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2017年9月6日水曜日

2017ACR:ステロイド性骨粗鬆症の予防・治療ガイドライン

ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 69, No. 8, August 2017, pp 1521–1537



背景
  • ステロイドによる骨粗鬆症の影響はステロイド開始後3−6ヶ月が最大。その後は徐々に骨粗鬆症が進行
  • 特に椎体骨で骨折のリスクが上昇し、より影響が大きいのは海綿骨>皮質骨
  • リスクは量、期間の両者による
  • しかしながら、ステロイド中止によって骨密度は増加し骨折リスクも改善する
  • 他にも人種、性別、骨粗鬆症の一般的なリスク因子などが影響する
  • いくつかの骨粗鬆症リスク計算式にはステロイドも考慮されている
    • 多くはこれまでの研究に基づいて、PSL > 7.5mg or ≦ 7.5mgで分類される。
    • しかし、GCAやSLEなどのように高用量で使用するようなシチュエーションではこの計算式では過小評価となる
    • Van StaaらはPSL≧30mgかつ蓄積≧5gmにて著明にリスクが上昇すると報告している
      • QJM 2005;98: 191–8. 

  • 子供や40歳以下ではステロイド性骨粗鬆症のデータは少ない

リスク分類
  • Table 1:ステロイド使用患者の骨折リスク
    • 既存骨折があればhigh risk
    • 他、FRAXなどで分類


評価に関する推奨

  • 長期間GCを開始する場合には、全例、なるべく早期に(遅くとも6ヶ月以内に)下記の一般的な骨折リスクを評価すべき
    • GCの量、期間、使用方法
    • 易転倒性
    • 低栄養
    • 性腺機能低下、二次性副甲状腺機能亢進症、甲状腺疾患
    • 骨折の家族歴
    • アルコール摂取量:≧3単位/日
    • 喫煙歴
    • 他の併存症
    • 未診断の骨折の有無:脊椎叩打痛、変形、下位肋骨と腸骨間の短縮など
  • 40歳以上であれば下を追加
    • FRAXの評価(https://www.shef.ac.uk/FRAX/tool.jsp) 
    • ステロイド適正量の評価
    • 骨密度測定
  • 40歳以下の成人であれば、骨折リスクが高い場合(既存骨折あり or 上記のような一般的な骨粗鬆症リスクを有する)に骨密度測定をGC開始6ヶ月以内に行なう




  • GC治療を受けている全例において、上記の骨折リスク評価を12ヶ月おきに行なう
  • 40歳以上の成人で、CaとvitD以外に骨粗鬆症治療を受けていない場合 or 既存骨折がある場合、可能であればFRAXと骨密度測定を1−3年毎に行なう
    • 初期治療量PSL≧30mg、蓄積量≧5gmであれば1-3年毎よりもスパンを短くする
    • 現時点では少量のGCのみで他の一般的な骨粗鬆症リスクがなければ1-3年毎よりもスパンを長くしてもよい

  • 40歳以上の成人で、CaとvitD以外に骨粗鬆症治療を受けている場合、下記であれば1-3年毎で骨密度測定を行なう

      • 初期治療量PSL≧30mg、蓄積量≧5gm 
      • 18ヶ月間以上、CaとvitD以外に骨粗鬆症治療を受けている中で発生した既存骨折の既往あり
      • 薬剤アドヒアランスに問題がある
      • 他の一般的な骨粗鬆症リスクを有する


  • 40歳以上の成人で、以前にCaとvitD以外に骨粗鬆症治療を受けていたが今は受けていない場合、2−3年毎に骨密度を測定する

      • 高用量PSLを受けている or 既存骨折がある or 以前の骨密度が低い、などあればスパンを短くする
    • 40歳以下の成人の場合は、box内に当てはまれば2-3年毎に骨密度測定する



