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2019年4月8日月曜日

血管炎の分類基準(草案)Vasculitis 2019

New draft classification criteria: International DCVAS Studyより
1. AAV
・どのcriteriaも、small or medium vessel vasculitisと診断した時に用いる
・どの criteria も感度特異度>90%

<GPA>
10項目を合計して5点以上でGPAと分類
Clinical
 Bloody nasal discharge, ulcers, crusting, congestion or blockage, or nasal septal defect/perforations: +3
 Cartilaginous involvement: +2
 Constructive or sensorineural hearing loss: +1
Tests
 cANCA or PR3- antibody positive: +5
 Nodules, mass or cavitation on chest imaging: +2
 Granuloma, extravascular granulomatous inflammation or giant cells on biopsy: +2
 Inflammation, consolidation or effusion of the nasal/paranasal sinuses, or mastoiditis on imaging: +1
 Pauci-immune glomerulonephritis on biopsy: +1
 pANCA or MPO-antibody positive: +1
 Eosinophil ocunt > 1 (* 109 /L): -4

<MPA>
6項目を合計して5点以上でMPAと分類
Clinical
 Bloody nasal discharge, ulcers, crusting, congestion or blockage, or nasal septal defect/perforations: -3
Tests
 pANCA or MPO-antibody positive: +6
 Fibrosis or ILD on chest imaging: +3
 Pauci-immune glomerulonephritis on biopsy: +3
 cANCA or PR3- antibody positive: -1
 Eosinophil ocunt > 1 (* 109 /L): -4

<EGPA>
7項目を合計して6点以上でEGPAと分類
Clinical
 Obstructive airway disease: +3
 Nasal polyps: +3
 Mononeuritis multiplex or monor neuropathy: +1
Tests
 Eosinophil ocunt > 1 (* 109 /L): +5
 Extravascular eosinophil predominant inflammation/increased eosinophils in bone marrow: +2
 Microscopic hematuria: -1
 cANCA or PR3-antibody positive: -3

2. LVV
 Primary component analysisを利用して、GCAとTAKを分類:ほぼ年齢に依存
→そのため、Absolute inclusion critiriaは診断時の年齢:TAK 60歳以下、GCA 40歳以上
 GCAにおけるTABの陽性率:427/704人
 TABは以下のうちいずれかで陽性と定義:Giant cells、Granuloma、Mononuclear infiltration
 TAKではTAB陽性はほぼ0
 Halo signもGCAで陽性率半分程度、TAKではほぼ0.

<GCA>
Absolution criteria
 40歳以上
以下の項目で6点以上であればGCAと分類
Clinical features
 Morning stiffness in shoulder or neck: +2
 Sudden visual loss: +2
 Jaw or tongue claudication: +2
 New temporal headache: +2
 Scalo tenderness: +2
Temporal Artery Exam Findings
 Reduced pulse, ‘cord-like’, or tenderness: +1
Laboratory findings
 ESR 50以上 or CRP 10mg/dL以上: +3
Temporal Artery biopsy
 Definite vasculitius: +5
Imaging findings
 Temporal artery halo sign (US) : +5
 Bilateral axillary involvement: +3
 FDG-PET activity throughout aorta: +3

Primary component analysis を用いてGCAとTKAのclusterに分けた後に、GCAの分類に寄与する項目(Development cohort 70%, Validation cohort 30%で検証)
 Definitive vasculitis on TAB: OR 160.3 (37.6-683.4)
 TA halo on US: [cluster後に追加したためORなし]
 FDG-PET activity throughout aorta: OR 26.5 (8.3-84.6)
 ESR 50以上 or CRP 10mg/dL以上: OR 25.2 (10.2-61.8)
 Bilateral axillary involvement on imaging : OR 13.7 (4.7-39.8)
 Morning stiffness in shoulder/neck: OR 11.6 (5.1-26.4)
 Sudden visual loss: OR 8.0 (3.1-21.1)
 New temporal headache: OR 8.7 (3.8-20.3)
 Scalp tenderness: OR 6.8 (4.0-11.6)
 Jaw or tongue claudication: OR 7.0 (3.3-15.1)
 TA abnormality on vascular exam: OR 3.8 (2.0-7.5)

<TAK>
Absolution criteria
 60歳以下 + 画像で明らかなvasculitsあり
以下の項目で5点以上で荒ればTAKと分類
Clinical features
 Female: +1
 Angina or ischemic cardiac pain attributable to vasculitis: +2
 Arm or leg claudication: +2
Vascular Exam Findings
 Arterial bruit: +2
 Reduced pulse in upper extreamity: +2
 Carotid - reduced pulse or tenderness: +2
 SBP difference in arms (20mmHg以上) : +1
Angiographic and ultrasound findings
 Number of affected arteries (select one): one ortery (+1), two artery(+2), three or more arteries(+3)
 Vasculitis affecting paired branch arteries: +1
 Abdominal aorta involvement with renal or mesenteric invovement: +3

