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2018年2月28日水曜日

大血管炎における、FDG-PETのimaging biomarkerとしての有用性:再燃を予測できるかもしれないが、疾患活動性のモニタリングには不適切


ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 70, No. 3, March 2018, pp 439
–449 DOI 10.1002/art.40379


背景

  • Positron emission tomography (PET)は、18F-fluorodeoxyglucose (FDG)の取り込みを見ることで、腫瘍性疾患の診断や治療効果判定に使用するmolecular imagingである
    • マクロファージを含む炎症性細胞も、解糖系が亢進しており、FDGの取り込みは腫瘍細胞と同様に亢進しているので、炎症性組織の評価にも有用であると考えられているが、まだその点に関しては議論されているところである
  • GCAとTAKは、大動脈とその第1分枝に病変を有する大血管炎である
    • 大血管炎の疾患活動性評価は未だ難しく、有効なモニタリングや治療の確立への障害となっている
    • 臨床的に寛解をある程度維持していても、炎症性マーカーは正常であっても、新規の血管病変が出現することもあり、実際に臨床的寛解の状態で側頭動脈を生検すると活動性の血管炎を認めたという報告もある
    • 血管造影が評価にしばしば推奨されるが、大血管を評価するためのガイドラインは存在せず、血管のダメージが生じる前に血管の炎症を評価するには血管造影では感度が低いのも事実である
    • FDG-PETは、大血管に浸潤している白血球の代謝活性を評価するので、血管造影よりも血管の炎症をモニターするのに感度が高いのではと報告されている
  • いくつかの既報でも、molecular imagingによる大血管のモニタリングが試みられているが、FDG-PETの有用性はまだわかっていない
    • 多くの研究では、FDG-PETによって大血管の炎症を発見することができたが、それはretrospectiveな研究であり、大血管に類似する疾患ではなく健常人や悪性腫瘍患者をコントロールとしている
    • また、多くの研究では、大血管炎発症時点でのFDG-PETに焦点をおいており、その後、疾患活動性の評価や再燃を予測できるかについては、報告が限られている
  • そのため、今回の研究では、大血管炎に対するFDG-PETの有用性を、prospectiveに、大血管炎のコホートを利用して、主に大血管炎に類似する様々な患者をコントロールに設定し、時系列で評価することを目的とした

方法
  • prospective、観察研究、the National Institutes of Health (NIH) in Bethesda, MD (ClinicalTrials.gov identifier: NCT02257866)のコホートを使用
  • 対象
    • 5歳以上
    • TAKのACR 1990の分類を満たす、もしくはGCAのACR 1990を満たす
    • 様々な病期の患者を含む
  • コントロール
    • NIHに、大血管炎の可能性があると紹介されたが、大血管炎ではなかった患者群
      • 他の全身性炎症性疾患(結節性多発動脈炎など)や非炎症性疾患(線維筋性異形成など)が含まれている
    • 脂質異常症を有する患者群
      • 脂質異常症群は、動脈硬化性疾患においてスタチンがimagingに与える影響について調べている別の臨床試験(ClinicalTrials.gov identifier: NCT01212900) の対象群の一部であり、55才以上でスタチンが必要な患者
      • 脂質異常症の患者群が選ばれたのは、動脈硬化性疾患が画像的に大血管炎に類似することが知られているからである
    • 健常人
  • 6ヶ月ごとに診察、画像評価を行なった
    • 慢性的な倦怠感、急性期炎症性蛋白の増加は、他の血管炎の臨床症状を伴わない場合には、活動性があるとは判断しなかった
  • 定義
    • 寛解
      • 血管炎を示唆する臨床的症状が全くない
    • 再発
      • 寛解を達成した後に、PSL ≧ 10mg/day までの増量 or 免疫抑制剤の追加を有するまでの臨床的活動性が出現した。
      • 再発を評価する医師には、画像評価の結果は盲検している
  • FDG-PET imaging protocol
    • 撮影前には炭水化物を含む食べ物は制限
    • 18才以上は体幹を撮影
    • 注射2時間後にCTで撮影
      • 放射線被曝を最小限にするために、18才未満はwhole-body FDG- PET–magnetic resonance imaging (MRI) を撮影した
    • 成人は、18F-FDG (10 mCi)と用量を固定し、小児患者は体重に合わせて投与した(0.1 mCi/kg). 

