このブログを検索

ラベル 補体 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 補体 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年3月22日木曜日

補体の活性化が、SLE ± APS妊婦の妊娠合併症を予測する


Kim MY, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:549–555. doi:10.1136/annrheumdis-2017-212224 


背景
  • SLE ± APSの妊婦は、妊娠中の有害事象(APOs)のリスク(子癇、胎児死亡、胎児発育障害など)が増加する
    • APOsを予測するリスク因子の同定について研究がすすめられてきている
  • マウスの研究では、炎症、特に補体活性化と好中球の誘導が、胎盤不全、胎児死亡、胎児発育障害に重要であることがわかった
    • 補体活性化が、白血球の浸潤を促進し、TNF-α や、血管成長阻害因子であるsoluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFlt1)の産生を誘導する
  • 補体の活性化は、classical, alternative, lectin pathwaysの3つがある
    • これらの経路は、C3を介して、以下の共通のエフェクターを誘導する
      • anaphylatoxins
      • opsonins
      • the membrane attack complex 
    • classical, alternativeの経路に関わる物質(factor B, C4, C3, C5) を欠損したマウスでは、aPLによる胎児の障害に対して抵抗性を獲得するため、この両者の経路が重要であることが示唆されている

  • ヒトにおける研究でも、aPLによる妊娠合併症における補体の役割は、上記を支持している
    • classical pathway 活性化のマーカーであるC4dが、SLE ± APSの妊婦の胎盤に認められる
    • 原発性APSについての2つの研究では、軽度の低補体血症が認められることを報告している
    • SLE ± APSの妊婦が子癇を発症するリスクとして、補体制御蛋白のvariantsが報告されている
    • 自己免疫疾患を有さない妊婦のprospective studyにおいて、子癇の発症と、alternative pathwayの活性化によって産生されるBbの増加が、強く関連していることが報告されている
  • 今回は、SLE ± APSの妊婦において、妊娠第2半期前における血清の補体活性化の変動が、APOsと関連するか調べた(PROMISSE Studyのデータを使用)

方法
  • PROMISSE Study
    • Predictors of pRegnancy Outcome: bioMarkers In antiphospholipid antibody Syndrome and Systemic Lupus Erythematosus 
    • 大規模、多施設、多人種、prospective
    • 妊娠した時点では軽症〜中等症の疾患活動性であるSLE ± aPLの女性における、APOを予測する臨床所見・検査所見について調べた研究
    • 2003/9 - 2013/8 に、妊娠12週以内の症例をリクルート
    • コントロールとして、健常人を人種でマッチさせてリクルート
    • 除外規定:APOsと関連する他の因子を有している症例
      • PSL > 20mg/day
      • 尿蛋白 1g/gCr
      • sCr > 1.2mg/dl
      • 糖尿病あり
      • BP > 140/90 mmHg
  • APOsの定義
    • 妊娠12週後以降の胎児死亡
      • 染色体異常、解剖学的異常、感染症を除く
    • 発育不全もしくは胎盤不全によって、退院前に生じた新生児死亡
    • 妊娠高血圧、子癇、胎盤不全による36週間以内の早産
    • small-for gestational-age (SGA) neonate (<5th percentile) 

結果
  • 770人の妊婦(SLE ± aPL)をスクリニーングし、487人を解析
    • 内訳
      • SLE:326人(66.9%)
      • SLE + sPL:60人(12.3%)
      • aPL:101人(20.7%)
    • APOsがあった症例:100人(20.5%)
      • 妊娠12週後以降の胎児死亡
        • 27人(5.5%)
      • 発育不全もしくは胎盤不全によって、退院前に生じた新生児死亡
        • 5人(1.0%)
      • 妊娠高血圧、子癇、胎盤不全による36週間以内の早産
        • 49人(10.1%)
      • small-for gestational-age (SGA) neonate (<5th percentile) 
        • 47人(9.7%)
    • コントロール(健常人):204人
      • APOsがあった症例:7人(3.4%)
  • baseline characteristics(table1)
    • SLE ± aPLを有する女性のうち、以下の項目が有意にAPOsと関連した
      • aPL陽性、LAC陽性
      • 血圧高値
      • BMI高値
      • 血栓症の既往
      • ヘパリンや降圧薬での治療歴
    • 以下の項目は有意差なし
      • 人種
      • 年齢
      • 出産歴
      • ループス腎炎、タンパク尿の既往
      • アスピリン、ステロイドの使用歴
      • 喫煙歴



  • BbとsC5b-9に注目
    • SLE ± aPLの患者群でAPOsがあった症例では、妊娠12−15週という早期の段階から、BbとsC5b-9の有意な増加を認めた
    • SLE ± aPLの患者群でAPOsがない症例でも、健常人と比較すると増加していた
    • 全ての群で、妊娠経過に伴い低下していったが、低下の割合は健常人と比較して緩やかだった
    • なお、SLE ± aPLの患者群のBbとsC5b-9は、有意に相関していた
      • 12-15週
        • 0.49 (P<0.001) 

      • 36-39週
        • 0.68 (P<0.001) 



  • 血管新生因子(sFlt1, PIGF)との関連
    • Bb・sC5b-9と、sFlt1・PIGF・sFlt1/PlGFとの関連を調べたところ、中等度の関連が見られた(0.25は超えない程度)
    • sFlt1/PlGFによって調整した後も、BbとAPOs・sC5b-9とAPOsの関連は有意だった

  • 多変量解析(table2)
    • SLE ± aPLの患者群
      • 交絡因子(table2のvariable)で調整後も、12-15週におけるBb、sC5b-9は、有意にAPOsと関連していた
        • Bb
          • ORadj=1.41 per SD increase; 95%CI 1.06 to 1.89; P=0.019 
        • sC5b-9
          • ORadj=1.37 per SD increase; 95% CI 1.05 to 1.80; P=0.022 
    • 健常人
      • 12-15週におけるBbは、有意にAPOsと関連していた
        • Bb: 0.91 vs 0.71μg/mL
          • P=0.03
      • sC5b-9は有意差なし
        • 241.5 vs 226.5ng/mL , p=0.66



  • 他の補体因子について
    • C5a, C4d, iC3bは、APOsとの関連は有意でなかった
    • C3aは、bivariate avalysisでは有意だったものの、多変量解析にすると有意でなかった
      • 一方で、Bbは有意のままだった




