Brunner HI, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:21–29.
- JIAは慢性免疫介在性関節炎であり、16才以前に発症し、etiologyはわかっていない
- 多関節炎を呈するJIA(polyJIA)の治療で、第一選択はNSAIDsとMTXである
- MTXに耐えられないもしくは十分な疾患コントロールを得られない場合は、生物学的製剤が必要になるだろう
- GO-KIDS studyはMTXを使用しても活動性のpolyJIAに対するGOLの有効性と安全性を調べた試験である
方法
- ヨーロッパ、ラテンアメリカ、カナダ、アメリカの多施設でおこなった
- 対象
- 2-17才
- RF因子に関わらず、oligoarticular JIA, systemic JIA
- 罹患期間 ≧ 6ヶ月以上
- MTX(10–30 mg/m2/week)を3ヶ月間以上使用しても、活動性関節炎の数 ≧ 5
- 全体のうち、80%はbio-naive
- 維持量のNSAIDs, 少量ステロイド(PSL ≦ 0.2mg/kg/day or 10mg/day)は使用可
- 3つのpartに分けて実施
- Part1
- 0-16週
- open-label
- 全例に GOL 30mg/BSA(max 50mg)s.c. q4w 投与
- Part2
- 16-48週
- 二重盲検
- Part1にてJIA ACR 30 responseを達成した症例を、GOLとplaceboに割付(地域、JIA type:psoriatic suvtype vs. other subtypes、以前のTNFα使用歴、年齢で層別化)
※American College of Rheumatology Ped 30 Response
下の6つの項目のうち、3つ以上で30%以上の改善を認め、30%以上の増悪を示す項目が1つ追加と定義
- 患者による疾患活動性評価
- 客観的 or 両親による疾患活動性評価
- 活動性関節炎の数(腫脹、圧痛、痛みのため可動域制限あり、のいずれか)
- 可動域制限のある関節の数
- 身体機能:Physical function by Childhood Health Assessment Questionnaire (CHAQ)
- ESR
- Part3
- 48週時点で、16週時点と比較してJIA再燃がない症例(JIA ACR30 responseに含まれる項目において、3つ以上の項目で30%以上の増悪ありかつ30%以上の改善を示した項目が1つ以下)を対象
- Part1と同じ用量のGOLをopen-labelで投与
- 248週まで継続する予定だったが、48週時点でendpointを満たさずスポンサーの協力が得られなかったため48週時点で早期に中止された
- baseline characteristics(table1)
- Part1でのGOL有効性(全例投与)
- 16週時点(figure2A)
- JIA ACR30:89.0%
- JIA ACR50:79.2%
- JIA ACR70:65.9%
- JIA ACR90:36.4%
- 全ての項目がbaselineから改善(figure2B)
- 34.1% (59/173) がclinically inactive disease statusとなった
- Part2
- JIA flareの割合はGOL群とplacebo群で同等であり、endpoint満たさず(figure3A)
- 47.4% vs. 41.0% (p=0.41)
- flareまでの期間も同等
- placebo:95.6 weeks vs. GOL:108.4 weeks
- clinical remissionの割合も同等(figure3B)
- JADAS71-ESR scores も同等(figure3C)
- GOL継続群でflareした症例の割合は、baseline CRPで有意差なし。しかしながら、placebo群ではbaseline CRP高い方がflare率が高い(figure3D)
- 96週時点での有効性もplacebo群とGOL群で有意差なし
- biomarkerと有効性の関連
- Part1にてJIA ACR responseがよかった症例は、baselineのbiomarker(IL-6やCRPなどの炎症性サイトカイン、好中球、ESR)が低かった
- 安全性
- Part2におけるGOL群とplacebo群で同等
- GOLを20ヶ月間使用した時点で多発性硬化症を発症した18才の症例があり、GOL関連性と考えられた
- week4時点で肝酵素5倍以上に増加した症例がいたが、GOL中止せずに改善
- 新規発症の虹彩毛様体炎が2例あり
- 薬物動態
- RAに対して成人で使用されている場合とGOLトラフ濃度の安定性は同等だった
- 46.8%でGOLに対する抗体が陽性であり、5.2%は抗体価が高力価だった(>1:1000)。高力価である場合にはGOL血中濃度が低下したが、低力価の場合は陰性と同等だった
まとめ
- primary endpointである、Part2におけるplaceboに対するGOLの有効性は示せなかった
- 考えられる原因
- placebo群において、GOLの臨床的有効性が薬剤の半減期を超えて持続し、それによって有意差が出なかった
- baseline biomarkerとその後のJIAの経過が関連していたことから、baseline CRPの平均が1.0mg/dLと低いことが原因かも
- MTXを継続していたのがplacebo群の疾患活動性コントロール維持に影響していたかも
- 薬剤の血中濃度は成人のRA症例におけるデータと比較しても問題なかった
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