  • 読影は2人の核医学専門医が、臨床データ盲検の元、それぞれ独立に評価した
    • 大動脈の4つの部位(上行大動脈、大動脈弓部、下行大動脈、腹部大動脈)+主要な11分枝(腕頭動脈、頸動脈、鎖骨下動脈、腋窩動脈、腸骨動脈、大腿動脈)において、FDGの取り込みを以下のスコアで定量的に評価し、summary score( = PETVAS)を計算した
      • 取り込みなし:0
      • 感動以下の取り込み:1
      • 肝臓と同様の取り込み:2
      • 肝臓以上の取り込み:3


結果
  • 2014/9-2017/2の期間に、115人の患者がリクルートされた(table1)
    • 大血管炎:56症例
      • GCA:30
      • TAK:26
    • コントロール:59症例
      • 脂質異常症:35
      • 大血管炎類似疾患:17
      • 健常人:7

  • 大血管炎の患者群のより詳細な情報(supple. table2)


  • 臨床的に活動性があると判断された大血管炎の臨床所見

  • 大血管炎に類似する疾患を有する患者群の内訳

  • FDG-PETの有用性(table1)
    • 2人の読影医の結果は十分に一致していた
      • κ = 0.84, 95% confidence interval [95% CI] 0.75, 0.94
    • 大血管炎の患者のうち、68%(75/111人)は、FDG-PETにて活動性の血管炎の所見を認めた
      • コントロール群で、FDG-PETにて活動性の血管炎の所見を認めたのは、17%(10/59人)のみだった
  • 臨床的所見による活動性と、画像所見による活動性の結果をcombineした結果(table2)
    • FDG-PET(臨床的所見により活動性のある血管炎と、コントロール群を区別するための有用性)
      • 感度:85% [95%CI 69-94]
      • 特異度:83% [95% 71-91]
    • しかしながら、臨床的に寛解である大血管炎を、臨床的に活動性のある血管炎と区別するには、FDG-PETはあまり有用でなかった
      • 特異度:42% [95% 31-55]

  • なお、代表的なPET所見は下の通り
    • 25才女性、高安動脈炎
    • 罹病期間:31ヶ月
    • 弓部拡張により大動脈弁置換を必要とした
    • この撮影を行なった時点で、CYC+PSL 30mg/day で治療しているものの、臨床的活動性あり(浮遊感、頭痛、視力障害、最近の脳梗塞、頚部痛、倦怠感、急性期炎症反応蛋白増加)
    • PETでは、FDG取り込み亢進が大血管全体に認められ、PETVAS = 24
    • この後、IFX, MTXで治療し、PSLは漸減していったところ、臨床的活動性は安定し、6ヶ月後のフォローではFDG取り込みが低下した


    • 74才女性、生検で証明されたGCA
    • 罹病期間:10年間、両側失明あり
    • 血管造影では、大動脈や主要分枝の病変認めず
    • この画像を撮影した時点では、臨床的には寛解していたが、PETではわずかなFDFG取り込みを大血管に認めており、PETVAS = 14
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎なし"で一致



    • 66才女性、スタチンを要する脂質異常症
    • PETでは大血管全体にFDG取り込みが亢進している(特に上行大動脈、弓部、左鎖骨下動脈の近位、腋窩動脈)、PETVAS = 21
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎あり"で一致



    • 76才女性、生検で証明されたGCA
    • 罹病期間:17ヶ月
    • 撮影時点では、臨床的には寛解していた(PSL 4mg/day, ESR 15mm/hr, CRP 0.95mg/dL)
    • 血管造影では、狭窄病変・動脈瘤・動脈閉塞なし
    • PETでは、大血管全体にFDG取り込み亢進あり、PETVAS = 27
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎あり"で一致
    • これを撮影した4ヶ月後に、再燃した(倦怠感、CRP増加、関節痛によりPSL増量+MTX開始)


  • FDG-PETによる活動性と関連する臨床項目について、多変量解析を行なった(table3)
    • 以下の項目が有意差あり
      • 臨床的に疾患活動性あり
      • 罹病期間が短い
      • BMI低値
      • PSL投与量が少ない
    • 以下の項目は、有意差なし
      • 急性期炎症反応
      • 年齢
      • 性別
      • 血管炎の種類
      • 免疫抑制剤の使用の有無