まとめ


    • SLE ± aPLの妊婦において、Bb・sC5b-9の増加とAPOsは有意に関連した
      • これは、補体活性化(特にalternative pathway)と胎盤不全の関連によって、妊娠合併症を引き起こすという考えを支持している
      • 特にaPL陽性患者において、alternative pathway活性化とAPOsの関連が強かった
        • これは、マウスの実験において、factor Bを欠損したマウスが、aPLによる胎児発育不全・胎児死亡に対して抵抗性を有していたことと一致する
    • SLEとaPLの病態では自己抗体の関与が重要であるが、classical pathwayの構成要素よりも、alternative pathway fragmentであるBbが、APOsとの関連が最も強かった
      • Bb・sC5b-9の相関関係が有意であることが、alternative pathwayが補体活性化の主要経路であることを示唆している
      • classical pathwayの活性化は、抗体の親和性とサブクラスに依存しているが、aPLはIgG2が多く、このタイプはclassical pathwayの活性化に対しては弱い
        • classical pathway以外を活性化する抗体が沈着することで、membrane-bound complement regulatorを阻害し、持続的なalternative pathwayの活性化を誘導する
        • さらに、好中球由来 or 血小板由来のプロテアーゼによる補体因子の分解によって、classical pathwayはbypassされることになる
    • 正常妊娠では、胎盤は、母体ー胎児の境界部位で、補体を介した免疫による攻撃を受ける
      • その際、trophoblast cellsから産生される阻害因子によって、補体の活性化はうまくコントロールされている
      • しかしながら、aPL ± SLEの患者では、制御因子を上回るほどの過剰な補体活性化が末梢血中と胎盤において生じており、それによって胎児がリスクに晒される
    • 浸潤した白血球によって、血管新生阻害因子であるsFlt1が過剰に産生され、胎盤不全を生じる
      • それによる絨毛間の循環不全が、妊娠が進むにつれて、trophoblastでの大量のsFlt1合成を刺激する
        • これは補体による直接的な影響ではないため、補体因子とsFlt1の間の関連はそこまで強くなかったのはあまり驚くことではないかもしれない
    • PROMISSE studyの患者は、疾患活動性が比較的落ち着いている患者を対象としているが、APOsがなかった患者も、baselineにおけるBbとsC5b-9が、健常人と比較して有意に高かった
      • SLEとAPSの患者において、たとえ疾患活動性が落ち着いていても、長期間の補体活性化があると、胎盤不全と関連する白血球の誘導や血管新生阻害因子の増加を引き起こすかもしれない
    • 興味深いことに、SLEPDAI scoresと、BbとsC5b-9は有意に相関していた
      • 既報では、小規模な研究ではあるものの、BbとsC5b-9の増加が、SLE妊婦の疾患活動性と関連することは報告されている
      • 補体の値は、合成(エストロゲンによって補体合成は刺激される)と消費の両者を反映している
        • 今回の研究では妊娠早期における補体活性化による産物増加がAPOsと関連しており、以前に筆者らが報告したbaselineから第2半期にかけてのC3のより少ない増加がAPOsと関連したという結果も考慮すると、補体活性化は、APOsの結果というよりも、APOsを引き起こすものと言えるだろう
    • classical pathway fragmentであるC4dの沈着が、SLE ± APS妊婦と子癇患者の胎盤と、子癇患者の腎臓において認められることから、sPLによる局所におけるclassical pathwayとlectin pathwayの活性化についてはより調べる必要がある
      • 重要なことであるが、補体活性化の原因に関わらずalternative pathwayは活性化し、末梢血の補体 fragmentsは、胎盤における活性化の程度を反映していないかもしれないことを念頭において置く必要がある

    2018年2月11日日曜日

    自己免疫疾患における好中球の役割


    ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
    Vol. 68, No. 9, September 2016, pp 2071–2082 


    導入
    • 好中球は、最終分化した自然免疫細胞であり、微生物から宿主を守る役割を担っている
      • 骨髄から産生され、多臓器においてホメオスタシスを維持しながら存在する
      • 半減期が短かいので、平常状態を保つためには骨髄から継続的に産生される必要がある
      • しかしながら、ホメオスタシスの状態と非ホメオスタシスの状態での、骨髄と末梢における好中球のturn overについてはわかっていないこともある
    • 好中球の産生は、IL-17に反応して合成されるG-CSFによって、厳密に制御されている
    • 好中球の細胞質にある顆粒(granule)は、4つのカテゴリーに分かれる(figure1)
      • primary (azurophilic) granule
        • MPO
        • defensins
        • neutrophil elastase
        • membrane-bound CD63 など
      • secondary specific granule
        • lactoferrin
        • LL-37 peptide
        • membrane-bound CD66b など
      • tertiary gelatinase granule
        • gelatinase
        • cathepsin
        • lysozome
        • various toxic proteins  など
      • secretory granule
        • membrane-bound receptorsを貯蔵している
        • alkaline phosphataseやCD35を自身の膜に発現している 



    • 循環している時には、好中球は活性化されていない状態を維持しており、細胞内の毒性物質は偶発的に放出されないようになっている
      • 好中球の機能低下や減少は感染症のリスクに繋がるが、好中球を厳密に制御することも組織障害を予防するのに重要である
    • 炎症の状態下では、組織に浸潤し、活性化物質によって半減期も延長する
    • 炎症組織における好中球の役割は、サイトカインやケモカインの合成、貪食、MHC-class Ⅱ依存性の抗原提示など、多くの機能がマクロファージと重複している
      • 様々なメカニズム(貪食、脱顆粒、NETsの放出による細胞死誘導など)で微生物を攻撃する


    • 好中球は、自然免疫や獲得免疫の機能やphenotypeに関与して、炎症に対して強い影響力を有している
      • myeloid DCsは、アポトーシスした好中球を取り込むことによって、抗原提示機能が増強する
      • B cells の発生に関わるBAFFやAPRILなどのサイトカインを合成する
      • 脾臓の好中球は、T cells-independent B cell helper 機能を有する
      • MHC class Ⅰ-dependent にCD8陽性T細胞をcross-primeして、T cell response を増強もしくは抑制する
      • γ/δ T cellsを活性化する
      • PDL-1/PD-1 相互作用を介してT cell アポトーシスを誘導する
      • proteaseによって T cell-stimulating サイトカインであるIL-6, IL-2を不活性化する
      • T cell receptor ?(表示できない文字) chain をdown regulateして cell cycleを停止させ、ROS産生とarginase合成を誘導する
      • ROS産生とNK cellsのmodulationによって液性自己免疫を制御し、IFNγ産生を抑制する
    • 好中球は、分化・可塑性・phenotypeや機能の特徴は、他の免疫細胞と比較してわかっていないことも多い
      • 最終分化した状態では遺伝子操作が難しく、半減期も短いので冷凍・解凍作業の間に死滅を防ぐのが難しい
      • そのため、正確なimmune phenotypeや機能のassayには、freshな検体を抽出することが必要である
      • 重要なことはではあるが、マウスの好中球は生物学的にはヒトの好中球と異なるため、マウスモデルの有用性が限られている
      • それにもかかわらず、最近は好中球の自己免疫・炎症性疾患における生物学的な役割について注目を集めている

