Van Nieuwenhove E, et al. Ann Rheum Dis 2019;78:617–628. doi:10.1136/annrheumdis-2018-214354
<背景&目的>
- JIAはいくつかサブタイプがあるが、それらと実際のpathogenesisに関連があるかはわかっていない
- Th17, Th1, Treg のバランスが崩れることが病態に関与していることはいくつかの報告あり
- しかし、IFNg-producing Th1を持たないマウスでもsJIA likeな症状を呈するなどもあり、どのeffector CD4 helper subsetが病態に最も重要なのかはわかっていない
- innate immune responseのhigh-depth immunophenotypingはsJIAで最近報告された
- adaptiveはまだ
- 今回は、大規模コホートで末梢血のdeep immunophenotyingを行った
- その結果、machine learningにより、sJIAに特異的なimmunological patternを見つけた
<方法>
- Leuven University HospitalのJIA患者を解析
- controlはgeneral pediatrician clinicからenroll
- machine learningについて
- 患者をサンプルサイズを等しく10個の集団に分けて、modelのvalidationを行った (すなわちten-fold cross validation)
<結果>
- 患者集団
- MDSにより、immunophenotypingを使用して患者をクラスタリング
- A:JIAを臨床病型でsubsetに分けても結構overlapしている
- B: healthyを除いてMDSをしたversion. それでもsJIA含めてoverlapしており、臨床病型によるsubset間で共通するimmunophenotypingを共有していることを示唆している
- A: JIAとhealthyでimmunological coregulationを比較。右上半分がhealthy, 左下半分がJIA. 左下半分が灰色のpair(行と列にある項目同士)はhealthyと同様のcoregulationだが、色がついているところはhealthyとは逆のパターン(赤:positive coregulation, 青:negative coregulation)
- 大まかは一緒だが、ところどころ左下半分に赤か青色のpairがあり、そこはhealthyとは異なる関係性を有するpariのよう
- B: JIAとhealthyは違うクラスターを形成している。disease-controlとJIAはちょっとoverlapしている
- C:項目を21種類に絞ってからもう一度クラスター解析をすると、BよりもJIA vs healthym JIA vs disease-controlで綺麗に分かれる結果となった。これらの項目がJIAに特徴的なimmunolocial setであることを示唆している。
- D-X:その21種類の項目の内訳(healthy, JIA, disesse control)
- (D) T cells, (E) CD4+, (F) Th1, (G) Th17, (H) CD4+IL2+, (I) CD8+, (J) CD8+naive, (K) CD8+RTE, (L) CD8+CM, (M) CD8+EM, (N) Tc1, (O) CD8+IL2+, (P) γδ T cells, (Q) Bnaive, (R) Bswitch, (S) Bmem, (T) NKT, (U) iNKT, (V) NK, (W) DCs and (X) pDCs)
- 上記21種類の項目をhealthy, disease control, JIAの臨床病型subset間で比較
- JIAでCD4 T cellは増加
- CD4 T cell((figures 2E and 3B), 特にIL-2 and IL-17 secreting CD4 T cells((figures 2G,H and 3D,E)
- Th17は既報通り増加
- JIAでは、CD8はむしろeffector responseが低下している
- CD8全体はJIAで増加して(figures 2I and 3F)いる
- 増加しているのはnaive, recent thymic emigrant CD8 T cells (figures 2J,K and 3G,H)、central memory (figures 2L and 3I) 、 IL-2-producing CD8 T cells (figures 2O and 3L)
- IFNγ-producing (Tc1) and effector memory CD8 T cells (figures 2M,N and 3J,K)は低下
- JIAでB cell はactivateしている
- naive B cells は低下(figures 2Q and 3N)
- switched B cells (figures 2R and 3O) と memory B cells (figure 2S and 3P)は増加
- 上記のmajor adaptive response以外の項目
- 低下:γδ T cells, natural killer (NK) cells, plasmacytoid dendritic cells,
- 増加:iNKT cells
- これらの結果をまとめると、末梢血のリンパ球では、 CD8によるIFNγ production は低下しており、 Th17 lineageへのCD4 T cellが亢進しているということを示唆している。また、JIA subset間は大まかにはimmunophenotypingは共通しており、違いがあっても臨床所見ほど異なるものではなさそう。しかしながら、sJIAは、CD4 T cellやCD8 T cellの変化が他のJIA subsetsよりも顕著な傾向がある。
- A: active JIAの方が、inactive JIAよりもhealthyとより異なるクラスターを形成している