  • PETVASによる定量的評価
    • 大血管炎の患者群は、コントロール群と比較し、上行大動脈・弓部・下行大動脈・腹部大動脈・頸動脈・鎖骨下動脈のscoreが有意に高かった(figure1A)
      • しかし、いずれの部位も、大血管炎群>コントロール群 の傾向がある

    • 血管炎の種類別
      • GCA > TAK:腹部大動脈、腋窩動脈、腸骨・大腿動脈
      • GCA ≒ TAK:胸部大動脈、頸動脈、鎖骨下動脈

    • 読影医が、"画像的に活動性血管炎あり"と評価したほうが、"画像的に活動性血管炎なし"と評価した場合よりも、PETVAS scoreは有意に高い(figure1B)
    • "画像的に活動性血管炎あり"と評価された大血管炎は、どのコントロール群よりも、有意にPETVAS scoreが高い(figure1C)

    • 臨床的に寛解と判断された大血管炎よりも、臨床的に活動性のある大血管炎のほうが、有意にPETVAS scoreが高い(figure1D)
    • 寛解の時点で比較すると、GCAのほうが、TAKよりもPETVAS scoreが有意に高い(※これに関しては年齢などによる交絡がありそう)

    • 臨床的に活動性のある大血管炎と、寛解の大血管炎を区別する、PETVASのROC曲線(figure1E)
      • カットオフ = 20
        • 感度:68% [95%CI 50-83]
        • 特異度:71% [95%CI 58-82]
  • 臨床的に活動性のある大血管炎と寛解の大血管炎で、それぞれPETVASと関連がある項目について(table4)
    • 臨床的に活動性のある大血管炎
      • 急性期炎症反応蛋白(ESR, CRP, Fib)とPETVASが中等度の相関あり(r=0.36 - 0.52)
      • PSLの用量は、PETVASと逆相関あり
    • 臨床的に寛解の大血管炎
      • 年齢は正の相関、BMIは負の相関あり

  • PETによる、大血管再燃の予測について
    • 39症例が寛解の時期にPETを撮影
      • そのうち8症例が再燃し、20をカットオフとすると、再燃例では有意にhigh PETVAS scoreの症例が多かった(figure2A)
        • PETVAS ≧ 20 vs < 20:55% versus 11% (P = 0.03)


    • 上記39症例の中で、PETVAS ≧ 20 の患者と < 20 の患者の臨床的項目の違い
      • PETVAS ≧ 20 
        • 罹病期間が短い
        • GCAが多い
        • 高齢
        • 免疫抑制剤の併用割合が少ない
      • 急性期炎症反応蛋白は有意差なし
      • いずれの群も、撮影時には 平均PSL ≦ 5mg/day

    • Figure2B, Cが、high PETVAS scoreの代表的な2症例の画像
      • 生検を行なった片方の症例では、臨床的に寛解ではあったものの、側頭動脈を生検すると活動性の血管炎の所見を認めた(figure2D)(PETVAS=27)


