Arthritis Care & Research
Vol. 69, No. 10, October 2017, pp 1526–1534
Vol. 69, No. 10, October 2017, pp 1526–1534
背景
- Drug hypersensitivity reactions (HSRs) は代表的な有害事象であり、軽度〜致死的なものまで幅広い
- 生物学的製剤の種類、背景疾患によっても頻度は異なる
- 既報では、単施設における671人の自己免疫疾患に対して使用した場合、IFXが他のTNF阻害剤よりも頻度が高く、より重症のHSRを起こした
- IFX 13.8% vs. ETN 5.3% vs. ADA 3.5%
- ETN, ADA, CZP, GOLを皮下投与する場合には、もっと頻度が低い
- ABT, RTX, TCZ:0.1 - 2%の頻度だった
- RA患者におけるbDMARDs使用の際のHRSに関しては、population-based studyがなかったため、今回はそれを目的とした
方法
- retrospective cohort study
- 期間:2006–2013年
- Medicareの患者からデータを抽出
- 対象
- RA患者
- ADA, CZP, ETN, GOL, IFX, ABT, RTX, TCZのいずれかを上記期間中に新規使用開始した症例
- HSRの定義
- アナフィラキシーショックでERを受診した入院患者
- アナフィラキシーショックで受信し気管支痙攣、喉頭喘鳴、低血圧に対してエピネフリン、ジフェンヒドラミン、CPRを実施した外来患者
- 原因不明のアレルギーで入院 or 救急外来を受診して気管支痙攣、喉頭喘鳴、低血圧に対してエピネフリン、ジフェンヒドラミン、CPRを実施した患者
- 交絡因子として年齢、性別、Charlson Comorbidity Index (CCI) 、bDMARDs使用時のステロイド静注併用、MTX併用を考慮した
結果
- 80587人の患者が上記期間において新規に生物学的製剤を使用開始した
- baseline characteristics(table1)
- 80%以上が女性
- 皮下投与群:若い
- RTX, TCZ:若い
- IFX群:MTX併用率が高い
- RTX群:経口ステロイド使用率が高い
- 静注群で同日に点滴ステロイド使用率が高い
- RTX 79.4% > IFX 11.7% > TCZ 8.8% > ABT 5.5%
- HSR:計248 events(table2)
- 入院を要した:17.3%
- 救急外来を受診:78.2%
- 普通の外来を受診:4.4%
- 投与後1日以内に発症したのは93 events
- 死亡:1例のみ(TCZ症例)
- 生物学的製剤、投与〜発症した期間によってInfusion reactionの頻度が異なっていた
- 投与後0-1日
- 最低:ABT 41.1/106 人年
- 最高:RTX 239.5/106 人年
- 投与後1-14日
- 最低:ABT 2.4/106 人年
- 最高:RTX 12.1/106 人年
- 投与後15-30日
- 最低:ABT 4.3/106 人年
- 最高:RTX 13.2/106 人年
- ABT皮下投与では1例のみ、GOL静注とTCZ皮下投与では0例
- 交絡因子(年齢、性別、Charlson Comorbidity Index (CCI)、bDMARDs使用時のステロイド静注併用、MTX併用、以前にbDMARDs使用歴あり)で調整し 、初回投与に限定した場合の、TNF阻害剤皮下投与と比較した投与後0-1日の期間におけるHSRのリスク比
- IFX静注:RR 26.9 [95% CI 17.4–41.5]
- TCZ静注:RR 22.2 [95% 11.6–42.4]
- RTX:RR 18.0 [95% CI 8.9–36.2]
- ABT静注:RR 7.1 [95% CI 3.9–12.8]
- MTX併用はHSRのリスクを有意に下げた
- 0–10 mg/day:RR 0.7 [95% CI 0.5–0.9]
- 10–15 mg/day:RR 0.5 [95% CI 0.3–0.8]
- 15–20 mg/day:RR 0.4 [95% CI 0.2–0.7]
- 20 mg/day:RR 0.5 [95% CI 0.2–1.3]
- 1日以内に生じるHSRにおける、投与回数との関連について
- ABT, RTX:大半は初回投与で起き、回数を重ねるごとにリスク低下
- ABT:68.8%
- RTX:43.8%
- IFX(2回目 41.7%), TCZ(3回目 30.8%)は2回目以降のほうがHSRが起きる可能性は高い
- 6ヶ月時点での累積HSR発症率
- ABT:0.17%
- IFX:0.37%
- RTX:0.31%
- TCZ:0.33%
- HSRが生じた人に限って感度分析を行なった場合のリスク(table4)
- RTXが最もリスク高い
- 皮下投与の方がリスク低い
まとめ
- 最初の6ヶ月間でのHSR発症率は1%以下と少なく、比較的高齢のRA患者においてはHSRの頻度は多くなかった
- 死亡症例は1例のみ
- HSRのリスク因子(大きい順に)
- (皮下投与と比較して)点滴での使用
- 若年
- RTX
- IFX
- TCZ
- ABT
- TCZでも致死的なIRは稀で、特異的なHSRもなかった
- main analysisではIFXが最もリスク高かったが、HSRに限った集団で感度分析を行うとRTXが最もリスク高かったのは、患者間の交絡因子が後者ではうまく調整されていたからだろう
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