    治療に関する推奨

    • 全例、Ca(1000-1200mg/day)とvitD(600-800 IU/day; 血清 level ≧ 20ng/mL)を適正に摂取する
    • 40歳以上の成人(妊婦を除く)で、中等度以上の骨折リスクの場合は、経口Bis製剤を投与する
      • 経口製剤を内服できない場合は点滴Bis製剤を使用する
        • Bis製剤自体が使用できない場合はteriparatideを使用する
          • Bis製剤とteriparatideのいずれも使用できない場合はdenosumabを使用する
      • 閉経後女性で他の薬剤が使用できない場合は、raloxifeneを使用する
    • 既存骨折あり or 6か月間以上のPSL≧7.5mg治療を今も受けている40歳以下の成人(妊婦を除く)で、大腿骨もしくは椎骨の骨密度 Z score<-3 or 10%/年以上のスピードで骨密度が低下している場合は、経口Bis製剤を使用する
      • 経口Bis製剤が使用できない場合の代替治療は、raloxifeneを除いて40歳以上の成人と同様





    • 中等度以上の骨折リスクがあり、妊娠可能ではあるが妊娠する予定がない場合は経口Bis製剤を使用すべき
      • 経口Bis製剤が使用できない場合はteriparatide:点滴のBis製剤とdenosumabは胎児に対するデータが不足している。これらの製剤は骨折高リスクで経口Bis製剤とteriparatide両者が使用できず十分なICをした場合に限る。
    • 妊婦に関してはデータが不足しているため、今回の推奨ではCaとvitD製剤のみとする。
    • 30歳以上で、初期治療量PSL≧30mg、蓄積量≧5gmであれば経口Bis製剤を使用する
    • 4-17歳はCaとvitDとする。既存骨折があり≧0.1 mg/kg/dayを3か月間使用している場合は、経口Bis製剤を使用する



    • 経口Bis製剤で初期治療をしたにも関わらず骨折した場合は、アドヒアランスや吸収に問題がある場合は点滴に変更、もしくは他のタイプの製剤に変更する
    • 40歳以上で、7-10年間Bis製剤で治療しているにも関わらず中等度以上の骨折リスクの場合は、アドヒアランスもしくは吸収に問題がある可能性があるため点滴Bis製剤に切り替えるか、他のタイプの製剤に変更する
    • GC治療が終了した場合、終了時点で骨折リスクが低い場合には、CaとvitD以外の骨粗鬆症治療も終了する


    全例CaとvitDは適正量摂取が前提
    それに追加する治療として、これまでdenosumabやteriparatideなどのデータも増えてきましたが、2017年ACRの推奨では、とりあえずのところ、第一選択はBis製剤とのことです。

    2017年9月3日日曜日

    安定したRA患者にteriparatideを使用したらerosionは改善するか?

    ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY Vol. 69, No. 9, September 2017, pp 1741–1750

    <背景>
    • これまで骨吸収に注目してerosionを遅らせることはできるようになったが、erosion healingを促進することはできなかった
    • RA患者にBis製剤(pamidronate)を使用し、骨密度を改善 & RA治療薬変更の頻度を減らしたRCTはあるものの、erosionの改善はなかった
      • Arthritis Rheum 1996;39:396–402.
    • ゾレドロン酸でもerosionの進行を遅らせたが、Sharp scoreの変化はわずかであった
      • Arthritis Rheum2006;54:1410–4.
    • RANKL抗体であるdenosumabを使用したRCTではプラセボと比較して有意にerosionもある関節数を減らした。しかし、その効果は、52週間治療してもベースラインと比較して1個のerosionを減らす程度であった。
      •  Arthritis Rheum 2008;58:1299–309.
    • 第2中手骨のerosionがあるRA患者において、アレンドロン酸とdenosumabでerosionの改善を比較する試験では、部分的な改善をdenosumab群のみで認めた
      • Arthritis Care Res (Hoboken) 2016. E-pub ahead of print.
    • PTHは、骨同化作用があると知られているが、TNFトランスジェニックマウスにおいてTNF-I製剤と併用して PTH製剤を投与することで、有意に関節のerosionを改善した
      • Am J Pathol 2004;164:543–55.
    • この結果を受けて、筆者らは、今回の試験を計画した

