このブログを検索

2018年9月10日月曜日

clinical remissionを達成したRAにおいて、flareを予測するための関節エコーの役割

Filippou G, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:1283–1289. doi:10.1136/annrheumdis-2018-213217

<abstract>
・目的
RAの臨床的寛解の評価における関節エコーの役割を明らかにする


・方法
多施設(イタリアの25施設)、前向き試験、RAで臨床的寛解を達成した症例をinclusion. エコーではwrists, MCPs, PIPs, 手・手指のsynovial tendonsを0, 6, 12ヶ月時点で評価。
 the STARTER studyと命名。

・結果
361症例をenroll(mean age; 56.2 y/o、female; 72%, mean disease duration; 9.75 y )。12ヶ月時点で、全体で30.1%がflareした。PD positive tenosynovitis と joint synovitis が伴っていることがflareの予測因子だった(crude 
OR 2.75, 95% CI 1.45 - 5.20)(adjusted OR  2.09 , 95% CI 1.06 - 4.13 ))。エコーの結果は、身体的機能低下や画像的構造破壊の進行には関連しなかった。なお、12ヶ月時点でのflareは予測できたが、6ヶ月時点でのflareの予測はできなかった。

・結論
tendonとjointのPD陽性は、clinical remissionを達成したRA患者における、独立したflareのリスク因子だった。


<背景>

  • clinical remissionを達成したRA患者におけるエコーの役割がわかっていないため、それを明らかにする

<方法>
  •  the STARTER study
    • 25のリウマチ施設が参加
  • clinical remissionをRA症例をinclusion
    • 今回のremissionの定義は、DAS28 < 3.2 とした(おそらく2.6とするとサンプルサイズの問題が出てくるため)
    • DAS < 2.6の症例だけを対象とした二次解析も行った

<結果>
  • characteristics(table1)
    • 361症例
      • mean age; 56.2 y/o
      • female; 72%,
      • mean disease duration; 9.75 y 


  • フォロー中に、30%(98/326人)がflare
    • 最初の6ヶ月間:56/98人
    • 後半の6ヶ月間:40/98人
      • (残りの2人は12ヶ月でflareしていたが6ヶ月時点でのDAS28の値が不明)
  • それぞれのエコー所見におけるflareに対するOR(figure1)
    • GS tenosynovitis + synovitis, PD tenosynovitis + synovitis がいずれも有意にflareの予測因子だった


  • DAS < 2.6の182症例に限ると、75例がflareした(figure1)
    • crudeでは GS tenosynovitis + synovitis, PD tenosynovitis + synovitis がいずれも有意にflareの予測因子だったが、adjusted(年齢・性別・罹病期間・筋骨格系並存疾患・seropositivity・remissionを維持した期間・治療内容)では統計学的有意差は消失


  • 6ヶ月時点 US →12ヶ月時点 flareに関しては、GS tenosynovitis + synovitis、PD synovitis が統計学的有意な予測因子だった



  • functionの低下(HAQで評価)、radiographic progression(erosion score, JSN score)は、エコーの結果で予測できなかった


<考察>
  • 今回の研究は、US-detected tenosynovitis の clinical remissionに対する影響を調べた数少ない報告である
  • USがHAQ増悪やradiographic progressionの予測因子とならなかったのはサンプルサイズの問題だろう
  • baseline US →6ヶ月時点 flareは有意でなく、6ヶ月時点 US →12ヶ月時点 flareは有意だったことから、たとえbaselineにおいてUS inflammationがなくとも再度おこなう意義はありそう

0 件のコメント:

コメントを投稿

トファシチニブ開始後のリンパ球数、リンパ球サブセットの推移と感染症の関連について

Evaluation of the Short‐, Mid‐, and Long‐Term Effects of Tofacitinib on Lymphocytes in Patients With Rheumatoid Arthritis Ronald van Voll...