まとめ
  • 臨床的に活動性のある大血管炎の症例の多くは、FDG-PETでも活動性のある所見を認めたが、臨床的に寛解と判断された症例の多くも、FDG-PETで活動性のある所見を認めた
    • 生検によって、全例、活動性があるか調べたわけではないので、臨床的寛解の状態において、血管壁の代謝活性が増加していることが、subclinicalな血管炎を反映しているのか、リモデリングを反映しているのか、低酸素を反映しているのか、動脈硬化を反映しているのか、これらの複合的な結果なのか、はわからない
    • 大血管炎の臨床的寛解状態の動物モデルによる実験では、FDG取り込み亢進は、動脈硬化性病変における組織学的なマクロファージの密度と関連しているものの、血管のリモデリングによって二次的に血管内皮 or 平滑筋細胞の代謝活性が変化することが、血管壁のPET scanに影響することが報告されている
    • すなわち、現時点では、FDG-PETを血管炎の活動性モニタリングに使用することは、推奨はできない
  • 上記のlimitationはあるものの、今回の結果では、臨床的には寛解していても、FDG取り込み亢進が血管壁全体で認められることが、再燃のリスクとなることが示されたため、subclinicalな炎症を反映している可能性を示唆している
    • 生検で活動性のある血管炎が認められた症例ではFDGの取り込みが亢進しており(Figure2D)、治療によってFDG取り込みが低下している症例もある(Figure2B)ことは、これを支持している
    • これらの結果により、寛解の定義をどうするか、という重要な疑問が浮かんでくる
  • 既報では、撮影方法に関して、注射してから1時間後に撮影していたが、今回は2時間後としたことで、血管壁へのFDG集積の感度をあげた
  • 既報よりも特異度が低いのは、コントロール群の設定の違いと考えられる
    • コントロール群の17%において、"画像的に活動性血管炎あり"と判断されており、大血管炎の診断はFDG-PETに基づいて行うべきではない
  • FDG取り込みの程度と、大血管炎の活動性の関連は、これまでの既報では一定していなかった
    • TAKにおいて、FDG取り込みと臨床的疾患活動性の関連があると報告した既報もあるが、最近のメタアナリシスでは、TAKにおいてFDG取り込みと臨床的疾患活動性は関連しなかったと報告している
    • TAKとGCAの間におけるFDG取り込みの程度の違いに関しては、今回の研究では、臨床的寛解の状態ではGCA > TAK でFDG取り込みが亢進しており、 TAKよりもGCAのほうが臨床的活動性と画像的活動性の不一致が生じやすいことを示している。
      • これは2疾患における年齢などの違いが影響していると思われる。
      • また、今回の研究では、GCA患者の方がTAKよりも罹病期間が短く、診断からが撮影までが比較的短いので、これも寛解時期におけるFDG取り込みの違いにも関連していることが考えられる
  • FDG取り込みは、動脈硬化による影響も受ける
    • しかしながら、今回の結果では、年齢に関しては、臨床的寛解の時期では関連はあるものの軽度であり、臨床的活動性のある時期では関連は認めなかった
    • ただし、記述した通り、GCAとTAKにおいて、臨床的寛解の時期でもFDG取り込みがGCA > TAKとなっているおり、このことからは動脈硬化によりFDG取り込みが影響されることが示唆される
  • 既報では、FDG-PETは大血管炎の再燃を予測できなかったという報告があるが、この研究では、診断後〜撮影までの期間が半年以内と短く、中等量以上のPSLを使用しており、これらがPETの予測能力に影響したと考えられる
    • PSLの用量が多いと、PET activityが低下することは、今回の報告で認めている(table3)
    • すなわち、今回の結果からは、すでに発症後数年間経過しており、ステロイドの用量が少ない時点で、FDG集積が亢進していると、再燃を予測できるかもしれない
    • PET scan activityの閾値に関しては、今回の試験で提示していないのは、PETVAS < 20 というのは読影医によって変化することが予測されるためである
  • limitation
    • 単施設の研究
      • しかしながら、読影医の結果は十分一致している
    • 様々な病期の患者を対象としているので、診断時点におけるPET所見は、今回の試験では評価できない
      • 今後、可能であれば発症時から、より長期間の経過観察していく別のコホートで評価することが望まれる

2018年2月24日土曜日

ASの靭帯骨棘(syndesmophytes)を評価する方法として、low dose CTを用いたスコアリングシステム = the CT Syndesmophyte Score (CTSS)の有用性


de Bruin F, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:371–377. doi:10.1136/annrheumdis-2017-212553

背景

  • ASは、靭帯骨棘(syndesmophytes)を形成する疾患である
    • syndesmophytesの評価は、頚椎・腰椎の側面レントゲンを撮影し、mSASSSにて評価する
      • しかしながら、側面レントゲンでは、椎体のうち前方の椎体角しか評価できず、胸椎に関しては他の軟部組織陰影が存在するため全ての胸椎を正確に評価することができない
      • さらに、C7は肩関節のため見えないことも多い
      • 撮影者など撮影方法によっても感度が異なってしまう
    • MRIにて全脊椎を撮影する方法もある
      •  しかし、calicificationに関連するsignalがなく、線維輪と靭帯が同じ程度のsignalを示すため、骨形成の評価にはあまり適していない
    • CTが、骨形成には、最も適切な評価方法である
      • しかしながら、被曝の問題もありフォローには適していない
      • 被曝に対しては、low-dose CT(ldCT)を使用することで克服できるかもしれない
      • 以前に、CTを使用して、コンピューターのアルゴリズムに基づいてASのsyndesmophytesを評価した報告もあったが、これらは腰椎のみを対象としたアルゴリズムであり、高解像度CTを使用しているため被曝量も多いものだったため、現実的な方法ではなかった
  • そのため、今回は、ldCTを使用して、AS患者の脊椎におけるsyndesmophytesを評価するためのスコアリング(the CT Syndesmophyte Score [CTSS] )を開発することを目的とした

