提案に関しては決着していない。スコアによってremission, low disease activityを定義できる。
            • MDAは、末梢性関節炎、腱付着部炎、皮膚病変を含むが、CRPなどの検査所見が含まれていない。そして、T2Tの有用性に関して唯一評価されたことがある指標である。身体機能に関しては、罹患期間が長いと高くなりやすく、現在の疾患活動性と同じようにスコアに反映されてしまうかもしれない。
            • そのため、PsAに関しては、もっと適切な評価項目に関する研究が必要である
        8. 治療ターゲットには、併存疾患、患者背景、薬剤によるリスクを考慮すべきである
        9. 臨床所見や検査所見だけでなく、画像評価の結果も、managementの考慮に入れたほうがいいかもしれない
          • 画像所見は、治療ターゲットには含まれないが、治療ターゲットを達成できているか疑わしいときの補助にはなる
        10. 治療ターゲットを達成したら維持すべきである
        11. 患者は、治療ターゲット、T2T戦略のリスクとベネフィットに関して十分に情報を得て、議論に参加すべきである

      上記をまとめたアルゴリズムが下のfigure2


      今後の課題

      • PsA, axSpAにおいて、結局、remissionの定義に全ての病変を含めるべきか結論は出ていない
      • しかしながら、remissionとlow disease activityの予後に対する影響の違いはわかってきている
      • 疾患活動性と構造変化の関係もわかってきている
      • 2012年の時は全ての推奨がエビデンスレベルが低かったが、今回のは少し改善された
      • 以下、future research agenda
        • 脊椎病変と末梢病変は同じように治療に反応するのか?
        • dactylitisとenthesitis
          • 治療反応性のデータ
          • 身体機能、健康関連QOL、社会参加、心血管系リスクに影響するのか
          • 複合的評価方法にどれだけ影響を与えるのか
        • 皮膚病変
          • 身体機能、心血管系リスクに影響するのか
          • 複合的評価方法にどれだけ影響を与えるのか
          • 皮膚病変の改善が、関節病変や他の筋骨格系病変とは関係なく健康関連QOL、社会参加に影響するのか
        • 画像
          • フォローすることの有効性
          • 画像寛解を達成すべきなのか
        • 機能(HAQなど)
          • PsAの複合的評価項目にどれだけ影響するのか
        • axSpAとPsAの試験に関する戦略
        • 治療による改善をどうやって維持するか、漸減できるのか
        • リウマチ科など専門家によるケアが、非専門家より良い結果を与えるのか
        • 患者教育による方法で予後が変わるのか
        • 治療ターゲットを達成することでax/peripheral SpAの関節病変の構造破壊を抑制できるのか?
        • CRPより優れたバイオマーカの開発


      2017年11月14日火曜日

      axSpAと線維筋痛症の併存について

      Co-Occurrence and Characteristics of Patients With Axial Spondyloarthritis Who Meet Criteria for Fibromyalgia: Results From a UK National Register. Macfarlane GJ, et al. Arthritis Rheumatol. 2017.

      編集中に消えてしまったので、要点のみ…


      背景
      ・これまでの既報でも、axSpAの人では線維筋痛症の人が多いことが知られていて、CRPは変わりないけどBASDAIとかはFM併存例で高くて、治療反応性も悪いと報告されていた
      ・今回はUKの国レベルの前向き多施設axSpAコホートで調べましたよ

      結果
      ・1500人くらいのaxSpA症例を調べた
      ・FM2011ACR基準を満たしたのは全体で20%くらい
      →サブ解析で修正NY基準、ASAS画像基準を満たす集団はそれぞれ20%くらいだけど、ASAS臨床基準のみ満たす人は9%と低い
      以下、FM基準満たしやすい人
      ・女性
      ・貧困指数高い人
      ・HLA-B27陰性

      ※年齢は関係なし

      FM基準満たす人は、
      ・BASDAI, BASMI, BADFI, BASGいずれも高い
      ・CRP 1以上の人の割合は有意差なし
      ・腸管外病変の割合は有意差ないけどやや多い傾向
      ・腫脹関節数、圧痛関節数多い
      ・BMI高い
      ・なんらかの併存疾患ある人多い
      ・バイオ使ってる人が5割くらい(満たさな人は3割くらい)
      ・不安、抑うつ感じてる人多い
      ・休職率も高い

      考察
      axial skeletonやenthesitisがFM診断基準に含まれちゃうのでoverlapしちゃうのはそうなんですし確かに実臨床でもみなさん感じてると思うんですが、そういったoverlapしちゃう人としない人の臨床所見、検査所見の差を示したのが有難い、ってところでしょうか。実際にこういう人にどういう治療すればいいのかは今後の課題、非薬物的治療も含めて。

      2017年10月11日水曜日

      axSpAにおける仙腸関節炎の評価:MRIがその後のX線での変化を予測


      Dougados M, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1823–1828.  

