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2018年1月31日水曜日

basophil由来のIL-4が、皮膚における食物抗原監査を促進し、食物アレルギーへの発症に関与する

 (J Allergy Clin Immunol 2018; 141(1): 223-234)




背景

  • thymic stromal lymphopoietin (TSLP) の過剰な産生とbasophilの浸潤は、アトピー性皮膚炎の病態と食物アレルギーの発症に関連していることが知られている
  • IL-4産生を介して、Th2細胞はB cellsのクラススイッチを誘導し、抗原特異的IgE反応が促進され、最終的にmast cellsによる反応が生じて食物アレルギーとなる
    • Th2 polarizationはIL-4シグナルに依存していることが多いが、naive T cells自体はIL-4を産生しないため、抗原特異的Th2反応がどのように生じるのか、わかっていない
  • TSLPとbasophilは、皮膚の感作によって食物アレルギー反応を促進する
    • しかし、TSLPによって誘導されたbasophilが、どのように、皮膚とそこから離れた部位にある他の粘膜(消化管など)にアレルギー反応を誘導するかはわかっていない
  • そのため、今回の研究は、basophilから産生されたIL-4が、食物抗原による皮膚と消化管のTh2反応においてどういった役割を果たすのか調べた
    • その結果、basophilが、TSLP依存性に皮膚へ浸潤し、食物アレルゲンのTh2感作を促進し、IgE介在性食物アレルギーを促進することがわかった
    • 以前に筆者らは、アトピー性皮膚炎患者の皮膚においては、TSLPによって誘導されたbasophilが、Th2 cellsよりも、IL-4産生源として重要であることを示している
    • すなわち、これらをまとめると、TSLPによって誘導されたbasophilが、IL-4産生を介して、食物抗原のTh2感作を誘導し、IgE介在性食物アレルギー反応を引き起こすことが示唆された


方法
  • 皮膚にOVAを免疫感作させアトピー性皮膚炎様の皮膚病変を有するマウスに、消化管へ抗原を投与し、IgE介在性食物アレルギーを誘導した
  • basophil由来IL-4産生が、Th2反応亢進やIgE介在性食物アレルギーの病態に必要なのか、naive T cellsとの共培養(in vitro)とbasophilからのIL-4産生が欠損しているIl4 3'UTRマウス(in vivo)で評価した

結果
  • 皮膚を介した食物抗原の感作には、IL-4を産生する自然免疫細胞(basophilやeosinophil)の皮膚への浸潤が浸潤していた
  • basophilと異なり、eosinophilを欠損させても結果には変わらなかった
  • IL-4を産生するbasophilと樹状細胞とnaive T cellsを共培養させると、IL-4依存性にTh2反応を誘導した
    • しかしながら、in vivoにおけるbasophil由来のIL-4産生は、食物によるアレルギー反応を抑制した

結論
  • TSLPが誘導したbasophilは、食物抗原の皮膚感作を促進し、IL-4を介してIgE介在性食物アレルギーを生じさせる
  • TSLP-basophil-IL-4 axis を標的にした治療は、アトピー性皮膚炎において、革新的な治療になる可能性があり、離れた部位に存在する粘膜でのアレルギー反応の発症を防ぐ可能性もある

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