方法
  • AS患者を対象とした、2年間の観察研究である、the sensitive imaging in ankylosing spondylitis (SIAS) study のデータを使用した
  • 60人の患者が対象
    • 30人:オランダ人
    • 30人 :ドイツ人
  • 組み入れ基準
    • mNY基準を満たす
    • 頚椎・腰椎側面レントゲンにて、syndesmophytesを 1 - 18 認める
    • 全脊椎MRI STIRにて、1個以上の炎症性病変を認める
    • 治療内容、疾患活動性は問わない
  • 頚椎・腰椎側面レントゲンと全脊椎ldCTはbaselineと2年後に撮影する
    • 東芝の64列CTを使用

  • the CT Syndesmophyte Score [CTSS] について
    • figure1A
      • 矢状断では、椎体の前方・後方を評価
      • 冠状断では、左方・右方を評価
    • figure1B
      • vertebral unit(VU)は、椎体の下半分・椎体間・椎体の上半分で構成される
      • C2下縁~S1上縁まで、23個のVUがある

      • figure1C
        • syndesmophytesを伴うVUの模式図。
        • グレーの点線は椎体間の中間を示しており、左側のsyndesmophytesのように中間に達しない場合は score 1, 右側のように中間を超える場合には score 2 , 椎体間をまたぐ場合は score 3 とする
        • 1個のVUに、8つの評価部位(quadrants)があり(下縁の左右、上縁の左右の4つが、冠状断と矢状断でそれぞれある)、評価部位ごとに最大の score が 3 であるために、1人の患者における最大 score = 552(3×8×23 VU)
      • figure1D(冠状断)
        • score 3:T11-12のように(白矢印)、椎体間をまたぐsyndesmophytesの場合は、T11の右側下縁椎体角とT12の右側上縁椎体角にそれぞれ score 3 とする。
        • score 2:T12-L1のように(白点状矢印)、椎体間の中間を超えてT12からsyndesmophytesを認める場合は、T12の右側下縁椎体角は score 2 とする。
        • score 1:左側のT12-L1のように(白矢頭)、椎体間の中間を超えずにsyndesmophytesを認める場合は、T12の左側下縁椎体角は score 1とする。
      • figure1E(矢状断)
        • 冠状断と同様に評価する
      • 上記スコアを、2人の読影者がそれぞれの患者を他の情報を盲検した状態で読影する



    結果

    • 60症例のうち、ldCTを撮影していない(n=9)、画像の質が不良など理由で除外され、最終的には49症例を解析
      • 合計 18 032ヶ所 (23 VUs * 8 quadrants * 49 patients * 2 timepoints)を評価した
    • baseline characteristics(table1)
      • 平均 50才
      • 男性 84%
      • HLA-B27陽性 88%
      • レントゲンによるsyndesmophytesの数
        • 平均 5.7 (SD 4.4)[読影者1]
        • 平均 6.3 (SD 5.1)[読影者2]





    • 各椎体と全脊椎における、baselineと2年後におけるそれぞれの平均CTSSスコアと、2年間におけるΔCTSSスコア(table2)
      • 読影者1と読影者2の間でスコアに有意差なし(ICCにて評価)
      • 全脊椎における、 baseline CTSS 中央値
        • 127 (range 11– 428) [読影者1]
      • 全脊椎における、 2年間の Δ CTSS 中央値
        • 10 (range −11 to 96)[読影者1]
      • 脊椎別にみると、胸椎が最もスコアが高く、構造破壊・骨増殖が強かった





    • 全脊椎のnet changeで評価すると、半数以上の患者が2年間で進行していると判断された
      • 61% [読影者1]
      • 76% [読影者2]
    • 脊椎別にみると、胸椎が、進行性の変化を示した患者の割合が最も多かった
      • 胸椎 63% > 腰椎 55% > 頚椎 49% [読影者1]