    <方法>
    • RCT、Open-label
    • 期間:12ヶ月間
    • 介入群:teriparatide 20ug s.c. daily
    • 比較群:teriparatideなし
    • 全員に Ca 1000 mg/day + vitD 800 IU/day を投与
    • 対象
      • 45歳以上
      • X線にて手関節・手指関節の3関節以上にerosionあり
      • 2010 ACR/EULAR RA分類基準を満たす
      • 骨量低下がある
        • 腰椎、大腿骨、total hipのいずれかのDXAにて -1.0 ≦ T score ≦ -2.5 
      • TNF-I阻害剤にて最低3ヶ月間の治療歴が試験組み入れ前にある
      • PSL ≦ 5mg/day
    • Exclusion criteria
      • RA activityがunstable
        • 直近3ヶ月間にRA治療を変更
      • 外的要因による骨折歴あり
      • 試験組み入れ前12ヶ月の間に、2週間以上の骨量に影響する治療歴がある
        • Bis製剤、ホルモン療法、カルシトニン、ラロキシフェン、teriparatide、甲状腺機能抑制治療、リチウム、vitD ≧ 2000IU/day
      • RA以外に骨代謝に影響する原因がある
      • PTH製剤への禁忌がある
      • 重大な心疾患、肝疾患、腎疾患、アルコール依存症、精神疾患
      • ジゴキシンによる治療中
      • 放射線照射治療歴あり
      • 現在活動性の悪性腫瘍あり、10年以内に悪性腫瘍と診断されたことがある(切除もしくは治癒した皮膚の基底細胞癌を除く)
      • 20年以内に乳がんと診断された
      • 妊婦、授乳婦
      • 組み入れ時に、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、Paget病と診断されている
      • 血液検査にて下記を確認している

    Primary Outcome
    • Erosion volume:橈骨、尺骨、手根骨、CMC関節・MCP関節・PIP関節(DIP関節は除外)
      • CTを撮影し、下のようにコンピュータでerosion部位を特定し、放射線科医が確認


    Secondary outcome
    • DXAで測定した腰椎・大腿骨頸部の骨密度の変化量
    • 手・手指においてvander Heijde modification of the total Sharp score (SHS)を計算
    • 読影医は他の情報を盲検化された状態

    Results
    • Baseline characteristicsはtable 1
      • 26人をランダム化したが介入前に2人が脱落し、n=24(12人ずつ)で開始し、teriparatide群で途中で脱落し、それ以外の23人は12ヶ月間のprotocolを完遂
      • 全体の平均年齢 62歳
      • 女性 75%
      • 罹患年数 20年弱
      • 83% seropositive(RF or CCP-Ab)
      • PSL使用者 teriparatide群に3人のみ
      • 半数がremission(DAS28-CRP ≦ 2.6)
      • mean HAQ 0.16
      • mean SHS 67
      • mean total srosion volumeはそれぞれ571,4, 369.8とcontrol群に多かったが、統計学的有意差はなし(p=0.94)


    • 介入前後でteriparatide群にてerosion volumeは改善した(9.5mm^3)が、統計学的有意差なし(p=0.28)


    • いくつかのサブグループ解析も行ったが有意差なし
    • SHSも有意差なし(difference in change -0.75 ± 3.47 ; p=0.39)


    • 骨密度はteriparatide群で増加した
      • 腰椎:difference in change 0.07 ± 0.08 gm/cm^2 ; p=0.01
      • 大腿骨頸部:difference in change 0.05 ± 0.06 gm/cm^2 ; p=0.01



    <Discussion>
    • 今回の研究ではteriparatideによってerosionの改善はなかった
      • 原因は、対象者の関節がまだ炎症が残存していたからではないか?
        • 既報では、臨床的に活動性がなく腫脹もないような関節にてerosionの改善を認めた
          •  Ann Rheum Dis 2010;69:851–5.
        • 骨芽細胞がより未分化な状態でないと効果が低いのかもしれない
        • 今回の研究ではMRIやエコーを活動性評価に使用していないので、DAS28-CRPのみでは残存している滑膜炎を見逃している可能性がある
      • 既報で使用されていたマウスモデルの場合は、急性に炎症を起こし罹患期間が短いので結果が違ったのかもしれない
        • 罹病期間が長いと、骨芽細胞に分化するmesenchymal stem cells(間葉系幹細胞?)の数が減少したりその機能を変えてしまうのかもしれない
      • そもそも観察期間が12ヶ月は短すぎる
    • Limitation
      • 対象者は非盲検化
        • しかし解析者は盲検している
      • Nが少ない
    • 新規の骨同化作用を有する薬剤が開発されている
      • sclerostin:Wit sygnaling pathway阻害剤、骨芽細胞を活性化させる
        • しかしanti-sclerostin抗体がTNF signalを促進し炎症を増強することがマウスで分かっている
          • Sci Transl Med 2016;8:330ra35.

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