Primary component analysis を用いてGCAとTKAのclusterに分けた後に、TAKの分類に寄与する項目(Development cohort 70%, Validation cohort 30%で検証)
 Abdominal aorta + renal/mess on imaging: OR 15.5 (4.7-51.5)
 Three or more affected arteries on imaging: [cluster後に追加したためORなし]
 Angina or ischemic cardiac pain: OR 7.1 (1.6-30.7)
 Reduced pulse in upper extremity: OR 6.8 (3.0-15.1)
 Arm or leg claudication: OR 6.5 (3.3-13.1)
 Carotid – reduced pulse or tenderness: OR 4.8 (2.0-11.4)
 Arterial bruit: OR 4.6 (2.4-8.8)
 Two affected arteries on imaging: [cluster後に追加したためORなし]
 Imaging involvement of paired branch arteries: OR 3.7 (1.8-7.5)
 SBP difference in arms (20mmHg以上) : OR 3.7 (1.4-9.5)
 Female: OR 2.5 (1.4-4.6)
 One affected artery on imaging: [cluster後に追加したためORなし]

<別途の感想>
 Primary component analysiとLasso regression analysisは、臨床情報による患者のクラスター解析やcriteriaの精度を調べるのに必須
 質問いろいろあったけど聞き取れず。。。
 これらをそれぞれの施設で使用してみてどうなのか報告していく必要あり
Tongue claudicationとか確認したことなかった。。。こんな報告もあるんだBMJ Case Rep. 2012; 2012: bcr2012007241.

2018年2月28日水曜日

大血管炎における、FDG-PETのimaging biomarkerとしての有用性:再燃を予測できるかもしれないが、疾患活動性のモニタリングには不適切


ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 70, No. 3, March 2018, pp 439
–449 DOI 10.1002/art.40379


背景

  • Positron emission tomography (PET)は、18F-fluorodeoxyglucose (FDG)の取り込みを見ることで、腫瘍性疾患の診断や治療効果判定に使用するmolecular imagingである
    • マクロファージを含む炎症性細胞も、解糖系が亢進しており、FDGの取り込みは腫瘍細胞と同様に亢進しているので、炎症性組織の評価にも有用であると考えられているが、まだその点に関しては議論されているところである
  • GCAとTAKは、大動脈とその第1分枝に病変を有する大血管炎である
    • 大血管炎の疾患活動性評価は未だ難しく、有効なモニタリングや治療の確立への障害となっている
    • 臨床的に寛解をある程度維持していても、炎症性マーカーは正常であっても、新規の血管病変が出現することもあり、実際に臨床的寛解の状態で側頭動脈を生検すると活動性の血管炎を認めたという報告もある
    • 血管造影が評価にしばしば推奨されるが、大血管を評価するためのガイドラインは存在せず、血管のダメージが生じる前に血管の炎症を評価するには血管造影では感度が低いのも事実である
    • FDG-PETは、大血管に浸潤している白血球の代謝活性を評価するので、血管造影よりも血管の炎症をモニターするのに感度が高いのではと報告されている
  • いくつかの既報でも、molecular imagingによる大血管のモニタリングが試みられているが、FDG-PETの有用性はまだわかっていない
    • 多くの研究では、FDG-PETによって大血管の炎症を発見することができたが、それはretrospectiveな研究であり、大血管に類似する疾患ではなく健常人や悪性腫瘍患者をコントロールとしている
    • また、多くの研究では、大血管炎発症時点でのFDG-PETに焦点をおいており、その後、疾患活動性の評価や再燃を予測できるかについては、報告が限られている
  • そのため、今回の研究では、大血管炎に対するFDG-PETの有用性を、prospectiveに、大血管炎のコホートを利用して、主に大血管炎に類似する様々な患者をコントロールに設定し、時系列で評価することを目的とした