    好中球サブセット
    • 好中球には、phenotypeやfunctionに基づいて、いくつかのサブセットがある(table1)
      • 好中球のphenotypeの違いが、遺伝子によるものなのか、microbiomeによるものなのか、老化によるものなのか、解明する必要がある
      • 一部の専門家は、マクロファージのように、N1 (inflammatory neutrophil) と N2 (antiinflammatory neutrophil)  に分類することを提唱している
        • しかし、好中球をどちらかに誘導する因子がまだわかっていない
      • olfactomedin 4 (OLFM4) 
        • ~25%の好中球に認める、特異的な顆粒蛋白
        • OLFM4陽性の好中球の役割はわかっていない
      • CD177
        • glycoprotein I–anchored neutrophil antigen 
        • platelet endothelial cell adhesion molecule 1に結合する
        • 多くの好中球に発現しており、おそらく内皮細胞間を遊走する機能が高まると考えられている
      • CD16dim  
        • 細菌へのオプソニン化、ROS産生の機能が低下している
      • CD16bright 
        • CD16dim  と逆
      • 敗血症では、好中球におけるCD62Lの発現レベルと好中球機能低下が相関している
      • low-density granulocytes (LDGs)  
        • 自己免疫疾患との関連が指摘されている





    ROS
    • ROSは、炎症が進行する際に重要な役割を担う分子である
      • 抗菌作用、NF-κB転写因子活性のシグナル制御、NET産生など
      • ROSには以下が含まれる
        • superoxide anion
        • hydrogen peroxide
        • hydroxyl radical
        • hypochlorous acid 
    • ROSを主に産生するのは、ミトコンドリアとNADPH oxidase(NOX)である
      • NOXには、7種類のhomologが存在する
        • NOXs 1–5 
        • NOX/dual oxidases 1, 2 
          • 好中球では、NOX-2 が抗菌とNETosisに重要と考えられている
    • NOXによるROS産生が欠損すると、細菌や真菌に対する防御力が低下し、慢性肉芽種性疾患、免疫不全を発症する
      • そして、炎症が増強し、自己免疫疾患を発症する前段階へと繋がる
      • これは、ROSは炎症や組織障害を誘導する一方で、炎症を制御して自己免疫に対して抑制的に作用していることを示している
        • 実際に、ROS産生が低下し重症慢性炎症が持続している動物モデルでは、関節炎や多発性硬化症を発症する
        • また、NOX-2を欠損したlupus-prone マウスでは自己免疫が増悪し、NOX活性を低下させるとSLE発症を促進する


    phagosytosis
    • 自然免疫反応では重要であり、侵入してきた微生物に対して好中球とマクロファージが攻撃する
    • phagocytosisは、pattern- recognition receptors(Fcγ受容体やC-type lectinsなど)が、pathogen-associated molecular patterns(PAMPs)として知られる微生物のlipopolysaccharideや真菌のβ-glucansを認識しておこなわれる
    • 好中球のphagocytosisは、迅速であり、phagocytic vacuole とgranuleが融合してphagolysosomeを形成する
      • これらのgranuleは、NOX subunitsとhydrolytic enzymes を含んでいる
      • IgGによってオプソニン化されたparticleを20秒以内に貪食する
        • マクロファージの場合はもっと遅い
      • マクロファージと異なり、phagosomeの成熟は、細胞質のカルシウムに依存している

    NETosis
    • NET形成は、好中球が微生物を捉え、動けなくし、殺すメカニズムである
      • この過程の中で、活性化した好中球は、granular enzymeを含む自身の核の成分を放出し、細胞外に蜘蛛の巣のような構造を形成する(上のfigure2)
      • NETsを誘導するのは、微生物による刺激のみではなく、無菌である血小板、免疫複合体、サイトカイン、コレステロール、尿酸結晶、自己抗体などもNETsを誘導する
    • NETosisには、NOXなどによるROS産生が必要である
      • 最近の研究結果では、NOXの機能が欠損していても、ミトコンドリアによるROS産生があればNETsを誘導できることがわかった
      • ROS合成によってpeptidylarginine deiminase 4 (PAD4) の活性化が生じ、ヒストンのアルギニン残基をシトルリン化し、核のヒストンの脱凝縮(decondensation)と遺伝子転写を促進する
    • NETosisの間には、好中球のelastaseは、核へ局在化し、ヒストン修飾とクロマチンを展開し、核を大きくする
    • NETの晩期には、好中球の核膜の崩壊は、核と細胞質の構造物が混ざり、細胞膜の分裂と溶解を介してNETの放出が生じる
    • NETosisによる自己抗原の放出が、宿主の免疫活性化を起こす
      • 悪性腫瘍、線維化、血栓、動脈硬化、創傷治癒など多くの疾患でNETが関係していることが報告されている


