- 免疫関連有害事象(IrAEs)の発症率・特徴、免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の治療反応性を調べる
方法
- フランスの単施設、前向き観察研究
- 対象
- 18歳以上
- ICIs(anti-CTLA-4 [ipilimumab, remelimumab], anti-PD-1 [nivolumab, pembrolizumab], anti-PD-L1 [atezolizumab, avelumab, durvalumab, MSB0011359C] )を単剤 or 併用で投与されていた患者
- 上記投与中に、何かしら筋骨格系の症状が出現した場合には、リウマチ科医に相談するようにしていた
結果
- 524人が2015/9 - 2017/3の期間にICIsを投与された
- anti-CTLA-4:n=5
- anti-PD-1/anti-PD-L1:n=407
- 両者を併用(同時もしくは違う期間):n=112
- characteristics(table1)
- 筋骨格系症状(※この論文ではICIs投与中に生じた全ての筋骨格系症状をRheumatic IrAEsと定義しているようです)を呈してリウマチ科にコンサルトされた症例(table2)
- 6.6%(35/524人)
- そのうち2例は自己免疫疾患の既往あり(axial SpA, 乾癬)
- Rheumatic IrAEs発症までのICIs平均投与期間
- 70日間(1 - 650 日間)
- 8ヶ月間以内の症例が80%
- Rheumatic IrAEsが起きた場合とそうでない場合で、悪性腫瘍の原発部位は差はなさそう
- もともとanti-CTLA-4 agentのみ投与している症例は5例のみで少ないが、その中でもRheumatic IrAEsの発症なし
- PD-1/PD-L1単剤:30例
- 併用:5例
- IrAEs全体の中で、Rheumatic IrAEsとnon-Rheumatic IrAEsを比較しても、Rheumatic IrAEsにおいて、PD-1/PD-L1単剤の割合が併用よりも多い
- IrAEsが出現した場合は、そうでない場合と比較して、悪性腫瘍に対する治療反応性は有意に良好であるのは既報と同様
- Rheumatic IrAEsとnon-Rheumatic IrAEsの間には、ICIsの悪性腫瘍に対する治療反応性に有意差なし(85.7% vs 75.1%, P=0.18)
- Rheumatic IrAEsの症状の種類は多様(以下)
- 上下肢の大関節・小関節ともに症状が出現
- 関節痛は全例に認められた
- 関節腫脹:8例
- 筋痛:5例
- 背部痛:10例
- グループ分けすると、以下の通り
- 炎症性関節炎(RA 7例、PMR 11例、PsA 2例)
- PMRの症例は、1例を除いて2012 EULAR/ACR criteriaを満たした。残りの1例は、PMR criteriaを満たさなかったものの、急性の両肩関節痛とseronegativeであること、PSL 12.5mgで急速に改善した経過から、PMRと診断
- PsAは2例いたが、そのうち1例はもともとPsAの既往あり
- X線で関節破壊を認めた症例はなし
- 非炎症性筋骨格症状(15例)
- ※PMRと診断してもエコーが正常の症例もあり、筋炎の除外がどこまでできているかは不明
- NSAIDsもしくはPSLで改善
- ICIsは、治験でプロトコールに準じて中止した1例を除いて、全例継続した
まとめ
- Rheumatic IrAEsを呈した症例のうち、PMR-like syndromes, RA, PsAが 3.8%, 非炎症性の症状が 2.8%だった
- 既報では、Rheumatic IrAEsで典型的なのはseronegative RAだった
- しかしながら、今回のレビューでは、急性発症・両肩関節痛±股関節痛という典型的なPMR症状を呈するものの炎症性マーカーの増加なしもしくはわずかという新しいphenotypeを認めた
- Rheumatic IrAEsを呈した症例の方が、IrAEsを呈さなかった症例と比較して、悪性腫瘍に対する治療反応性は良好だった
- Rheumatic IrAEsとnon-Rheumatic IrAEsの間には差は見られなかった
- 中等量以下のPSLで、ICIsを中断せずに症状軽快したのは既報と同様だった
- 既報では高用量のステロイドやTNFi、ICIsの中断を必要とした症例もあり、治療に際して国際的な基準を作成することが必要である
- anti-PD-1/PD-L1 agentがRheumatic IrAEsに多かった
- 動物モデルにおいて、PD-1 KOマウスでは関節炎が観察されたが、CTLA-4 KOマウスではみられなかった既報は、これを支持する
- ヒトにおいて、CTLA-4の多型は、血小板減少、低γグロブリン血症、肺・脳・消化管にリンパ球の浸潤を認めたものの、Rheumatic symtomは呈さなかった
- 最近、PD-1/PD-L1 checkpointの異常がGCAにおいて報告された
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