方法
  • prospective、観察研究、the National Institutes of Health (NIH) in Bethesda, MD (ClinicalTrials.gov identifier: NCT02257866)のコホートを使用
  • 対象
    • 5歳以上
    • TAKのACR 1990の分類を満たす、もしくはGCAのACR 1990を満たす
    • 様々な病期の患者を含む
  • コントロール
    • NIHに、大血管炎の可能性があると紹介されたが、大血管炎ではなかった患者群
      • 他の全身性炎症性疾患(結節性多発動脈炎など)や非炎症性疾患(線維筋性異形成など)が含まれている
    • 脂質異常症を有する患者群
      • 脂質異常症群は、動脈硬化性疾患においてスタチンがimagingに与える影響について調べている別の臨床試験(ClinicalTrials.gov identifier: NCT01212900) の対象群の一部であり、55才以上でスタチンが必要な患者
      • 脂質異常症の患者群が選ばれたのは、動脈硬化性疾患が画像的に大血管炎に類似することが知られているからである
    • 健常人
  • 6ヶ月ごとに診察、画像評価を行なった
    • 慢性的な倦怠感、急性期炎症性蛋白の増加は、他の血管炎の臨床症状を伴わない場合には、活動性があるとは判断しなかった
  • 定義
    • 寛解
      • 血管炎を示唆する臨床的症状が全くない
    • 再発
      • 寛解を達成した後に、PSL ≧ 10mg/day までの増量 or 免疫抑制剤の追加を有するまでの臨床的活動性が出現した。
      • 再発を評価する医師には、画像評価の結果は盲検している
  • FDG-PET imaging protocol
    • 撮影前には炭水化物を含む食べ物は制限
    • 18才以上は体幹を撮影
    • 注射2時間後にCTで撮影
      • 放射線被曝を最小限にするために、18才未満はwhole-body FDG- PET–magnetic resonance imaging (MRI) を撮影した
    • 成人は、18F-FDG (10 mCi)と用量を固定し、小児患者は体重に合わせて投与した(0.1 mCi/kg). 

  • 読影は2人の核医学専門医が、臨床データ盲検の元、それぞれ独立に評価した
    • 大動脈の4つの部位(上行大動脈、大動脈弓部、下行大動脈、腹部大動脈)+主要な11分枝(腕頭動脈、頸動脈、鎖骨下動脈、腋窩動脈、腸骨動脈、大腿動脈)において、FDGの取り込みを以下のスコアで定量的に評価し、summary score( = PETVAS)を計算した
      • 取り込みなし:0
      • 感動以下の取り込み:1
      • 肝臓と同様の取り込み:2
      • 肝臓以上の取り込み:3


結果
  • 2014/9-2017/2の期間に、115人の患者がリクルートされた(table1)
    • 大血管炎:56症例
      • GCA:30
      • TAK:26
    • コントロール:59症例
      • 脂質異常症:35
      • 大血管炎類似疾患:17
      • 健常人:7

  • 大血管炎の患者群のより詳細な情報(supple. table2)


  • 臨床的に活動性があると判断された大血管炎の臨床所見

  • 大血管炎に類似する疾患を有する患者群の内訳

  • FDG-PETの有用性(table1)
    • 2人の読影医の結果は十分に一致していた
      • κ = 0.84, 95% confidence interval [95% CI] 0.75, 0.94
    • 大血管炎の患者のうち、68%(75/111人)は、FDG-PETにて活動性の血管炎の所見を認めた
      • コントロール群で、FDG-PETにて活動性の血管炎の所見を認めたのは、17%(10/59人)のみだった
  • 臨床的所見による活動性と、画像所見による活動性の結果をcombineした結果(table2)
    • FDG-PET(臨床的所見により活動性のある血管炎と、コントロール群を区別するための有用性)
      • 感度:85% [95%CI 69-94]
      • 特異度:83% [95% 71-91]
    • しかしながら、臨床的に寛解である大血管炎を、臨床的に活動性のある血管炎と区別するには、FDG-PETはあまり有用でなかった
      • 特異度:42% [95% 31-55]

  • なお、代表的なPET所見は下の通り
    • 25才女性、高安動脈炎
    • 罹病期間:31ヶ月
    • 弓部拡張により大動脈弁置換を必要とした
    • この撮影を行なった時点で、CYC+PSL 30mg/day で治療しているものの、臨床的活動性あり(浮遊感、頭痛、視力障害、最近の脳梗塞、頚部痛、倦怠感、急性期炎症反応蛋白増加)
    • PETでは、FDG取り込み亢進が大血管全体に認められ、PETVAS = 24
    • この後、IFX, MTXで治療し、PSLは漸減していったところ、臨床的活動性は安定し、6ヶ月後のフォローではFDG取り込みが低下した


    • 74才女性、生検で証明されたGCA
    • 罹病期間:10年間、両側失明あり
    • 血管造影では、大動脈や主要分枝の病変認めず
    • この画像を撮影した時点では、臨床的には寛解していたが、PETではわずかなFDFG取り込みを大血管に認めており、PETVAS = 14
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎なし"で一致



    • 66才女性、スタチンを要する脂質異常症
    • PETでは大血管全体にFDG取り込みが亢進している(特に上行大動脈、弓部、左鎖骨下動脈の近位、腋窩動脈)、PETVAS = 21
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎あり"で一致



    • 76才女性、生検で証明されたGCA
    • 罹病期間:17ヶ月
    • 撮影時点では、臨床的には寛解していた(PSL 4mg/day, ESR 15mm/hr, CRP 0.95mg/dL)
    • 血管造影では、狭窄病変・動脈瘤・動脈閉塞なし
    • PETでは、大血管全体にFDG取り込み亢進あり、PETVAS = 27
    • 読影医は、2人とも"活動性血管炎あり"で一致
    • これを撮影した4ヶ月後に、再燃した(倦怠感、CRP増加、関節痛によりPSL増量+MTX開始)


  • FDG-PETによる活動性と関連する臨床項目について、多変量解析を行なった(table3)
    • 以下の項目が有意差あり
      • 臨床的に疾患活動性あり
      • 罹病期間が短い
      • BMI低値
      • PSL投与量が少ない
    • 以下の項目は、有意差なし
      • 急性期炎症反応
      • 年齢
      • 性別
      • 血管炎の種類
      • 免疫抑制剤の使用の有無

  • PETVASによる定量的評価
    • 大血管炎の患者群は、コントロール群と比較し、上行大動脈・弓部・下行大動脈・腹部大動脈・頸動脈・鎖骨下動脈のscoreが有意に高かった(figure1A)
      • しかし、いずれの部位も、大血管炎群>コントロール群 の傾向がある

    • 血管炎の種類別
      • GCA > TAK:腹部大動脈、腋窩動脈、腸骨・大腿動脈
      • GCA ≒ TAK:胸部大動脈、頸動脈、鎖骨下動脈

    • 読影医が、"画像的に活動性血管炎あり"と評価したほうが、"画像的に活動性血管炎なし"と評価した場合よりも、PETVAS scoreは有意に高い(figure1B)
    • "画像的に活動性血管炎あり"と評価された大血管炎は、どのコントロール群よりも、有意にPETVAS scoreが高い(figure1C)

    • 臨床的に寛解と判断された大血管炎よりも、臨床的に活動性のある大血管炎のほうが、有意にPETVAS scoreが高い(figure1D)
    • 寛解の時点で比較すると、GCAのほうが、TAKよりもPETVAS scoreが有意に高い(※これに関しては年齢などによる交絡がありそう)

    • 臨床的に活動性のある大血管炎と、寛解の大血管炎を区別する、PETVASのROC曲線(figure1E)
      • カットオフ = 20
        • 感度:68% [95%CI 50-83]
        • 特異度:71% [95%CI 58-82]
  • 臨床的に活動性のある大血管炎と寛解の大血管炎で、それぞれPETVASと関連がある項目について(table4)
    • 臨床的に活動性のある大血管炎
      • 急性期炎症反応蛋白(ESR, CRP, Fib)とPETVASが中等度の相関あり(r=0.36 - 0.52)
      • PSLの用量は、PETVASと逆相関あり
    • 臨床的に寛解の大血管炎
      • 年齢は正の相関、BMIは負の相関あり

  • PETによる、大血管再燃の予測について
    • 39症例が寛解の時期にPETを撮影
      • そのうち8症例が再燃し、20をカットオフとすると、再燃例では有意にhigh PETVAS scoreの症例が多かった(figure2A)
        • PETVAS ≧ 20 vs < 20:55% versus 11% (P = 0.03)


    • 上記39症例の中で、PETVAS ≧ 20 の患者と < 20 の患者の臨床的項目の違い
      • PETVAS ≧ 20 
        • 罹病期間が短い
        • GCAが多い
        • 高齢
        • 免疫抑制剤の併用割合が少ない
      • 急性期炎症反応蛋白は有意差なし
      • いずれの群も、撮影時には 平均PSL ≦ 5mg/day

    • Figure2B, Cが、high PETVAS scoreの代表的な2症例の画像
      • 生検を行なった片方の症例では、臨床的に寛解ではあったものの、側頭動脈を生検すると活動性の血管炎の所見を認めた(figure2D)(PETVAS=27)