- B: active JIAとinactive JIAのimmunological coregulationの比較。上と同様の見方。左下の部分に灰色の部分が多く、active JIAとinactive JIAでは多くのpairが類似したcoregulationだが、いくつかは逆の傾向を示している
- C: 上記21種類の項目では、NK cellのみactivityで異なる傾向を示しているが、有意なのはsJIAのみ
- すなわち、これらの結果からは、disease activityの影響は、qualitativeというよりも、quantitativeなimmune dysregulationの変化と関連していることを示唆しており、基礎にあるimmune dysfunctionは残っているということだろう
- 治療によるimmunophenotypingの違いの検討
- Med 0:untreated patients with JIA (no medication or non-steroidal anti-inflammatory drugs; n=22)
- Med1: steroidtreated patients with JIA (methotrexate, leflunomide or oral steroids; n=42
- Med 2:biologic-treated patients with JIA (canakinumab, tocilizumab, etanercept, adalimumab, abatacept, with or without additional steroid, methotrexate or leflunomide treatment; n=21)
- A: healthyとuntreated groupのクラスターの違いは有意ではなかった
- B: 21種類の項目で個々で比較しても、steroidtreated もしくは biologic-treated patientsのグループが顕著に違っていた。active JIAは黒のドットで示されているが、activeかinactiveかでは違いはなさそうである。
- C: sJIAかnon-sJIAかで異なる可能性を検討するため、non-sJIAのみ治療内容で分けたところ、Med 1(non-sJIA)のみhealthyと有意に異なるクラスターを形成した
- それぞれの患者に適した治療をするためには、immunophenotypeが重要であるので、JIAに特徴的なimmunological patternをmachine learning( random forests, artificial neural networks, support vector machines)で探索した
- (それぞれのmachine learningの方法のメリット、デメリットは別途参照ください)
- A:random forestにより、JIAとhealthyをAUC 89.6%の精度で区別するmodelができた
- B: 上記random forestで作成したmodelで重要だった項目は、iNKT cellの増加だった。実際に、iNKT cellsのみだとAUC 91.2%でだった(A)。
- 上記モデルからiNKT cellの項目を除いて再度モデルを作成すると、AUC 85.5%だった(A)。C: そのモデルは、Bで抽出されたiNKT cell以外の項目と同じであった。すなわち、iNKT dcellは、JIAの病態においてfunctionalな役割を果たしているとは必ずしも言えず、他の病態において重要なimmunological parametersよりもより高感度にJIAとhealthyを区別するだけの項目かもしれない、ということ。
- これらの結果から、machine learningは、biologicalな理論とは異なる観点で、診断に寄与するポイントを見つけるのに有用な方法であることを示唆している
<考察>
- 今回の結果では、JIAのimmunological signatureは2つの要素から構成されていることが示唆された
- 1つは、SLEなど他の炎症性疾患とも共通するsignatureである。これは、病態が似ているというわけではなく、小児の炎症性疾患というsignatureなのだろう
- 2つ目は、JIAに特徴的なimmunological signatureである。このsignatureは、JIAのsubset間では大まかには共通していたが、特にsJIAは顕著だった。こちらの方が、より病態に関連したsignatureと言えそうだ。
- highi-depth innate immune systemのimmunophenotyping を解析した既報では、sJIAは他のsubsetとは異なるsignatureを有していた(J Exp Med 2017;214:3449–66.)
- 今回は、adaptive immune systemのimmunophenotyping であり、sJIAも他のJIAと同様のsignatureを有するという結果だったが、これは上記の既報のinnate immune systemの結果とは異なる結果だった
- その理由として考えられるのは、 HLA-DRB*11 class II alleleとsJIA susceptibilityの関連であり、これはadaptive immune systemがsJIAの病態に深く関わっていることを示している。
- 以前に提唱されたストーリーは、sJIAは、disease onsetの時期はinnate immune responseがdominantであり、IL-6, IL-18, S100A8/A9, S100A12, IL-1βが増加することで全身の炎症性反応が惹起され、その結果としてadaptive immune responseが慢性的な関節炎を起こすというものである
- 今回の結果をこれと組み合わせると、disease onsetにおけるinnate responseはsJIAに特異的なものであり、その次に起こってくるadaptive responseの異常はnon-sJIAとも共通するもの、ということが考えられる
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