    • score 1, 2, 3をつけた椎体の分布(figure2)
      • 読影者間で同様
      • A:baselineにおけるscoreの分布
        • score 3:胸椎に多い
          • 胸椎のVUのうち、45%はscore 3だった
        • score 2:腰椎に多い
      • B:進行性の変化を示したVUの割合
        • 胸椎が、進行性の変化を示した割合が最も多かった



    • baselineにおいて、VUのうち、前方・後方・左方・右方における、scoreの分布(figure3)
      • どの方位(前方・後方・左方・右方)においても、胸椎が最もsyndesmophytesが多かった
      • その中でも最も多いのは、胸椎右方がsyndesmophytesが多かった


    まとめ
    • ASを対象とし、ldCTによってsyndesmophytesを評価する新しいスコアリングシステムであるCTSSの結果を示した最初の研究である
    • 読影者間で結果がほぼ一致する結果となった
      • 全脊椎のICC = 0.99, 脊椎別にみても ICC = 0.97–0.98
      • score分布も読影者間で同様だった
    • 最も構造変化が進んでいたのは胸椎であり、3人のうち2人の割合でなんらかの進行性変化を認めた
    • ldCTでsyndesmophytesを評価する利点は、レントゲンと異なり、妨害しうる構造物(軟部組織など)がないということである
      • そして、今回、ldCTにて最も進行性の変化割合が多かった胸椎が、レントゲンでは最も評価しにくい部位である
      • そのため、ldCTで胸椎を評価するのは非常に重要である
      • そして、ldCTでは、レントゲンと異なり、椎間関節や仙腸関節も評価できる
        • 椎間関節の評価の重要性については筆者らが研究中であるが、椎間関節とsyndesmophytesはそれぞれ別々に評価することができるように今回のスコアには含めなかった
      • mSASSSでは、syndesmophytesは有りか無しかのみで評価しているが、CTSSでは椎体間の50%を超えるか超えないかも評価しており、より詳細にsyndesmophytesの進行を評価できる
      • syndesmophytesの幅も評価に入れることを試みたが、これは再現性に乏しかった
    • 今後、構造変化の評価について、側面レントゲンとldCTを直接比較した研究が必要である

    2018年1月1日月曜日

    FUO/IUOにおけるPET-CTの有用性


    Schönau V, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:70–77

    背景

    • FUO(fever of unknown origin)とIUO(inflammation of unknown origin)では、200疾患ほど鑑別疾患がある
    • FUOの定義
      • 3週間以上、症状が持続
      • 複数回、体温が38.3度以上となる
      • 診断がついていない
    • FUOは感染症、悪性腫瘍、非感染性炎症性疾患、その他に分類される
      • 発展途上国では多くが感染症であり、先進国では非感染性炎症性疾患が多い
    • IUOは、発熱はないが炎症がある状態であり、臨床所見もFUOとは異なるが、背景に潜んでいる疾患はFUOと類似している
    • FUO/IUO患者は、各種検査を行なっても、30-50%では診断がつかない
      • そこで、PET-CTが診断のために期待されている
      • これまでいくつかの報告がなされているが、PET-CTが診断を早めるのか、診断に費やすtotal costを下げるのか、不必要な侵襲的検査を避けることができるのか、はわかっていない
      • そのため、今回は、より大規模にPET-CTの有用性を調べることとした

    方法
    • 対象
      • 18歳以上
      • 2007-2015年の間に、FUO/IUOの精査目的で、自己免疫疾患・感染症の専門病院に入院した患者
    • FUOの定義
      • 38.3度以上の発熱を伴う症状が3週間以上持続し、問診・身体所見・標準的な検査で診断がついていない
    • IUOの定義
      • 体温が38.3度未満で、CRP > 0.7mg/dL and/or ESR >  年齢/2(男性)or [年齢+10]/2(女性)を伴う症状が3週間以上持続し、問診・身体所見・標準的な検査で診断がついていない
    • 上記対象患者を、上記定義に照らし合わせて、FUO or IUO or exFUO/IUOに分類
    • 全例、1回のPET-CTを入院中に受けた
      • 画像所見の評価は、臨床情報を盲検された2人の核医学専門家によって行なわれ、集積の程度や部位によって"pathological" or "non-pathological"に分類された
        • なお、生理的集積部位に関しては、中等度以上の集積によってpathologicalと判断
    • 最終的な診断は、標準的検査、PET-CT、生検を含めた全ての検査が終了後に、研究チームによってなされた
      • 悪性腫瘍、感染症、非感染性炎症性疾患、その他に分類
      • PET-CTが最終診断に有効かどうかは、研究チームによって行なわれた
      • PET-CTの診断能は、陽性・陰性・偽陰性・偽陽性で分類