まとめ
  • 臨床的に活動性のある大血管炎の症例の多くは、FDG-PETでも活動性のある所見を認めたが、臨床的に寛解と判断された症例の多くも、FDG-PETで活動性のある所見を認めた
    • 生検によって、全例、活動性があるか調べたわけではないので、臨床的寛解の状態において、血管壁の代謝活性が増加していることが、subclinicalな血管炎を反映しているのか、リモデリングを反映しているのか、低酸素を反映しているのか、動脈硬化を反映しているのか、これらの複合的な結果なのか、はわからない
    • 大血管炎の臨床的寛解状態の動物モデルによる実験では、FDG取り込み亢進は、動脈硬化性病変における組織学的なマクロファージの密度と関連しているものの、血管のリモデリングによって二次的に血管内皮 or 平滑筋細胞の代謝活性が変化することが、血管壁のPET scanに影響することが報告されている
    • すなわち、現時点では、FDG-PETを血管炎の活動性モニタリングに使用することは、推奨はできない
  • 上記のlimitationはあるものの、今回の結果では、臨床的には寛解していても、FDG取り込み亢進が血管壁全体で認められることが、再燃のリスクとなることが示されたため、subclinicalな炎症を反映している可能性を示唆している
    • 生検で活動性のある血管炎が認められた症例ではFDGの取り込みが亢進しており(Figure2D)、治療によってFDG取り込みが低下している症例もある(Figure2B)ことは、これを支持している
    • これらの結果により、寛解の定義をどうするか、という重要な疑問が浮かんでくる
  • 既報では、撮影方法に関して、注射してから1時間後に撮影していたが、今回は2時間後としたことで、血管壁へのFDG集積の感度をあげた
  • 既報よりも特異度が低いのは、コントロール群の設定の違いと考えられる
    • コントロール群の17%において、"画像的に活動性血管炎あり"と判断されており、大血管炎の診断はFDG-PETに基づいて行うべきではない
  • FDG取り込みの程度と、大血管炎の活動性の関連は、これまでの既報では一定していなかった
    • TAKにおいて、FDG取り込みと臨床的疾患活動性の関連があると報告した既報もあるが、最近のメタアナリシスでは、TAKにおいてFDG取り込みと臨床的疾患活動性は関連しなかったと報告している
    • TAKとGCAの間におけるFDG取り込みの程度の違いに関しては、今回の研究では、臨床的寛解の状態ではGCA > TAK でFDG取り込みが亢進しており、 TAKよりもGCAのほうが臨床的活動性と画像的活動性の不一致が生じやすいことを示している。
      • これは2疾患における年齢などの違いが影響していると思われる。
      • また、今回の研究では、GCA患者の方がTAKよりも罹病期間が短く、診断からが撮影までが比較的短いので、これも寛解時期におけるFDG取り込みの違いにも関連していることが考えられる
  • FDG取り込みは、動脈硬化による影響も受ける
    • しかしながら、今回の結果では、年齢に関しては、臨床的寛解の時期では関連はあるものの軽度であり、臨床的活動性のある時期では関連は認めなかった
    • ただし、記述した通り、GCAとTAKにおいて、臨床的寛解の時期でもFDG取り込みがGCA > TAKとなっているおり、このことからは動脈硬化によりFDG取り込みが影響されることが示唆される
  • 既報では、FDG-PETは大血管炎の再燃を予測できなかったという報告があるが、この研究では、診断後〜撮影までの期間が半年以内と短く、中等量以上のPSLを使用しており、これらがPETの予測能力に影響したと考えられる
    • PSLの用量が多いと、PET activityが低下することは、今回の報告で認めている(table3)
    • すなわち、今回の結果からは、すでに発症後数年間経過しており、ステロイドの用量が少ない時点で、FDG集積が亢進していると、再燃を予測できるかもしれない
    • PET scan activityの閾値に関しては、今回の試験で提示していないのは、PETVAS < 20 というのは読影医によって変化することが予測されるためである
  • limitation
    • 単施設の研究
      • しかしながら、読影医の結果は十分一致している
    • 様々な病期の患者を対象としているので、診断時点におけるPET所見は、今回の試験では評価できない
      • 今後、可能であれば発症時から、より長期間の経過観察していく別のコホートで評価することが望まれる

2018年2月7日水曜日

血管炎の分類:CHCC2012に皮膚所見を加えたもの(A&R reviewより)


ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 70, No. 2, February 2018, pp 171
–184 

背景
  • 血管炎では、皮膚が最も病変となりやすい臓器である
    • しかし、CHCC 2012 では、皮膚血管炎の特徴を詳しく扱っていない
    • そのため、今回、consensus group(日本を含む、血管炎が専門の皮膚科医+CHCC2012作成メンバーから数人ずつ)が、血管炎の皮膚病変についてCHCC2012に補足した(table1)


  • 定義
    • 全身性血管炎
      • 皮膚以外の臓器を少なくとも1つ以上病変とするもの
      • 白血球増加、CRP増加、関節痛は非特異的なので、全身性血管炎の症状とはしない
    • 粘膜、皮下脂肪の血管炎も、皮膚血管炎に含むとした
  • 皮膚の血管は、以下を含む
    • small arteries(小動脈)
    • arterioles(細動脈)
    • capillaries(毛細血管)
    • venules(細静脈)
    • small veins (小静脈)
  • CHCC2012では、小型血管〜中型血管の区別は、直径ではなく、構造と機能に基づくものとした
    • 小型血管
      • 実質内の動脈〜細動脈〜毛細血管〜細静脈〜小静脈
    • 中型血管
      • 主な内臓を走行する動静脈+その第一分枝
      • 脂肪隔壁の最も大きい動静脈は中型血管である
    • 大血管
      • 大動脈+その主な分枝


