Jayne, D. R., et al. "Randomized Trial of C5a receptor inhibitor avacopan in ANCA-Associated vasculitis." J Am Soc Nephrol (2017).
背景
- AAV患者は、高用量ステロイド+CYC or RTXによる治療でも、最初の1年で死亡リスクが健常人と比較して9倍であり、それらは感染症、血管炎活動性、腎障害によるものである
- Rheumatology (Oxford) 50: 697–702, 2011
- 15-38%の患者が5年以内にESRDとなる
- RTXやCYを比較したRAVE trialでも、再燃やコントロール不能な疾患活動性、副作用などで、6ヶ月後の寛解というprimary outcomeを達成できなかった人が42%いた
- N Engl J Med 363: 221– 232, 2010
- C5a, C5a受容体(C5aR, CD88)はAAVにおいて重要な役割を果たしている
- TNFαのような炎症性サイトカインによって活性化されたC5aは、ANCA存在下で、好中球の活性化・変形を起こし小型血管にゆっくり浸潤する
- C5aは血管内皮細胞に作用し収縮させ透過性を亢進させる
- Avacopanは、以前はCCX168と呼ばれていたものであり、C5aを阻害する小分子C5aRアンタゴニストであり、内服で投与する
- 今回の研究では、CYもしくはRTXによって寛解導入を受けた後のAAVにおいて、高用量ステロイドの代替薬としてAvacopanが有効かどうか、安全性を調べてみた
方法
- ランダム化、二重盲検
- ヨーロッパの32施設
- 対象
- 18歳以上
- CHCCを満たす新規/再燃GPA, MPA
- 一般的にCYC or RTXによる寛解導入が必要な程度の重症度
- 血清学的にANCA陽性
- 腎生検で血管炎を証明 or 血尿+蛋白尿
- eGFR > 20ml/min/1.73m2
- exclusion criteria
- RPGN
- 肺胞出血
- 急性発祥の多発単神経炎
- 中枢神経病変
- 他の自己免疫疾患併発
- 凝固もしくは易出血性あり
- 12週間以内にCYの治療を受けた
- 12ヶ月以内にRTXの治療を受けた
- 12週間以内にステロイド点滴で3g以上投与された
- 6週間以内にPSL10mg相当以上投与された
- 全例でinductionとしてCYC or RTXを使用した
- Avacopanがステロイドの代替薬として安全に使用できるかに関する既報がないため、今回の研究ではstepwise方式をとった
- step1(12人)では、control群(placebo+PSL60mg)とAvacopan(30mg 1日2回)+PSL20mg群に2:1で分けて、avacopan併用群でステロイドを20mgに少なくして開始することで重大な副作用が起きないか確認し、step2に進んだ
- step2(14人)では、control群とAvacopan(30mg 1日2回)+placebo群に2:1で分けて、avacopan群が完全に経口PSLに置き換えられるか確認した
- step3では、n数を増やした
- 研究開始した時点ではまだRTXが使用できなかったため、steps 1、2 ではIVCY15 mg/kg(最大1.2 g)をday1, weeks 2, 4, 8, 12に投与し、その後AZAを2 mg/kg/dayを14週〜24週まで投与した。CYは腎機能や年齢などで調節。
- RTXはstep 3から使用開始し、全例、上記と同様にIVCYを使用するか、RTX 375 mg/m2 1週間毎 ×4回
- PSL漸減方法は下の通り
結果
- 期間:2012/10-2016/1
- 新規/再燃のAAVの患者87人が組み込まれ、そこから20人は下図box内の理由で除外され、63人を3群にランダム化
- control群:placebo+PSL60mg
- Avacopan(30mg 1日2回)+PSL20mg
- Avacopan(30mg 1日2回)+placebo
- baseline characteristics
- control群でCrスコアが高い
- MPO-ANCA陽性40-60%, PR3-ANCA陽性30-50%
- control群のほうがPR3-ANCA陽性の人が多め
- 試験に組み込まれる前の治療
- Avacopan群も以前にステロイド使用されている人が50%いる、平均用量PSL50mg程度
- 免疫抑制剤使用率 10-20%程度(AZA, MTX, MMFのみ。RTX, CYCの使用なし。)
- 以下、あまり3群で違いなさそう
- 平均年齢 57-59歳
- 男性が多い
- 全員白人
- 新規70-80%, 再燃20-30%
- GPA, MPAは半分ずつくらい
- BVAS 13-14程度, VDI 0.5-1.2
- 臓器病変
- 腎臓95%以上
- eGFR 45-55
- 肺 30-40%程度
- 神経障害 10-20%
- 治療開始12週時点の治療反応性(ΔBVAS 50%以上低下、臓器障害悪化がない)
- control群:14/20 (70.0%)
- Avacopan+PSL20mg群:19/22 (86.4%)
- Avacopan+placebo:17/21 (81.0%)
- Avacopanを含む2群はcontrol群とそれぞれ比較して非劣性
- サブグループ別の治療効果は下の通り
- 新規と再燃、GPAかMPAか、ANCAの種類別、寛解導入でCYかRTX使用したかではあまり違いはなさそう
- 蛋白尿はAvacopan群のほうが有意に減少(eGFR, 血尿, CRPはcontrol群と同様)
- BVASも有意差はないがAvacopan群のほうが改善が大きい傾向
*P=0.05, **P=0.01, ***P=0.001
- 副作用
- 死亡なし
- (なぜか副作用の欄にvasculisの記載あり)
そもそもRPGNや肺胞出血など重症群が今回の研究では最初から除外されており、現時点ではあくまでも、RPGNとかほど重症ではない場合に、CYもしくはRTXで寛解導入した後に、後療法として高用量ステロイドは糖尿病とかもあるしやだなぁ・・・っていうAAVに対して、steroid sparing agentとして使用される可能性がある。
まだRTXやCYの代わりになれるとはいえなくて、今後、この薬剤の立ち位置、長期の治療効果など検討することがまだありそうです。
内服できる、治療反応が早いのはいいですね。
しかし、Avacopan群において、なんで再燃例が30%程度で、以前にすでにステロイド使用していた人が半分以上いるのかよくわかりません・・・とりあえず少量でステロイド開始されていたってこと?
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