    結果

    • 240人をリクルート(table1)
      • FUO, IUO, exFUO/IUOに分類
      • 抗生剤とステロイドは入院時点で中止したが、24.6%の患者は、PET-CT前にステロイドを投与されていた



    • 全体の79.2%は診断がついたが、20.8%は最終的にも診断名がつかなかった(table2)
      • 非感染性炎症性疾患は、IUO > FUO > exFUO/IUOの順で多かった(62.0% vs. 47.2% vs. 40.0%)



    • それぞれのグループにおける具体的な診断名のリスト


    Category
    Diagnosis
    Number of Patients (%)
    FUO

    Adult Onset Still `Disease
    Large Vessel Vasculitis
    Polymyalgia Rheumatica
    Periodic Fever Syndrome
    ANCA-Associated Vasculitis 
    Sepsis
    Systemic Lupus Erythematosus
    11 (15·3%)
    5 (6·9%)
    4 (5·6%)
    3 (4·2%)
    2 (2·8%)
    2 (2·8%)
    2 (2·8%)


    Anaplastic Large-Cell Lymphoma
    Aortic Stent Infection
    1 (1·4%)
    1 (1·4%)

    Chronic Tonsillitis 
    1 (1·4%)

    Cryptogenic-Organized Pneumonia
    1 (1·4%)

    EBV-Infection
    1 (1·4%)

    Endocarditis
    1 (1·4%)

    Epithelioid Angiosarcoma
    1 (1·4%)

    Evans-Syndrome 
    1 (1·4%)

    IgG4-Related Disease
    Lung Cancer
    1 (1·4%)
    1 (1·4%)

    Lymph Node Tuberculosis
    1 (1·4%)

    Mediastinitis
    1 (1·4%)

    Panarteriitis Nodosa
    1 (1·4%)

    Perimyocarditis
    1 (1·4%)

    Pneumonia
    1 (1·4%)

    Viral Polyserositis
    1 (1·4%)

    Rheumatoid Arthritis
    1 (1·4%)

    Sarcoidosis
    1 (1·4%)

    Sarcoma (mediastinal)
    1 (1·4%)

    Small Vessel Vasculitis
    Splenic Abscess
    1 (1·4%)
    1 (1·4%)

    Undifferentiated Arthritis
    1 (1·4%)

    Urogenital infection
    1 (1·4%)

    Undefined
    19 (26·4%)


    Total number of patients
    72 (100%)

    Category
    Diagnosis
    Number of Patients (%)
    IUO
    Large vessel vasculitis
    Polymyalgia rheumatica
    Endocarditis
    IgG4-related disease
    Rheumatoid arthritis 
    Arthritis urica
    Erythema nodosum
    Breast cancer
    30 (21·1%)
    26 (18·3%)
    5 (3·5%)
    5 (3·5%)
    5 (3·5%)
    3 (2·1%)
    2 (1·4%)
    2 (1·4%)





    Adenocarcinoma (stomach)
    1 (0·7%)

    Angiosarcoma
    ANCA-associated vasculitis 
    Ankylosing Spondylitis
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)

    Autoimmune Hepatitis
    1 (0·7%)

    CNS Vasculitis
    1 (0·7%)

    Cholecystitis
    1 (0·7%)

    Cogan-Syndrome
    1 (0·7%)

    Cutaneous Leucocytoclastic Vasculitis
    1 (0·7%)

    EBV-infection
    1 (0·7%)

    Epidural abscess
    1 (0·7%)

    Femoral Head Necrosis and Coxitis
    1 (0·7%)

    Follicular Lymphoma (Thyroid gland)
    1 (0·7%)

    Granuloma (Lumbar Spine)
    1 (0·7%)

    Hodgkin’s lymphoma
    1 (0·7%)

    Hyperthrophic Osteoarthropathy
    1 (0·7%)

    Infected Aortic Conduit
    1 (0·7%)