大血管炎(table2):Large vessel vasculitis (LVV)
  • Figure1の通り、どのサイズの動脈も病変となりうる
  • TA, GCAの2つが主である
    • TAでは皮膚血管炎は報告されていないが、血管炎ではない皮膚症状は起こりうる
    • GCAでも、皮膚血管は病変とならないが、皮膚ではないところにある血管が閉塞して皮膚や粘膜が壊死を起こすことはある


中型血管炎(table3):Medium vessel vasculitis (MVV) 
  • Figure1の通り、どのサイズの動脈も病変となりうる
    • 小型血管炎も中型血管炎も、いずれも皮膚の小動脈を病変としうるので、皮膚血管炎のみでは、どちらの血管炎か区別はできない
  • KD, PANの2つが主である
    • PANは皮膚血管炎を起こしうる
      • 中型血管:皮膚梗塞、リベド、皮膚潰瘍、真皮内結節など
        • しかしながら、小型血管炎の症状である紫斑、出血斑、紅斑、出血性水泡なども報告されている
      • cutaneous PAN 
        • 慢性・再発性の血管炎であり、主に皮下脂肪や真皮-皮下組織の小動脈・細動脈を病変とする。静脈は直接的には病変とならない。
        • 全身性の血管炎に発展することは稀

    • KDでは血管炎ではない皮膚症状(いわゆる mucocutaneous lymph node syndrome)が特徴的である


小型血管炎(table4):Small vessel vasculitis (SVV)
  • 主には AAV と immune complex vasculitis  
    • いずれも皮膚血管炎を起こす
  • AAVの皮膚血管炎には、以下の4つがある
    1. 細静脈(時に細動脈と小静脈にまで波及する)における白血球破砕性血管炎として、出血性紫斑(時に結節)を形成する
    2. 小動脈〜細動脈における血管炎として、網状皮斑、リベド、結節、指尖梗塞を形成する
    3. 血管外の非血管炎性の肉芽種性炎症(GPA, EGPA)
    4. その他の非血管炎性病変(GPAにおける増殖性歯肉炎)
  • immune complex vasculitis  
    • 下肢に優位(急性期に血管拡張因子を誘導するため)の触知性紫斑があるのが、IgA血管炎 or IgM/IgG血管炎の特徴である
      • cutaneous IgM/IgG vasculitisとは、IgM/IgGが沈着している白血球破砕性血管炎であり、他のimmune complex vasculitis の定義に当てはまらないものである
        • 白血球破砕性血管炎とは、血管炎のタイプを表す言葉ではなく、あくまでも血管炎の障害パターンを描写した言葉であるので、IgA血管炎やIgM/IgG immune complex vasculitisなどと同じように使用してはいけない
      • なお、IgA型のクリオグロブリンはCVに分類され、IgA血管炎ではない

      • 下肢の優位性がなく、細静脈以外の血管にも炎症が波及している場合には、CV, RV, lupus血管炎が疑われる
      • HUV(anti-C1q vasculitis)は、半数にてC1qに対する抗体が陽性である
        • 下肢に優位ではなく、慢性の蕁麻疹が特徴的であり、点状出血や色素沈着を認めうる



    その他の血管炎

    • Behcet病(BD)
      • (毛包性膿疱以外の)早期皮膚病変では、白血球破砕と内皮細胞の浮腫を伴う血管における好中球性炎症を認める
      • 血栓を伴う大血管では、しばしばvasa vasorumの血管炎を認める
      • 結節性紅斑様の病変は、慢性的でマクロファージが豊富であり、初期であれば脂肪隔壁内に白血球破砕性血管炎を認める
        • 白血球破砕性血管炎があること、小葉への浸潤があること、Miescher’s granulomas の欠損が古典的な結節性紅斑との鑑別点である
      • 動脈病変は稀であり、下肢においては細動脈と細静脈の区別が困難なので見過ごされやすい
      • 古い病変 or 治療後の病変であれば、血管壁内とその周囲にリンパ球浸潤を認める
      • MAGIC syndrome (mouth and genital ulcers with inflamed cartilage) 
        • BDの皮膚病変、再発性多発軟骨炎、血管炎を有する



    2017年9月13日水曜日

    巨細胞性動脈炎と帯状疱疹の疫学的関係


    Rhee RL, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1031–1035. 

