Verschueren P, et al. Ann Rheum Dis 2015;74:27–34.
背景
- RA発症早期におけるステロイドの併用は、早期に疾患活動性をコントロールし、骨破壊を防ぐために使用される
- ステロイドによって、痛みを和らげ、社会復帰をはやめることができる
- しかしながら、副作用や適切な使用期間・使用量・投与方法などの面から、多くの医師が処方をためらっている
- 今回の試験は、ステロイドを早期RA患者に併用することの有効性と安全性を調べることを目的とした
方法
- Care in early RA (CareRA)は、前向き多施設ランダム化比較試験である
- 対象
- 1987ACR分類基準を満たすRA
- 2009年1月〜2013年3月に患者をリクルート
- 罹患期間(RA診断〜治療まで) ≦ 1年
- DMARDs naive, ステロイド naive
- アルゴリスムによってhigh risk群に分類される(以下参照)
- 以下の項目によってhigh riskに分類
- 骨びらん
- RF or ACPA抗体陽性
- 疾患活動性(DAS28-CRP)
- 上記によってhigh riskに分類された患者を3群に分類
- COBRA Classic
- MTX 15mg/wk+SASP 2g/day+PSL step down(1週おきに60-40-25-20-15-10-7.5)
- PSL:6週で7.5mgまで減量し28週まで維持。その後、offまで漸減
- 実地臨床での使用量に基づき、originalのCOBRAスケジュール(7.5mg)よりMTX多めにした
- COBRA Slim
- MTX 15 mg/wk+PSL step down (1週おきに30-20-12.5-10-7.5-5)
- PSL:6週で5mgまで減量し28週まで維持。その後、offまで漸減
- COBRA Avant Garde
- MTX 15 mg/wk+LEF 10 mg/day+PSL step down (1週おきに30-20-12.5-10-7.5-5)
- PSL:6週で5mgまで減量し28週まで維持。その後、offまで漸減
- 全例に葉酸、vitD、Caの投与、リーフレット・DVDによる患者教育を行なった
- DAS20-CRP ≦ 3.2を目指したT2Tアプローチを使用
- 8週までに達成できない場合には、まずはMTX 20mg/wまでweeklyに増量
- その後8週にてまだ達成できていない場合には、以下のtreatment adaptationを行なった
- ClassicならSSZ 3gまで増量
- SlimならLEF 10mg追加
- Avant GardeならLEF 20mgまで増量
- これらで寛解を達成できない場合には、治療失敗とした
- NSAIDsなどの鎮痛薬は使用可
- 筋注・関節注射でステロイドの使用は最大8週おきに可(評価時点である16週目より4週間以内は除く)
- baseline、4週、8週、16週目に評価
- primary outcome
- 16週時点でDAS28-CRP < 2.6 達成した割合
結果
- baseline characteristics(table1)
- 380人がCareRAに組み込まれ、そのうち290人がhigh riskへ分類され、3群に割り付けられた
- primary outcome
- 16週時点でDAS28-CRP < 2.6 達成した割合
- COBRA Classic:70.4% (68/98)
- COBRA Slim:73.5% (72/98)
- COBRA Avant-Garde:68.1% (64/94)
- p=0.713
- secondary outcome(table2)
- good EULAR response
- COBRA Classic:79.6%
- COBRA Slim:79.6%
- COBRA Avant-Garde:76.6%
- p=0.844
- clinically meaningful HAQ response
- COBRA Classic:84.7%
- COBRA Slim:86.7%
- COBRA Avant-Garde:76.6%
- p=0.271
- HAQ=0
- COBRA Classic:45.9%
- COBRA Slim:42.9%
- COBRA Avant-Garde:48.9%
- p=0.700
- baseline〜16週目までのDAS28-CRPのAUC(累積疾患活動性)
- COBRA Classic:10.66±3.41
- COBRA Slim:11.05±3.39
- COBRA Avant-Garde:10.72±2.96
- p=0.521
- treatment adaptationを行なった割合
- COBRA Classic:19.4%
- COBRA Slim:22.4%
- COBRA Avant-Garde:14.9%
- p=0.407
- ステロイド関節注射を行なった割合
- COBRA Classic:3.1%
- COBRA Slim:5.1%
- COBRA Avant-Garde:5.1%
- p=0.703
- 有害事象
- 合計で171/290例(59%)に生じた
- COBRA Classic:61.2%
- COBRA Slim:46.9%
- COBRA Avant-Garde:69.1%
- p=0.006
まとめ
- 予後不良因子(RF, ACPA, erosion, 高疾患活動性)を有する早期RA患者において、16週時点でのDAS28-CRP寛解達成率に関して、MTX+中等量のステロイドを併用するregimenが、他のMTX+他のcsDMARDs+中等量のステロイドを併用するregimenと同等の有効性を示した
- 短期間の有害事象に関しては、MTX+中等量のステロイドを併用するregimenのほうが少なかった
- 既報(tREACH trial)では、低用量ステロイド併用の有無とは無関係に、MTX monotherapyよりも他のcsDMARDsを併用するほうがいいと報告されていた
- DMARDsの最大効果を発揮するまで6ヶ月かかることもあるので、今回の試験ではステロイドの用量が多かったのがbridgingの役割として優れていたことへ影響しているかもしれない
