背景
- thymic stromal lymphopoietin (TSLP) の過剰な産生とbasophilの浸潤は、アトピー性皮膚炎の病態と食物アレルギーの発症に関連していることが知られている
- IL-4産生を介して、Th2細胞はB cellsのクラススイッチを誘導し、抗原特異的IgE反応が促進され、最終的にmast cellsによる反応が生じて食物アレルギーとなる
- Th2 polarizationはIL-4シグナルに依存していることが多いが、naive T cells自体はIL-4を産生しないため、抗原特異的Th2反応がどのように生じるのか、わかっていない
- TSLPとbasophilは、皮膚の感作によって食物アレルギー反応を促進する
- しかし、TSLPによって誘導されたbasophilが、どのように、皮膚とそこから離れた部位にある他の粘膜(消化管など)にアレルギー反応を誘導するかはわかっていない
- そのため、今回の研究は、basophilから産生されたIL-4が、食物抗原による皮膚と消化管のTh2反応においてどういった役割を果たすのか調べた
- その結果、basophilが、TSLP依存性に皮膚へ浸潤し、食物アレルゲンのTh2感作を促進し、IgE介在性食物アレルギーを促進することがわかった
- 以前に筆者らは、アトピー性皮膚炎患者の皮膚においては、TSLPによって誘導されたbasophilが、Th2 cellsよりも、IL-4産生源として重要であることを示している
- すなわち、これらをまとめると、TSLPによって誘導されたbasophilが、IL-4産生を介して、食物抗原のTh2感作を誘導し、IgE介在性食物アレルギー反応を引き起こすことが示唆された
方法
- 皮膚にOVAを免疫感作させアトピー性皮膚炎様の皮膚病変を有するマウスに、消化管へ抗原を投与し、IgE介在性食物アレルギーを誘導した
- basophil由来IL-4産生が、Th2反応亢進やIgE介在性食物アレルギーの病態に必要なのか、naive T cellsとの共培養(in vitro)とbasophilからのIL-4産生が欠損しているIl4 3'UTRマウス(in vivo)で評価した
結果
- 皮膚を介した食物抗原の感作には、IL-4を産生する自然免疫細胞(basophilやeosinophil)の皮膚への浸潤が浸潤していた
- basophilと異なり、eosinophilを欠損させても結果には変わらなかった
- IL-4を産生するbasophilと樹状細胞とnaive T cellsを共培養させると、IL-4依存性にTh2反応を誘導した
- しかしながら、in vivoにおけるbasophil由来のIL-4産生は、食物によるアレルギー反応を抑制した
結論
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