    背景

    • Giant cell arteritis(GCA)は50歳以上の成人が罹患する中型〜大型血管炎である
    • 病因は未明な部分が多いが、なんらかの抗原が関与しているともいわれている
      • Rheum Dis Clin North Am 1995;21:1027–39.
    • 血管の樹状細胞が活性化、T細胞、IFNγ、マクロファージがGCAの病態に関与していることが、なんらかの感染症が発症に関与していることを示唆している
      • Nat Rev Rheumatol 2013;9:731–40. 
    • これまでの既報では、微生物とGCAの関連について、血管検体を用いて証明しようとしてきたが、結果は報告によって相反するものである
    • 最近では、GCA患者から採取した側頭動脈の検体にて、varicella zoster virus(VZV)の抗原を認めたことから、VZVが直接的にGCAの病態に関与しているともいわれ、抗ウイルス薬で治療することの有効性も試験で報告されている
      • Neurology 2015;84:1948–55.
      • Curr Opin Rheumatol2016;28:376–82. 
      • しかしこれらのエビデンスはまだ弱く、さらなる研究が必要である
      • これらの報告は、これらの微生物がどのように病態に関係しているのか、といった疑問を生じる
    • また、GCAを罹患するのは高齢者なので高齢者における免疫系の加齢による変化が感染症を増加させているのではないか、という意見もある
    • 今回の研究では、大規模コホートを用いて、VZVを含む感染症がどの程度GCAに関与しているのか調べた

    方法
    • イギリスのThe Health Improvement Network (THIN), a population-based databaseを用いて、コホート内ケースコントロール研究をおこなった
      • イギリスの1100万人の電子カルテ情報があるデータベースである
    • 対象
      • THINにおける、1994年〜2015年に、GCAと診断されて、ステロイドを処方された50歳以上の患者
      • コントロール群は、GCA患者1人あたり5人を、年齢(5歳前後以内)、性別、一般的なメディカルケアをマッチさせて抽出
    • VZVの診断は、特異性を改善させるために、1ヶ月以内に抗ウイルス薬を処方されたこと、抗菌薬は処方されていないことも含めた
    • VZV以外の感染症に関しては、かかった感染症全体の数と高齢者に多い5つの感染症(呼吸器感染症、尿路感染症、消化管感染症、結膜感染症、皮膚感染症)の数を調べた
    • GCAの症状を感染症と間違えないように、GCAの診断前6ヶ月以内の感染症はprimary analysisには含めなかった
    • 共変数(VZVワクチン接種歴、組み込まれる6ヶ月前より以前にステロイド or 免疫抑制剤処方歴あり、アルコール依存症、喫煙歴、その他併存疾患)はthe Charlson Comorbidity Index(CCI)を使用してカテゴリー化した。

    ※CCIに関しては、かの有名な「栃木県の総合内科医のブログ」(http://tyabu7973.hatenablog.com/entry/2014/03/15/144502)にわかりやすい説明があるのでご参照ください。




    結果
    • 4559人のGCA患者と22795人のコントロールを解析した
      • GCA患者は、ステロイドと免疫抑制剤を、組み込まれる6ヶ月前より前に処方されていた割合が多かった
      • VZVワクチンの接種率には違いはなかった
      • GCA群において、試験組み入れ前の時点で、脳血管疾患(9% vs 7%, p<0.01)、慢性肺疾患(22% vs 15%, p<0.01)、軽度の肝疾患(0.6% vs 0.4%, p=0.02)、胃潰瘍(6% vs 4%, p<0.01)、末梢血管障害(5% vs 3%, p<0.01)、腎疾患(13% vs 11%, p<0.01)が多く、リウマチ性疾患(3% vs 5%, p<0.01)と認知症(1% vs 2%, p<0.01)は少なかった

    Data expressed as mean (SD) or percentage.
    *Controls were age-matched and sex-matched to cases. †Among patients who received a prescription. 

    • 帯状疱疹の既往はGCAで多かったが、抗ウイルス薬の処方ありも含めると統計学的に有意ではなくなった
      • 9% vs 7%, p<0.01 →処方ありとすると p=0.05
    • GCA群では、なんらかの感染症に以前に罹患していた患者が多かった
      • かかった感染症の数が多ければ多いほど、よりGCAのリスクとなった
        • 0 (reference), 1, 2–4 or ≥5 infections yielded IRRs of 1, 1.28, 1.60 and 2.18, respectively (test for trend: p<0.01). 