    <好中球の全身性自己免疫疾患への関与>


    SLE
    • lupusと好中球の関係は、だいぶ前から示唆されていたが、臓器障害の誘導や免疫破綻における好中球の関与が注目されてきたのはここ10年の出来事である
    • SLE患者の骨髄では、好中球がtype 1 IFN の主な産生源であるあり、好中球が BAFF産生を介してB cellの異常を誘導していると言われている
      • 好中球のphenotype・functionの異常(好中球減少、貪食能の異常、oxidative activity)がその考えを支持している
    • SLEは、末梢血から分離されるLDGsの存在が特徴的である
      • LDGsをnormal density granulocytesから区別する細胞表面 or epigenetic マーカーが存在しないが、いくつかのトランスクリプトームと機能の違いがLDGsの病態への関与を示唆している
      • LDGsは、SLE患者において末梢血や皮膚病変で多く認められる
        • これを時系列を追って解析し、outcomeに影響するか調べる必要がある
      • 顆粒蛋白をコードするmRNAsの発現増加が、LDGsにおいて認められている
    • 機能的には、LDGsは、炎症性サイトカインやtype 1 IFN の合成能力が高く、SLEへの病態に関与していると考えられている
      • Ex vivo解析では、LDGsは、他の刺激がなくともNET形成を促進することが示されている
      • NETosisの促進・MMP-9の細胞外への放出を介して、LDGsは内皮細胞のアポトーシスを誘導し、血管機能を破綻させる
      • NETsは、P2X7受容体依存性にマクロファージにおけるNLRP3 inflammasome を活性化し、活性化IL-1βとIL-18合成を促進する
      • NETsの外側にあるCathelicidin LL-37 は、獲得免疫の反応を誘導し、LL-37/anti-LL-37 immune complexはplasmacytoid DCsがIFNαを合成するのを活性化する
      • NETosisの促進は、循環しているLDGsのみではなく、皮膚や腎臓などSLEの様々な罹患臓器で認められる
    • 最近の報告によれば、SLEのLDGsにおけるNETosisは、ミトコンドリアのROSに依存していた
      • 実際に、LDGsにおいて、ミトコンドリアでのROS産生は増加しており、ミトコンドリアのROSを除去するとNETosisが阻害される
      • ミトコンドリアのROSによって誘導されたNETsは、他の物質により誘導されたNETsよりも、monocyteを標的にしたtype 1 IFN や炎症性サイトカインの産生が強い
        • それはおそらく、LDG NETsにおける核酸の酸化が強いためである
        • genetic or ミトコンドリアのDNAは、酸化されると、崩壊が抑制され、stimulator of IFN genes (STING)などの細胞内センサーに認識されやすくなり、type 1 IFN産生反応が増強する
      • lupus-prone マウスで、ミトコンドリアのROSを阻害すると、lupusの症状は改善し、type 1 IFNは低下する
      • また、他の NETosisを抑制する方法としては、PAD4活性がNET形成に関与しているため、PAD4を阻害することがマウスモデルで試されており、実際に臓器障害が軽減されている
    • SLE患者の結成では、NETsを分解する能力が低下している
      • これには、以下の機序が考えられている
        • DNase Ⅰ活性が低下している 
        • DNase Ⅰ阻害物質の存在  
        • NETsが分解されることに対して保護的に作用する自己抗体の存在
      • NETの分解が阻害されると、疾患活動性の増加・補体活性化・ds-DNA抗体増加・腎炎の増加が認められることが報告されている

    RA

    • シトルリン化自己抗原に反応することが、RAの病態と考えられている
    • 好中球は、RAの関節破壊における主要なeffector cellsと考えられている
      • しかし、自己抗原の発生と、局所・全身における自然免疫・獲得免疫の反応を活性化する際に、好中球がどのような役割を担っているかはわかっていない
    • 最近、NETosisがシトルリン化自己抗原の主な産生源であり、疾患発症に関わっていることがわかってきた
      • 血液・滑膜などの組織において、好中球におけるNETosisが亢進している
    • PAD活性化を介して、NETosisは、細胞内抗原(ヒストン、ビメンチン、エノラーゼ)のシトルリン化のみではなく、細胞外自己抗原をシトルリン化できる活性化PAD isoformを放出している
    • RAにおけるmicroenvironment(シトルリン化抗原に対する自己抗体、RF、TNFやIL-17などの炎症性サイトカイン)は、NETosisを促進し、自己抗体産生→炎症反応増加→さらなるNET形成へと繋がるサイクルを形成する
      • NETsは、RAの滑膜線維芽細胞における、炎症反応を惹起する強い因子であり、関節破壊へ繋がっていく
    • NETosisにて産生されたシトルリン化ヒストンは、RAとFelty's syndromeにおける重要な自己抗原である
      • Protein tyrosine phosphatase N22 (PTPN22) は、PAD4を阻害するため、蛋白のシトルリン化も阻害する
        • このことから、PTPN22の多型がRA発症リスクとなる機序として、蛋白のシトルリン化促進を介してNETosisを起こすということが推測される
      • 補体とパーフォリンが活性化する際に、好中球のPAD活性化が起きることが、RAにおける自己抗原産生において重要であると考えられる
      • 一方で、好中球由来のmicrovesiclesが、軟骨に入り、関節の破壊を防ぐことも報告されている


    APS

    • 血栓と妊娠への影響は、APSの特徴である
    • 抗リン脂質抗体によって好中球が活性化することが知られている
    • APS患者の好中球において、ミトコンドリアの機能が低下していることが報告されている
    • 組織因子/Ⅶa因子/protease-activated receptor 2  のカスケードは、好中球の活性化を促進し、胎児死亡の原因となることがAPSモデルで示されている
    • 補体と好中球の相互作用も、胎児死亡の原因となることがAPSモデルで示されている
    • LDG populationが、APS患者において認められたことが報告されている
    • APS関連自己抗体は、ROS- & TLR4-dependentな機序で、NETosisを促進する
    • NETの分解が低下していることがAPS患者において報告されている


    AAV

    • 好中球の特異的な顆粒蛋白に対するANCAの発見と、これらが臨床的にもAAV関与していることがわかり、小血管炎の病態において好中球が重要な役割を担っていることがわかってきた
    • in vitroでは、炎症物質によってprimeされた好中球が、p38 MAPK pathwayの活性化と、細胞膜表面へのMPO/PR3の発現増加を起こし、ANCAがそこに直接結合する
      • Fc受容体への刺激 or 抗原との交差反応によって、ANCAが好中球表面に結合できるようになる
      • この結合によって、好中球が活性化され、炎症性サイトカインの合成、NET放出、脱顆粒、そして臓器障害へと繋がる
    • NETosisがAAVの病態に関与していることが最近わかってきた
      • 腎臓の血管病変やAAV患者の血栓にはNETを認める
      • NETsは、ANCA形成のために必要な免疫原性として作用する自己抗原の、主な産生源と考えられている
        • AAV患者では、NETosisの亢進とNET clearanceの低下が報告されており、NETの中にはPR3やMPOが含まれている
      • ANCAは、NETosisを誘導し、DCsがNETを抗原として認識してANCA産生がさらに促進されることがマウスの血管炎モデルで示されている
      • 補体のalternative pathwayが、AAVにて活性化している
      • 薬剤誘発性血管炎のモデルマウスでは、プロピオチオウラシルによって誘導されたNETsは、異常な構造を有しておりclearanceも低下し、MPO-ANCA形成とpauci-immune glomerulonephritisと関連している
    • AAV患者の一部はANCA陰性であり、再発のマーカーとしても疑問を持たれており、発症していない一部の健常人にも陽性となることがある
      • AAV患者のANCAと、健常人におけるMPOに対する自己抗体は、epitope specificityが異なり、これが疾患活動性とも関連している
    • 最近では、好中球顆粒蛋白のmRNA発現と、LDG populationがAAV患者に認められており、通常治療に対する反応性を予測できることが報告されている
    • PR3を膜表面に発現している活性化していない好中球のサブセットや、MPO/PR3のプロモーター領域の遺伝子修飾が、AAVのバイオマーカーになりうるかもしれない


