- 筆者らの10年間での血管炎性胆嚢炎の自験例は下の5つ
- Case 1:胆嚢、虫垂、肝臓の生検にていずれからもPNの診断がついた
- Case 2:虫垂と胆嚢で動脈炎の所見ありPNの診断
- PN患者を剖検すると10-40%で胆嚢炎あるが、自覚症状があるのはもっと少ない頻度
- 上記5例を含めて、これまでの報告では計40例の血管炎性胆嚢炎がある
- 男女比=1:1
- 年齢:5 - 94歳
- 半数で胆石あり
- 潰瘍病変を有する胆嚢炎が40%
- 分類すると下の通り
- Group1はPNで予後不良のため強力な治療が必要
- Group2は背景疾患に合わせた治療が必要
- Group3は注意深くフォローするが他の臓器病変が出てきた場合にはGroup1-2にreclassfyされる可能性がある
※胆嚢炎をきたしたRVのcase report
Sandhu SK, et al. BMJ Case Rep 2013. doi:10.1136/bcr-2012-0082281
- 74歳、コーカサス人、男性
- 主訴:1ヶ月間続く多汗、倦怠感、食欲低下、1ヶ月間での10kgの体重減少
- 他の症状:全身筋肉痛、労作時の息切れ
- 腹痛や便通など消化器症状なし、咳嗽なし、胸痛なし、動悸なし、起座呼吸や発作性夜間呼吸困難なし、浮腫なし
- 喫煙歴:25年間のex-smoker
- 既往症:脂質異常症、2型糖尿病
- 常用薬:metformin 500mg 1日2回
- アレルギー:なし
- 身体所見:発熱なし、肺底部にfine crackleあり、神経学的所見異常なし
- Labo:CRP 19 mg/dL, ESR 46 mm/h, ferritin 1029 ug/L, 好中球優位の白血球増加、Alb 2.8mg/dL, CK & TSH & Cr 正常範囲内、RF 111 IU/mL, 血液培養陰性、B/C型肝炎ウイルス陰性、CCP/DNA/ANCA/ANA抗体陰性、補体・尿所見正常
- 胸部〜腹部CT:肺気腫と間質性肺炎像あり、胆石あり、腹腔内悪性腫瘍なし
- 気管支鏡・上部消化管内視鏡:有意所見なし
- 初期診断:PMR
- PSL 15mg開始
- 70%ほど筋痛は改善し、倦怠感も改善した
- その後、徐々に多関節炎が出現。正球性貧血進行。X線では関節erosionなし
- SASP開始したが嘔気のため中止。AZA 50mg+PSL15mgで治療開始。
- 関節痛が出現して1週間後に臍周囲〜右季肋部に痛みが出現。CTで胆嚢炎の所見。
- 手術にて胆嚢摘出。病理所見にて、胆石に加えて、胆嚢の小動脈にフィブリノイド壊死を認め血管炎の所見を認めた。類壊死領域を組織球が柵状に取り囲み、柵状肉芽腫を認めた(リウマチ結節?)。
- 手術後には関節痛含めて軽快し、他に結節や血管炎の所見なく、AZA 50mg+PSL5mgで安定
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