- しかしながら、PSLは60mgまでは必要なく30mgで良さそう
- limitation
- アドヒアランスは調べていない
- 盲検化されていない
- Slimの非劣勢を証明するにはさらに2倍必要なので、今回の試験ではClassicとAvant Gardeが非優勢であるとしか言えない
1年後のextendes reportより
背景
- 前の試験で行なったようなアルゴリズムに則ったリスク分類では、better riskとされた人たちを過小評価してしまうことが既報で報告されており、予後不良因子の有無に関わらず、ステロイドや生物学的製剤を早期より併用していく治療は全ての早期RA患者に望ましいのではないかと考えている
- しかしながら、生物学的製剤を寛解導入として一時的に使用することはあまりデータがない
- 既報では、寛解治療としてTNF阻害剤を使用することはメリットがなく、コストも高いので推奨されていない
- COBRAのようなMTX±SSZ+ステロイド、3剤併用療法(MTX+SSZ+HCQ)などのcsDMARDs併用療法は単剤治療よりも有効性が高いことが示されているが、それぞれのregimenの比較はあまりデータがない
- 今回の試験では、予後不良因子を考慮して、ステロイドの併用下で、初期のcsDMARDs併用療法の52週間における有効性を調べた
方法
- CareRA trial
- 対象
- 上記と同様
- 元々の治療群に、MTX tight step-up (MTX-TSU): MTX 15mg/w monotherapy をlow risk RAで追加した
- primary outcome
- 52週時点でのDAS28-CRP < 2.6 達成した割合
結果
- 割り付けのフローチャート(figure1)
- baseline characteristics(table1)
- primary outcome
- high risk群(table2)
- 52週時点でのDAS28-CRP < 2.6 達成した割合
- COBRA Classic:64.3%
- COBRA Slim:60.2%
- COBRA Avant-Garde:62.4%
- p=0.840
- good EULAR response
- COBRA Classic:67.3%
- COBRA Slim:68.4%
- COBRA Avant-Garde:67.7%
- p=0.955
- clinically meaningful HAQ response
- COBRA Classic:68.4%
- COBRA Slim:70.4%
- COBRA Avant-Garde:71.7%
- p=0.877
- HAQ=0
- COBRA Classic:37.8%
- COBRA Slim:36.7%
- COBRA Avant-Garde:44.1%
- p=0.533
- low risk群において(table3)
- 52週時点でのDAS28-CRP寛解達成率
- MTX-TSU:57.4%
- COBRA Slim:67.4%
- p=0.329
- good EULAR response
- MTX-TSU:57.4%
- COBRA Slim:60.5%
- p=0.771
- clinically meaningful HAQ response
- MTX-TSU:59.6%
- COBRA Slim:55.8%
- p=0.876
- HAQ=0
- MTX-TSU:29.8%
- COBRA Slim:48.8%
- p=0.064
- 上記はDAS28-ESR, SDAI, Boolean寛解に変更しても同様の結果
high risk群
low risk群
- baseline〜52週目までのDAS28-CRPのAUC(累積疾患活動性)
- high risk RA
- COBRA Classic:35.0±11.6
- COBRA Slim:35.3±10.6
- COBRA Avant-Garde:33.9±8.6
- p=0.685
- low risk RA
- MTX-TSU:42.0±13.1
- COBRA Slim: 35.8±14.1
- p=0.017
high risk群
low risk群
全体の結果
- 有害事象
- high risk群
- COBRA Classic:67.3%
- COBRA Slim:66.3%
- COBRA Avant-Garde:78.5%
- p=0.125
- lor risk群
- MTX-TSU:63.8%
- COBRA Slim: 51.2%
- p=0.224
まとめ
- 52週時点でも、中等量ステロイド併用している場合には、csDMARDsの併用regimenはCOBRA slimよりも優れた効果はなかった
- 安全性もCOBRA slimは同等だった
- treatment adaptation、ステロイド関節注射はCOBRA slimで頻度が多かった
※Remission induction comparing infliximab and high-dose intravenous steroid, followed by treat-to-target: a double-blind, randomised, controlled trial in new-onset, treatment-naive, rheumatoid arthritis (the IDEA study)
(Ann Rheum Dis 2014;73:75-85)
- 対象
- 未治療の新規関節リウマチ患者(112例)
- 割り付け
- MTX+IFX群
- MTX+mPSL 250mg単回静注群
- 観察期間
- 78週間
- 二重盲検試験
- 結果
- 50週時点でのDAS44寛解達成率
- MTX+IFX群 49% vs. MTX+mPSL 250mg単回静注群 36%
- p=0.082
- 78週時点でのDAS44寛解達成率
- MTX+IFX群 48% vs. MTX+mPSL 250mg単回静注群 50%
- p=0.792
- 50週時点でのX線の平均変化(mTSS)
- MTX+IFX群 1.20 vs. MTX+mPSL 250mg単回静注群 2.81
- p=0.132
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