    <自己炎症性疾患における好中球>
    • 好中球の機能に関連する単一遺伝子の疾患の発見は、我々の自己免疫への理解を促進した
    • ヒトとマウスモデルでは、好中球・遺伝子・molecular pathwayの違いがあるので、ヒトの単一遺伝子疾患を研究することで、好中球の新しいbiologyを発見できるかもしれない

    単一遺伝子自己炎症性疾患
    • 自己抗体や抗原特異的T細胞が陰性で、突発的な発熱、炎症反応を示すのが特徴である
      • 獲得免疫というより、自然免疫の異常による疾患であることを示唆している
    • 他の骨髄系細胞のように、好中球は、pattern- recognition receptors に多様なレパートリーを有しており、それによって自然免疫を活性化できる
      • in vitroで好中球を用いた実験を行う必要があるが、ヒト好中球におけるpattern- recognition receptors の理解が不足しており、多様な自己炎症性疾患における機能の研究は主にmonocyte/macrophage cell linesで行われてきた
    • 活性化した好中球のneutrophil phenotypeは、familial Mediterranean fever(FMF)の発作間欠期でも認める
      • FMFでは、NETsは、IL-1βによる炎症を制御している
    • inflammasome関連分子であるNLRP3, NLRC4, NLRP12のpoint mutationの存在は、自己炎症性疾患に対するIL-1阻害治療が有効であることを示している
      • 自己炎症性疾患におけるIL-1β産生源はmonocyteであるが, 好中球も病態に関与している
        • Neutrophilic urticarial dermatosis(NUD)は、neonatal-onset multisystem inflammatory disease (NOMID)における組織学的な特徴である
        • Chronic atypical neutrophilic dermatosis with lipodystrophy and elevated temperature (CANDLE) syndrome は、immunoproteasomeの機能異常による疾患であるが、未熟な好中球が皮膚に浸潤しているこが特徴である
        • しかしながら、これらの疾患における好中球の機能については、わかっていない

    痛風
    • 痛風の病態では、自然免疫が重要である
    • ヒトにおけるプリン代謝産物の最終産物である尿酸が、ナトリウムが豊富な液体において針状のmonosodium urate monohydrate (MSU) 結晶へ結晶化することによって発症する
    • 以下の機序によって、NLRP3 inflammasomeの活性化を介して、MSU結晶は関節や組織において炎症を誘導する
      • MSU結晶をmonocyteが貪食し、endosomeが細胞内でacidic lysosomeと融合する
      • phagolysosome内のpHが低下することで大量のナトリウムを放出し、細胞内の浸透圧が急激に増加し、アクアポリンを介した自由水の流入が生じ、細胞内のカリウム濃度が低下する
      • 細胞内のカリウム濃度低下がNLRP3 inflammasome活性化を起こし、pro IL-1βを活性化IL-1βへ変化させる
      • MSU結晶によるinflammasome活性化とサイトカイン放出は、好中球を引き寄せる
    • 急性の痛風発作は、結晶は発作間欠期にも残存するが、self-limitingである
      • 他の軟部組織を病変とする炎症性疾患の発症と異なり、数日間で症状が消退する
      • これは、MSU結晶誘発性の炎症を抑制する機序があることが示唆される
        • IL-10, TGFβ, proinflammatory macrophage → antiinflammatory macrophageへのスイッチが、機序として考えられる
    • 最近の報告では、痛風における炎症・抗炎症の異なる機序も提唱されている(figure3)
      • MSU結晶が存在する炎症部位に好中球が引き寄せられ、NETsを形成する
      • 好中球の数が少ない間は、炎症性サイトカイン(IL-6, TNF), 好中球誘導物質(CXCL8), 好中球活性化因子(CCL3, CXCL10)などの炎症メディエーターが放出され、それによってさらに好中球が増加する
      • NETsも最初は単一であったのが、NETsの集合体(aggregated NETs)が形成されてくる
      • NETsの集合体によって、MSU結晶はDNAや顆粒蛋白に捕捉され、セリンプロテアーゼ(好中球エラスターゼ、PR3など)によって炎症性メディエーターが不活化される




    好中球を標的にした治療

    • ステロイドは、好中球のアポトーシスを抑制し、好中球による炎症を増強させることが報告されている
      • 機序として報告されているのは、antiapoptotic Bcl-2 family membersの発現増加、NF-κB活性化、アポトーシスの経路に関わる物質の抑制、アポトートシス蛋白の阻害など
    • コルヒチンは、抗炎症作用があるが、特に好中球に作用する
      • 機序としては、好中球などの免疫細胞における微小管の重合を阻害することで、phagocytosisの抑制やpathogensのlysosomeへの移送が抑制されることが考えられている
    • ダプソンは、白血球の走化・細胞障害機能を抑制する
      • 好中球の接着機能を阻害することで、血管外への遊走を抑制する
    • シクロホスファミドによる好中球減少はよく知られた有害事象であるが、実のところ、どのようにして顆粒球の機能へ影響し、好中球へどれほど影響するかはわかっていない
    • NET形成・clearanceを標的にした薬剤は、NETosisが病態に関連している疾患には有効だろう
      • ヒドロキシクロロキン、シクロスポリンAは、生理的濃度において、PAD enzyme の阻害 or ROS産生源への作用で、NETosisを阻害し、lupus動物モデルにおいて有効であることが示されている

    2017年11月4日土曜日

    自己免疫疾患と補体について:review


    ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
    Vol. 69, No. 11, November 2017, pp 2102
    –2113

    The Evolving Landscape for Complement Therapeutics in Rheumatic and Autoimmune Diseases
    Joshua M. Thurman, Ashley Frazer-Abel, and V. Michael Holers


    背景

    • 補体系は自然免疫系における主要な要素であり、微生物排除や外来抗原の認識、液性免疫や細胞障害性免疫の増幅、アポトーシスした細胞の除去、移植後の肝臓など一部の組織における再生などに関わっている
    • 一方で、自己抗原に対する不適切な補体活性化は、炎症性疾患や自己免疫疾患の発症にも関わっている
      • 実際に、リウマチ膠原病領域でも、補体系を標的にした治療はいくつか成功している
    • このレビューでは、リウマチ膠原病領域における補体の病態としての関与と、治療標的としての補体経路を述べていく