      本文中の図やグラフは元論文より引用しております。

      こちらも参考に(MRIとsacroiliac jointの病変について)

      背景

      • 体軸性脊椎関節炎(axSpA)は、仙腸関節病変の有無によって、radiographic (r)-axSpAとnon-radiographic (nr)-axSpA に分けられる
      • 仙腸関節炎の自然経過や増悪させる因子などのデータは不足している
        • 前向きコホートで、発症早期のSpAを長期間観察することが必要
      • DESIR (acronym in French for outcome of recent onset spondyloarthritis) は、発症早期axSpA患者を、前向きに観察しているコホートであり、今回はこのコホートを使用して以下を調べた
        • 5年間のうちに、どの程度の割合でnr-axSpAからr-axSpAに移行するのか
        • どういった要素が画像的仙腸関節炎の変化を予測することができるのか
        • MRIでの仙腸関節炎が、5年後にレントゲンでの仙腸関節の構造変化を予測するか

      方法
      • DESIRコホートについて
        • 18-50歳の炎症性背部痛が3ヶ月以上3年未満続いており、リウマチ専門医がaxSpAの疑いがあると考えている患者
          • axSpAが疑れる程度を0-10として、そのスコアが5以上
        • フランス、多施設
        • 2007年12月〜2010年4月に708人を抽出
      • カルテ、質問票などから情報採取
      • 骨盤レントゲン・仙腸関節MRIはbaseline, 2年後、5年後にフォロー
        • 読影する人は臨床情報・撮影したタイミングをblindされている
        • レントゲンはmNY基準に沿って以下の通り分類
          • 0: normal
          • 1: suspicious changes
          • 2: minimal abnormalities
          • 3: unequivocal abnormalities
          • 4: severe abnormalities (complete ankylosis) 
        • MRIでの仙腸関節炎陽性は、3人の評価者のうち2人が、bone marrow edema (BMO) が、2連続スライス以上に1つ or 1スライスに複数あると判断した場合とした
        • レントゲンとMRIの評価者は別々
      • サンプルサイズは、5年後のレントゲンで変化がある割合が70-90%・baselineでのMRI仙腸関節炎を認める割合が30-50%で、baselineでのMRI仙腸関節炎がある場合に5年後のレントゲンの変化に関する相対的リスクが2-3倍と見積もり、α5%, β90%として、685-768人が必要と計算された
      • 感度分析として、データ欠損している症例を last observation carried forward (LOCF) とlinear extrapolation (LE)を用いてデータ補完を行い解析した(‘intention-to-follow’ population )
      • 仙腸関節病変スコア
        • mNY基準のgradeを、右側と左側で合計して計0-8とし、それぞれ3人の評価者の平均を使用した



      結果
      • 708人のうち、評価可能なbaselineのレントゲンがあるのが685人
        • 685人のうち2年後、5年後にもレントゲンを評価できたのはそれぞれ519人、416人。
        • 2年後もしくは5年後のいずれかでフォローのレントゲンが評価できたのは557人:intention-to-follow’ population
      • 708人のうち、評価可能なbaselineのMRIがあるのは679人
      • baseline characteristics(table1)
        • 416人にて、baselineにてmNY基準を満たすレントゲン-仙腸関節病変があった割合:14.9%
          • 416人の解析
            • 5年後には、レントゲン-仙腸関節病変を有する割合は20%まで増加
              • 仙腸関節病変スコアも有意に増加:1.41 to 1.60 , p<0.001 

            • intention-to-follow’ population(557人)で解析
              • 5年後にはLOCF法で18%, LE法で17.7%まで増加
                • 仙腸関節病変スコアも有意に増加:それぞれ1.32 to 1.49 (1.81) (p<0.001) (LOCF) 、1.33 to 1.50 (p<0.001) (LE)




        • baseline MRI仙腸関節炎の、5年後にmNY基準を満たす仙腸関節病変があることに対する影響(figure2)
          • HLA-B27陽性の場合
            • OR 5.39 (95% CI 3.25 to 8.94)
          • HLA-B27陰性の場合
            • OR 2.16 (95% CI 1.04 to 4.51)
          • 統計解析手法を変えても有意に影響あり(table2)





        • HLA-B27で層別化した、MRI仙腸関節炎、CRPが 、nr-axSpA→r-axSpAに与える影響


        まとめ
        • 5年間でr-axSpAへ増加する進展する割合は、有意ではあるがわずかだった
          • MRIでの仙腸関節炎、HLA-B27、CRP陽性はリスクとなった
          • 既報では、2年間で10%、10年間で24%増加すると報告されていた
        • レントゲンでの進行を特定するには、mNY基準を満たすか満たさないかの2元ではなく、今回のように0-8とスコア化した方がより感度がよい
          • しかしながら、仙腸関節の両側がそれぞれ独立に進行している場合はただの合計となってしまう。また、0→1と7→8では同じ1の変化でもステージが異なるので、意味が変わってしまう可能性がある。
        • また、レントゲンでの仙腸関節炎の評価は、熟練を要し、評価者によっても異なる可能性があり、それが解析に影響を与えることも考慮せねばならない
        • さらに、レントゲンでの仙腸関節炎が、どれほど患者の機能障害に影響を与えるかデータが不足している

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