    • GCA発症より6ヶ月以上前に帯状疱疹に罹患していることは、GCAのリスクであった
      • adjusted IRR 1.17 (95% CI 1.04 to 1.32), p<0.01 

    *Adjusted for Charlson Comorbidity Index, alcohol use, smoking history, prior use of immunosuppressive therapies and prior use of oral glucocorticoids. IRR, incident rate ratio. 


    • 帯状疱疹を時期別に階層化すると、GCA発症と帯状疱疹は統計学的に有意でなくなった(5-10年前を除く)
    • 全ての感染症とすると、いずれの時期も有意であった
      • 最も統計学的に有意であったのはGCA発症前1年以内


    まとめ
    • 感染症とGCAの関係は、"dose-dependent"な関係で相関があった


    最近、GCAがやたら多くて、みんなでなんでだろうね、って話していたら、こんな論文が出ました。
    統計学的には有意になってますが、サンプルサイズが大きすぎて臨床的にはわずかな差を捉えているだけかもしれません。本文でも言っているように、GCAが発生するような人がVZVかかりやすいとか、そういう考えかたもありますし。少なくとも、VZVが主因でGCAを発症している、とはいえないのでしょう。

    2017年9月4日月曜日

    血管炎による胆嚢炎


    J Clin Gastroenterol. 1989 Oct;11(5):537-40.
    • 筆者らの10年間での血管炎性胆嚢炎の自験例は下の5つ
      • Case 1:胆嚢、虫垂、肝臓の生検にていずれからもPNの診断がついた
      • Case 2:虫垂と胆嚢で動脈炎の所見ありPNの診断





    • PN患者を剖検すると10-40%で胆嚢炎あるが、自覚症状があるのはもっと少ない頻度
    • 上記5例を含めて、これまでの報告では計40例の血管炎性胆嚢炎がある
      • 男女比=1:1
      • 年齢:5 - 94歳
      • 半数で胆石あり
      • 潰瘍病変を有する胆嚢炎が40%
      • 分類すると下の通り
        • Group1はPNで予後不良のため強力な治療が必要
        • Group2は背景疾患に合わせた治療が必要
        • Group3は注意深くフォローするが他の臓器病変が出てきた場合にはGroup1-2にreclassfyされる可能性がある





      
    ※胆嚢炎をきたしたRVのcase report
    Sandhu SK, et al. BMJ Case Rep 2013. doi:10.1136/bcr-2012-0082281
    • 74歳、コーカサス人、男性
    • 主訴:1ヶ月間続く多汗、倦怠感、食欲低下、1ヶ月間での10kgの体重減少
    • 他の症状:全身筋肉痛、労作時の息切れ
    • 腹痛や便通など消化器症状なし、咳嗽なし、胸痛なし、動悸なし、起座呼吸や発作性夜間呼吸困難なし、浮腫なし
    • 喫煙歴:25年間のex-smoker
    • 既往症:脂質異常症、2型糖尿病
    • 常用薬:metformin 500mg 1日2回
    • アレルギー:なし
    • 身体所見:発熱なし、肺底部にfine crackleあり、神経学的所見異常なし
    • Labo:CRP 19 mg/dL, ESR 46 mm/h, ferritin 1029 ug/L, 好中球優位の白血球増加、Alb 2.8mg/dL, CK & TSH & Cr 正常範囲内、RF 111 IU/mL, 血液培養陰性、B/C型肝炎ウイルス陰性、CCP/DNA/ANCA/ANA抗体陰性、補体・尿所見正常
    • 胸部〜腹部CT:肺気腫と間質性肺炎像あり、胆石あり、腹腔内悪性腫瘍なし
    • 気管支鏡・上部消化管内視鏡:有意所見なし
    • 初期診断:PMR
      • PSL 15mg開始
        • 70%ほど筋痛は改善し、倦怠感も改善した
          • その後、徐々に多関節炎が出現。正球性貧血進行。X線では関節erosionなし
          • SASP開始したが嘔気のため中止。AZA 50mg+PSL15mgで治療開始。
            • 関節痛が出現して1週間後に臍周囲〜右季肋部に痛みが出現。CTで胆嚢炎の所見。
            • 手術にて胆嚢摘出。病理所見にて、胆石に加えて、胆嚢の小動脈にフィブリノイド壊死を認め血管炎の所見を認めた。類壊死領域を組織球が柵状に取り囲み、柵状肉芽腫を認めた(リウマチ結節?)。
            • 手術後には関節痛含めて軽快し、他に結節や血管炎の所見なく、AZA 50mg+PSL5mgで安定


    トファシチニブ開始後のリンパ球数、リンパ球サブセットの推移と感染症の関連について

    Evaluation of the Short‐, Mid‐, and Long‐Term Effects of Tofacitinib on Lymphocytes in Patients With Rheumatoid Arthritis Ronald van Voll...