    Initiation, amplification, regulation, and effector pathways in the complement system



    • 補体経路は3つ存在する
      • 古典的経路
        • antibody-dependent
          • IgM, IgGが古典的経路を活性化する
            • IgAは第2経路を活性化しうる
            • IgEは補体経路の活性化には関わらない
          • 抗原認識に続き、C1q 3量体, C1r, C1sが活性化し、C4, C2→C4b, C2aへ変化させる
          • C4b, C2aが古典的経路のC3転換酵素として作用する
        • antibody-independent
          • 組織障害によって生じた物質(pentraxin C- reactive protein as well as β-amyloid fibrils, and mitochondrial proteins)によって、直接C1qと作用し、C1r, C1sを活性化する
        • C1qは、アポトーシスした細胞を除去する機能も有している
      • レクチン経路
        • collectinというmannose-binding lectin (MBL), ficolins 1–3をなどを含むファミリーの1つを認識し、外来抗原を除去する
        • cytokeratin 1 やagalactosyl carbohydratesを含んでいるIgM/IgGなどを認識して組織障害にも関与している
        • MBL -associated serine protease 1 (MASP-1), MASP-2, MASP-3, C4・C2・C3を活性化させて、古典的経路と同様に、C3とC5転換酵素を産生する
      • 第2経路
        • C3が血小板表面、biomaterial、microparticleなどに結合することで、factorを結合し反応していく

    • 補体の受容体
      • CD35
        • 赤血球、B細胞、好中球、マクロファージなどで発現
        • 赤血球ではC3b and/or C4bを含む免疫複合体と結合したり、B細胞では抗原と反応させたり、好中球やマクロファージでは貪食能をあげる
      • CR2/CD21
        • iC3bとC3dgと結合
        • B細胞、血管内皮細胞、濾胞性樹状細胞(FDCs)、胸腺細胞、末梢T細胞の一部に発現
        • B細胞活性化、FDCsと免疫複合体の結合促進、B細胞の自己反応性を調節したりする
      • CR3 and CR4
        • iC3bと結合。貪食細胞とFDCsに発現
        • 免疫反応を負の方向へ制御している
      • その他
        • Kupffer細胞に発現している受容体は、循環している標的物質を捕捉する。免疫グロブリンのスーパーファミリーである。
        • アナフィラトキシックペプチドとして様々な炎症反応を惹起するC5a, C3aを認識するC5a受容体/CD88、C3a受容体もある。ロドプシンファミリーである。
          • C5aは、好中球や血小板を誘導するケモタキシスとして作用したり、肥満細胞からのメディエーターヤロイコトリエン・サイトカインの産生を促進したり、IgGのFc領域と反応する。C3aも同様に炎症において重要である。

    • 補体の負の制御因子
      • 補体活性化を抑制するメカニズムもある
        • C1 esterase inhibitor (C1-INH) 
          • 古典的経路、レクチン経路を阻害する
          • C1r/ C1sと活性化したMASP-1/MASP-2を捕捉する
          • kallikrein, factor XIa, XIIa, plasmin も不活化する
        • factor I
          • C3b, C4bを不活化する
        • factor H
          • 可溶性であり、第2経路を阻害する
          • factor Iのco-factorとしても作用し、C3bを不活化する
        • 細胞膜に存在する蛋白
          • decay-accelerating factor (DAF; CD55) 、membrane cofactor protein (MCP; CD46), membrane inhibitor of reactive lysis (CD59) も補体活性化を阻害する
          • DAF:C3b, C4bと結合し、古典的経路、第2経路を阻害する
          • MCP:C3b, C4bを分解するco-factorとして作用する
          • CD59:C8と結合してC9が孔を形成するのを阻害する

    • complement factor H–related (CFHR) family
      • 多くの疾患と関連している
        • age- related macular degeneration (AMD), atypical hemolytic uremic syndrome (HUS), IgA nephropathy,  systemic lupus erythematosus (SLE) など
        • factor Hが標的物質の表面に結合するのを阻害し、局所での補体活性化を促進する


    Overview of complement therapeutic approaches
    •  現在承認されているのは2つの薬剤のみ
      • eculizumab
        • C5に対する、ヒト化モノクローナル抗体
        • PNH、aHUSに承認されている
      • C1-INH関連薬剤
        • hereditary angioedema (HAE) に承認されている
      • 他に開発されているのは下(table1)

      • 病変局所へのdrug deliveryも研究されている
        • AMD(眼)
        • 第2経路が活性化されている疾患
        • C3腎症
      • 補体阻害治療開発において難しい点
        • 循環している蛋白の量が多く、それはサイトカインを上回る
        • turn-overが早い
        • 局所で合成され生物学的活性を高めている
        • 長期間の阻害によるriskは、補体を欠失している患者で明らかなように、免疫複合体が除去できない、Neisseriaを含む感染のリスクがある、組織再生が障害される


    Use of complement therapeutics in genetically defined and related diseases that are in the differential diagnosis with rheumatic diseases
    • Paroxysmal nocturnal hemoglobiuria(PNH)
      • PIGA遺伝子異常でDAF/CD55、CD59が欠失していることで、溶血、血小板・内皮細胞の活性化と凝固亢進を起こす疾患
      • 第2経路が活性化している
      • eculizumabが有効
    • Antibody-mediated hemolytic syndromes
      • 特に寒冷凝集素病では補体が重要
      • 補体自体が溶血させるというよりも、IgM, C3フラグメントに覆われた赤血球が肝臓で血管外溶血を起こす
      • 古典的経路を阻害する、C1sに対するモノクローナル抗体が期待されている
    • Hereditary angioedema(HAE)
      • C1-INHをコードする遺伝子のヘテロ接合体異常 
      • C1-INH関連薬剤が発作を減らす
    • aHUS
      • 補体による炎症が多臓器に生じ、微小血栓が生じる
      • 血小板減少、溶血性貧血、腎不全など
      • HUSは90%がShiga-like toxinを産生する感染性腸炎によるものであるが、atypicalはこの細菌の関与がないものに使われる
      • 遺伝的・後天的に第2経路活性化を調節する機能が失われると発症する
      • factor H, MCP, factor I, C3, factor B, thrombomodulin の遺伝子異常が特定されている
        • C3, factor B遺伝子異常に関してはgain-of-function mutationだが、そのほかの遺伝子異常は負の制御因子の欠失によるもの
        • 一部の患者では、facotr Hに対する阻害自己抗体が見つかっている
      • eculizumabがphase2試験において良好な結果を示した
    • ぶどう膜炎、AMDなどの眼疾患
      • 自己免疫性ぶどう膜炎では補体の関与が指摘されている
      • AMDでは補体関連遺伝子の多型がリスク遺伝子として見つかっている

