ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 70, No. 3, March 2018, pp 330–333
DOI 10.1002/art.40371
Vol. 70, No. 3, March 2018, pp 330–333
DOI 10.1002/art.40371
- Drug-induced autoimmunityは、1945年に、スルファジアジン誘発性SLEが報告されて以来、注目されるようになった
- Drug-induced autoimmunityで自己免疫疾患が産生されるのは共通しているが、自己免疫や薬剤代謝に関与する遺伝子などによって影響されるため、臨床症状のspectrumは多様である
- 実際に、プロカインアミドやヒドララジンを内服すると多くの患者が自己抗体を産生するが、臨床症状を呈するのはその一部である
- 症状は皮膚、漿膜炎、関節炎など
- 一部の患者は、慢性 or 重症となる
- 多くの症例では、被疑薬を中止することで症状は改善する
- その病態を理解することは、特発性の自己免疫疾患の病態を解明するのにも役立つだろう
- プロカインアミドやヒドララジンは、Drug-induced autoimmunityを誘発するよく知られた薬剤である
- Bruce Richardsonらは、これらの薬剤がT cellのDNAメチル化を阻害することを報告した
- これらの薬剤にて処理をしたCD4 T cellsをマウスに養子免疫(adoptive transfer)すると、SLE様症状を呈した
- プロカインアミドは、T cellsのDNA methyltransferase 1 (DNMT-1) 活性を直接阻害する
- ヒドララジンは、T cellsのERK pathwayを阻害し、それによってDNMT-1の発現を減らす
- これらの報告から、T cell のDNAメチル化欠損が特発性のSLE発症に関与しているのかということ、T cell のDNAメチル化の制御がSLEの病態に関与しているという研究に結びついた
- ここ数年で、自己免疫疾患の病態における自然免疫の関与が注目されてきた
- 好中球は、SLEの発症初期に、核やアポトーシスした細胞のphagocyteを介して関与している
- また、好中球は、SLEにおいて、IFNαの産生によって病態に関与しているという仮説もある
- 好中球に対する抗体であるANCAの産生は、AAVにおいて重要である
- 好中球の死滅の過程によりNETsが形成され(NETosisと呼ばれる)るが、NET形成に関わる遺伝子(ELANE)の欠失によりNET形成が障害されると、パルボウイルスへの反復感染を起こし、慢性関節炎となる
- NETosisの過程において、自己抗原を多く含む核の成分と顆粒蛋白を放出する
- また、NADPH oxidase活性依存性のNETosisでは、reactive oxygen species (ROS) とpeptidylarginine deiminase type 4 (PAD4)–catalyzed histone citrullinationを産生することで、ヒストンの展開とクロマチンの露出を生じる
- NADPH oxidaseの欠損 or PAD4活性を欠損すると、好中球のNETosisは生じなくなる
- SLEとAAVでは、NETosisが生じやすくなっており、かつNETの分解が障害されている結果、NETs内に自己抗原の露出時間が相対的に長くなっている
- NETsは、TLR9依存性の経路を介して、plasmacytoid DCsからのIFNα産生を刺激する
- ミトコンドリアDNA(より特異的にいえば酸化ミトコンドリアDNA)は、SLEにおいて、好中球によるtype 1 IFN産生を刺激するDNAであることが最近報告された
- type 1 IFNもまた、NETosisを誘導する
- 自己抗体(特にRNP抗原に対する)、ANCA、抗リン脂質抗体は、NETosisを促進する
- AAVの血管病変、SLEの腎臓・皮膚病変において、NETsの存在が報告されている
- APSにおける静脈血栓は、マウスレベルでは、NETosis依存性である
- Irizarry-Caroらは、ヒドララジンとプロカインアミドが、in vitroにおいて、健常人から抽出した好中球に対してNETosisを誘導した
- これらの結果は、Drug-induced autoimmunityの機序に自然免疫が関与していることを示唆している
- SLEやAAV患者における好中球とは異なり、NET分解はヒドララジンとプロカインアミドによって障害されなかった
- そして、ヒドララジンとプロカインアミドによるNET形成は、ROS形成に依存していた
- また、PAD阻害によってNET形成が障害されたため、ヒドララジンとプロカインアミドによるNETosisは、PAD依存性であることを示唆している
- また、ヒドララジンは、細胞内Ca濃度を増加させ、細胞内Ca濃度増加を阻害するとヒドララジンによるNET形成を阻害した
- プロカインアミドは、細胞内Ca濃度を変化させなかった
- ヒドララジンと異なり、プロカインアミド誘発性NETosisは、ムスカリン性受容体アンタゴニストであるアトロピンと、M1- & M3-特異的ムスカリン性受容体アンタゴニストによって、阻害された
- これらの結果は、細胞内Ca濃度増加とムスカリン性受容体刺激が、NETosisを誘導することを示唆している
- これら以外に、ミノサイクリン、クロザピンも自己免疫を誘導するが、NETosisは誘導しなかった
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