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2017年11月15日水曜日

2017 EULAR/ACR 分類基準 for adult & juvenile 特発性炎症性筋疾患


2017 European League Against Rheumatism/ American College of Rheumatology classi cation criteria for adult and juvenile idiopathic in ammatory myopathies and their major subgroups 
Ann Rheum Dis 2017;76:1955–1964.  

背景

  • 特発性炎症性筋疾患(IIM)の主要なサブグループは、以下の4つである
    • dermatomyositis (DM)
    • polymyositis (PM) 
    • inclusion body myositis (IBM)
    • juvenile DM (JDM)
  • これまで、様々な診断基準や分類基準が使用されてきたが、いずれも項目が経験だもので、validationもされていない
    • Bohan and Peter基準も頻用されているが、限界がある
      • どのように他のミオパチーを除外するか規定しておらず、IBMをPMと誤分類したり、炎症を伴うジストロフィーも筋炎に分類される可能性もある
    • 臨床所見と関連がある筋特異的自己抗体もここ数十年で新しく発見されており、診断の正確性に寄与すると思われるが、それについても確認がされていない
  • 今回のプロジェクトは、The International Myositis Assessment and Clinical Studies (IMACS) Groupにより、成人・若年IIMの分類基準を開発することが目的である
※pilot studyでの各所見のIIMに対する特性


結果
  • 新基準開発の際に解析された患者集団(IIM群、対象群)のdemographic data
    • 対象群(IIMを模倣する疾患)
      • 全身性炎症性疾患
      • 筋ジストロフィー
      • 薬剤 or 毒素性ミオパチー
      • 運動ニューロン疾患/ニューロパチー
      • 代謝性ミオパチー
      • 筋肉痛
      • 皮膚疾患
      • 内分泌関連ミオパチー
      • 感染性ミオパチー
      • ミトコンドリア関連ミオパチー
      • 神経筋疾患
      • 他のミオパチー
      • 免疫介在性皮膚疾患
    • アジア人:20%程度

  • 新分類基準
    • The EULAR/ACR classification criteria for adult and juvenile idiopathic infammatory myopathies (IIMs) 
    • 小児、皮膚科ではあまり筋生検をしないので、筋生検なしのスコアも開発
      • しかしながら、IIMに分類するには、皮疹がなければ筋生検は必須とwarking committee全体でコンセンサスあり




  • 上記スコアを用いて、IIMの可能性(probability of IIM)を以下のように計算
    • 筋生検あり:1/[1+指数(5.33–score)] 
    • 筋生検なし:1/[1+指数 (6.49–score)] 
  • 上記計はwebで計算可能(www.imm.ki.se/biostatistics/calculators/iim). 

    • IIMの可能性 = 50% 〜 55%:possible IIM
    • IIMの可能性 = 55% 〜 90%:probable IIM
    • IIMの可能性 ≧ 90%:definite IIM

  • カットオフ
    • A、C:筋生検なし
      • IIMの可能性=55%:5.5
      • IIMの可能性=90%:7.5
    • B、D:筋生検あり
      • IIMの可能性=55%:6.7
      • IIMの可能性=90%:8.7


    • classification tree
      • まずは上記スコアにて、 IIMの可能性≧55%を満たすことが前提
      • 臨床所見と筋生検によって、成人IIMはPM, IBM, ADM, DMに分類
        • PMはIMNMを含む
      • 小児はサンプルサイズが小さすぎてjuvenile PM, IMNM, hypomyopathic DMを分けられなかった




    • 臨床医による分類と、上記treeによる分類の比較
      • 概ね一致

    • 新分類基準と既存の基準の比較
      •  IIMの可能性=55%の値をカットオフとすると、筋生検なしの場合は新分類基準の感度=87%、特異度=82%

    • validation
      • 内的妥当性
        • 筋生検なし:AUC=0.942、cross-validated area=0.933
        • 筋生検あり:AUC=0.962、cross-validated area=0.942
      • 外的妥当性
        • the Euromyositis register の592症例(PM=281, DM=256, IBM=33, JDM=18and ADM=4)を使用
          •  IIMの可能性=55%をカットオフとすると、感度100%


    まとめ
    • 今回のthe EULAR/ACR criteriaは、初めてvalidationした基準である
      • 解析対象にアジア人が少ないので、もっとアジア人を対象にしてvalidationしていく必要がある
      • 外的妥当性の際には対象群が設定されていない
    • 皮疹の点数が高い
    • 感度、特異度ともに良好だった
      • 筋生検なし:感度87%、特異度82%
      • 筋生検あり:感度93%、特異度88%

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