    Rheumatic diseases that are likely to be partly complement-dependent
    • 関節リウマチ
      • 自然免疫、補体は、発症・持続・慢性炎症のいずれのphaseにも関与している
      • 軟骨へのIgG、活性化したC3を含む免疫複合体沈着、滑膜への補体沈着が見つかっている
      • RA患者の軟骨由来の蛋白は、補体活性化と補体経路抑制の両方の機能を示した
      • 第2経路とレクチン経路の開始と増幅メカニズム、走化を誘導するペプチドとその受容体、局所の補体合成の関与もモデルマウスでは証明されている
      • CR1-C3dg相互作用が関与しており、それを阻害することで疾患活動性が低下したことも報告されている
      • しかしながら、C5a受容体阻害はRA患者の滑膜炎を改善させなかった


    • SLE
      • SLEにおける補体の関与はparadoxicalである
        • C1, C2, C4欠損はSLE発症のリスクであり、補体は細胞が壊れて出てきた自己抗原をすぐに除去することで自己免疫疾患の発症を防ぐ
        • しかしながら、一度自己免疫が誘導されると、循環している免疫複合体が組織に沈着もしくは局所の自己抗原に自己抗体が結合し、補体活性化を誘導して炎症を起こす。また、type 1 IFNの産生も促す。
        • 理想的には、SLE患者への治療は、組織での免疫複合体の炎症性作用を阻害し、自己抗体を産生している獲得免疫の反応を調節することである
        • 実際に、eculizumabがoff-labelで使用されて重症のSLEに対して有効な成績を残している。
        • 細胞が壊れて出てきた自己抗原をすぐに除去するなど自己免疫に対して保護的に作用している面を阻害せずに、SLEの病態として関与している補体を制御するには、組織障害を標的にした薬剤を使用することで第2経路を選択的に阻害することが重要である


    • 血管炎
      • ANCA関連血管炎では、好中球から産生された物質がC5aを合成し、C5aが好中球のANCA抗原発現を誘導し、ANCAとの反応を促進し、ループが形成されている
        • 実際に、C5a受容体を欠失したマウスでは疾患活動性が低下する
      • また、C3の糸球体への沈着は、免疫複合体疾患よりも少ないが40%以上の症例で認めており、予後不良と関連している
      • さらに、補体活性化fragment(Bb, C3a, C5a, and soluble C5b–9 )はAAV患者の血清や尿で増加しており、第2経路の活性化が示唆される
      • CCX168(Avacopan)はphase2試験においてステロイドsparing、腎病変寛解達成率増加、BVAS低下を示した
        • 現在は、寛解導入時にCYC or RTXとの併用薬として、ステロイドと比較する試験が進行中である

    • 抗リン脂質抗体症候群、劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)
      • 古典的経路、レクチン経路、C5aが病態として関わっている
      • C5aは血管内皮細胞活性化、接着分子の発現、サイトカイン産生、凝固因子産生、PAI-1産生、好中球からの組織因子産生、単球からの可溶性VEGF1産生に関わっている
      • トロンビンとフィブリノゲンは補体活性化し、微小血管と補体・凝固カスケードの反応を触媒する
      • 健常人よりC3, C4が低く、C3a, C4aが高いことは既報でも報告されている
      • 治療抵抗性患者に対して、eculizumabが有効だったcase reportもあり
      • 特にCAPSの場合、腎移植後にAPSが再燃することがあるので、予防的にeculizumabを投与し成功した例も報告されている



    • Neuromyelitis optica
      • 補体とIgGがアクアポリン4に作用することが関連している
      • 補体の異常が報告されており、アクアポリン4抗体陽性の患者においてeculizumabが有効だったことが報告されている


    Complement system diagnostic approaches
    • 補体に関する検査は4つに分類される
      • 補体蛋白の濃度や数など定量的評価
      • pathway function assay 
      • 循環中もしくは局所組織における補体活性化マーカー
      • 補体関連遺伝子の解析

    • table2は疑われる疾患ごとに有用な補体の検査を示しており、これを参考に治療のターゲットを検討することができる


    • 定量的評価としてはC4, C3がメイン
      • 欠点としてはそれがC3なのかC3aなのかわからず、補体自体が急性炎症反応蛋白の要素もあるので、原病による消費と炎症による産生亢進のバランスを念頭に置かねばならないことである
    • functional pathwayとしては、CH50がある
      • 補体阻害治療の出現によって新しい有用性を示している
      • 活性化〜最終的な複合体形成まで、全ての機能を反映する
      • しかしながら、通常のassayでは患者血清を希釈して測定するため、それに伴い薬剤も希釈されるので、in vivoでの阻害作用をそのまま反映していないかもしれないことは注意する必要がある
        • これに関しては、AH50というassayではより低い希釈倍率で可能なため、補体阻害薬で治療中の場合はこちらを利用したほうがいいかもしれない
    • 補体活性化マーカーの測定について
      • 補体活性化マーカーは、転換酵素や複合体に加え、補体活性化に伴い分裂した補体も測定できるので、現在まさに進行中の炎症を捉えることができるかもしれない
      • フローサイトメトリーやimmunorogic testを利用して測定する
      • これによって、病態として関わっている特定の経路を明らかにすることができるだろう
      • また、C5阻害薬使用中に、最終的な補体複合体であるC5b-9を測定することでモニタリングが可能になる
        • しかしながら、ex vivoですぐに活性化するため、検体採取〜測定までの時間を短くしたり、適切に -80℃まで凍結しないと、測定エラーを起こすことなる
    • 補体関連遺伝子の検査も重要性が増してきている
      • aHUSやC3腎症、AMDなど
      • factor Hは特に、病態に関与しており、遺伝子検査が診断、予後に寄与しうる



    2017年9月9日土曜日

    AAVに対するAvacopan(C5a受容体アンタゴニスト)

    Jayne, D. R., et al. "Randomized Trial of C5a receptor inhibitor avacopan in ANCA-Associated vasculitis." J Am Soc Nephrol (2017).