    Infected Aorto-Iliac Stent 
    1 (0·7%)

    Infected Hip Endoprosthesis
    Infected Seroma
    Interstitial Pneumonia
    Lung Cancer
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)

    Lung Tuberculosis
    1 (0·7%)

    Lymph Node Tuberculosis
    1 (0·7%)

    Lymphadenitis
    1 (0·7%)

    Mesenterial Panniculitis
    1 (0·7%)

    Myelodysplastic Syndrome
    1 (0·7%)

    Neuroendocrine Cancer (Esophagus)
    Perforation of Colon
    Periodic Fever Syndrome
    Peripheral Nerve Tumor
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)

    Pleural Empyema
    1 (0·7%)

    Pleurisy
    1 (0·7%)

    Polychondritis with Aortitis
    1 (0·7%)

    Pseudo-Scleroderma
    1 (0·7%)

    Psoriatic Arthritis
    1 (0·7%)

    Pulmonary Fibrosis
    1 (0·7%)

    RS3PE-Syndrome
    1 (0·7%)

    Systemic Lupus Erythematosus
    1 (0·7%)

    T-cell Non-Hodgkin Lymphoma
    1 (0·7%)

    Undifferentiated Connective Tissue Disease
    Undifferentiated Oligoarthritis
    Undefined
    1 (0·7%)
    1 (0·7%)
    23 (16·2%)


    Total Number of patients (IUO)
    142 (100%)

    Category
    Diagnosis
    Number of Patients (%)
    ExFUO/IUO
    IgG4-related disease
    Fibromyalgia

    4 (15·4%)
    3 (11·5%)


    Adenoma (Pituitary Gland)
    1 (3·8%)

    Chronic Sialadenitis
    1 (3·8%)

    Granulomatous Splenitis
    1 (3·8%)

    Hyper-IgE Syndrome
    1 (3·8%)

    Immune Complex Associated Glomerulonephritis
    1 (3·8%)

    Large Vessel Vasculitis
    Lung Cancer
    1 (3·8%)
    1 (3·8%)

    Malignant Hyperthermia
    1 (3·8%)

    Small-Fiber Polyneuropathy
    1 (3·8%)

    Undifferentiated Connective Tissue Disease
    Undifferentiated Myositis
    Undefined
    1 (3·8%)
    1 (3·8%)
    8 (30·8%)


    Total Number of patients (Non-FUO/IUO)
    26 (100%)



    • PET-CTの診断能はFigure2B
      • 陽性的中率:65.4%、陰性的中率:62.5%
      • 感度:91.1%、特異度:21.7%
        • 骨髄とリンパ節の集積を炎症による非特異的なものとしてnon-pathologicalに分類すると、特異度 53.8%、陽性的中率 76%、陰性的中率 80.6%まで改善する(感度 91.8%)

        • 真の陰性(PET-CTで陰性、その後3ヶ月間フォローしても診断がつかず):8.3%
        • PET-CTの偽陽性(PET-CTでは集積はあるものの、それが原因とは考えられずに最終診断がつかず):30%
        • PET-CTの偽陰性:5.0%
          • 偽陰性の12例のうち、1例は高安動脈炎、3例は側頭動脈に限局した血管炎


      • PET-CTが診断に有効であることを予測する因子
        • 年齢 ≧ 50才
        • CRP > 3 mg/dL
        • 発熱なし
          • 上記3つを全て満たす場合、PET-CTで診断が確率は約80%
          • 逆に、全て満たさない場合には、PET-CTで診断が確率は8.3%のみ


      上記結果を踏まえた、筆者の提唱するFUO/IUOにおけるPET-CTの使い方



      limitation
      • クリニックから、免疫・感染症センターへ紹介された症例のため、免疫介在性疾患が多く含まれている & 悪性腫瘍が比較的少ないという母集団を対象としている
      • PET-CTの前に、全身CTを行なっていないため、全身CTがPET-CTの代替となる可能性も否定できない
      • コーカサス人を対象としており、他の人種に当てはまらないかもしれない

      トファシチニブ開始後のリンパ球数、リンパ球サブセットの推移と感染症の関連について

      Evaluation of the Short‐, Mid‐, and Long‐Term Effects of Tofacitinib on Lymphocytes in Patients With Rheumatoid Arthritis Ronald van Voll...