    背景
    • AAV患者は、高用量ステロイド+CYC or RTXによる治療でも、最初の1年で死亡リスクが健常人と比較して9倍であり、それらは感染症、血管炎活動性、腎障害によるものである
      • Rheumatology (Oxford) 50: 697–702, 2011
      • 15-38%の患者が5年以内にESRDとなる
    • RTXやCYを比較したRAVE trialでも、再燃やコントロール不能な疾患活動性、副作用などで、6ヶ月後の寛解というprimary outcomeを達成できなかった人が42%いた
      • N Engl J Med 363: 221– 232, 2010 
    • C5a, C5a受容体(C5aR, CD88)はAAVにおいて重要な役割を果たしている
      • TNFαのような炎症性サイトカインによって活性化されたC5aは、ANCA存在下で、好中球の活性化・変形を起こし小型血管にゆっくり浸潤する
      • C5aは血管内皮細胞に作用し収縮させ透過性を亢進させる
    • Avacopanは、以前はCCX168と呼ばれていたものであり、C5aを阻害する小分子C5aRアンタゴニストであり、内服で投与する
    • 今回の研究では、CYもしくはRTXによって寛解導入を受けた後のAAVにおいて、高用量ステロイドの代替薬としてAvacopanが有効かどうか、安全性を調べてみた

    方法
    • ランダム化、二重盲検
    • ヨーロッパの32施設
    • 対象
      • 18歳以上
      • CHCCを満たす新規/再燃GPA, MPA
      • 一般的にCYC or RTXによる寛解導入が必要な程度の重症度
        • 血清学的にANCA陽性
        • 腎生検で血管炎を証明 or 血尿+蛋白尿
        • eGFR > 20ml/min/1.73m2
    • exclusion criteria
      • RPGN
      • 肺胞出血
      • 急性発祥の多発単神経炎
      • 中枢神経病変 
      • 他の自己免疫疾患併発
      • 凝固もしくは易出血性あり
      • 12週間以内にCYの治療を受けた
      • 12ヶ月以内にRTXの治療を受けた
      • 12週間以内にステロイド点滴で3g以上投与された
      • 6週間以内にPSL10mg相当以上投与された
    • 全例でinductionとしてCYC or RTXを使用した
      • Avacopanがステロイドの代替薬として安全に使用できるかに関する既報がないため、今回の研究ではstepwise方式をとった
        • step1(12人)では、control群(placebo+PSL60mg)とAvacopan(30mg 1日2回)+PSL20mg群に2:1で分けて、avacopan併用群でステロイドを20mgに少なくして開始することで重大な副作用が起きないか確認し、step2に進んだ
        • step2(14人)では、control群とAvacopan(30mg 1日2回)+placebo群に2:1で分けて、avacopan群が完全に経口PSLに置き換えられるか確認した
        • step3では、n数を増やした
        • 研究開始した時点ではまだRTXが使用できなかったため、steps 1、2 ではIVCY15 mg/kg(最大1.2 g)をday1,  weeks 2, 4, 8, 12に投与し、その後AZAを2 mg/kg/dayを14週〜24週まで投与した。CYは腎機能や年齢などで調節。
        • RTXはstep 3から使用開始し、全例、上記と同様にIVCYを使用するか、RTX 375 mg/m2  1週間毎 ×4回
    • PSL漸減方法は下の通り



    結果

    • 期間:2012/10-2016/1
    • 新規/再燃のAAVの患者87人が組み込まれ、そこから20人は下図box内の理由で除外され、63人を3群にランダム化
      • control群:placebo+PSL60mg
      • Avacopan(30mg 1日2回)+PSL20mg
      • Avacopan(30mg 1日2回)+placebo




    • baseline characteristics
      • control群でCrスコアが高い
      • MPO-ANCA陽性40-60%, PR3-ANCA陽性30-50%
        • control群のほうがPR3-ANCA陽性の人が多め
      • 試験に組み込まれる前の治療
        • Avacopan群も以前にステロイド使用されている人が50%いる、平均用量PSL50mg程度
        • 免疫抑制剤使用率 10-20%程度(AZA, MTX, MMFのみ。RTX, CYCの使用なし。)
      • 以下、あまり3群で違いなさそう
        • 平均年齢 57-59歳
        • 男性が多い
        • 全員白人
        • 新規70-80%, 再燃20-30%
        • GPA, MPAは半分ずつくらい
        • BVAS 13-14程度, VDI 0.5-1.2
        • 臓器病変
          • 腎臓95%以上
            • eGFR 45-55
          • 肺 30-40%程度
          • 神経障害 10-20%


    • 治療開始12週時点の治療反応性(ΔBVAS 50%以上低下、臓器障害悪化がない)
      • control群:14/20 (70.0%)
      • Avacopan+PSL20mg群:19/22 (86.4%)
      • Avacopan+placebo:17/21 (81.0%)
      • Avacopanを含む2群はcontrol群とそれぞれ比較して非劣性
     


    • サブグループ別の治療効果は下の通り
      • 新規と再燃、GPAかMPAか、ANCAの種類別、寛解導入でCYかRTX使用したかではあまり違いはなさそう



    • 蛋白尿はAvacopan群のほうが有意に減少(eGFR, 血尿, CRPはcontrol群と同様)
    • BVASも有意差はないがAvacopan群のほうが改善が大きい傾向

     *P=0.05, **P=0.01, ***P=0.001


    • 副作用
      • 死亡なし
      • (なぜか副作用の欄にvasculisの記載あり)




    そもそもRPGNや肺胞出血など重症群が今回の研究では最初から除外されており、現時点ではあくまでも、RPGNとかほど重症ではない場合に、CYもしくはRTXで寛解導入した後に、後療法として高用量ステロイドは糖尿病とかもあるしやだなぁ・・・っていうAAVに対して、steroid sparing agentとして使用される可能性がある。
    まだRTXやCYの代わりになれるとはいえなくて、今後、この薬剤の立ち位置、長期の治療効果など検討することがまだありそうです。
    内服できる、治療反応が早いのはいいですね。

    しかし、Avacopan群において、なんで再燃例が30%程度で、以前にすでにステロイド使用していた人が半分以上いるのかよくわかりません・・・とりあえず少量でステロイド開始されていたってこと?

    トファシチニブ開始後のリンパ球数、リンパ球サブセットの推移と感染症の関連について

    Evaluation of the Short‐, Mid‐, and Long‐Term Effects of Tofacitinib on Lymphocytes in Patients With Rheumatoid Arthritis Ronald van Voll...