Henaux S, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:515–522. doi:10.1136/annrheumdis-2017-212423
- RAに対する適切な治療は、関節破壊を防ぐのに重要である
- EULAR recommendationでは、治療は以下の戦略に基づいている
- 早期治療開始
- 頻回の定期的な疾患活動性評価(tight control)
- 疾患活動性の十分なコントロールが得られるまで治療を強化する(T2T)
- どこを目指すのかについてはまだ議論の余地があるが、recommendationではremission(DAS28-ESR < 2.6)を目標とし、それが叶わない場合には低疾患活動性(LDA, DAS28-ESR < 3.2)を目標とする
- より低い低疾患活動性を維持することで、より関節破壊を防ぐことができるが、強力な治療を一度remissionを達成したあとにも継続するすることが理にかなっているかはわかっていない
- EULAR, ACRのrecommendationでは、remissionを維持しているRAでは、ステロイドを漸減したあとに、感染症のリスクやコストを下げるために、bDMARDsを中止もしくは漸減することを推奨している
- Cochrane Libraryによる、ADAとETNに関する7つの研究(1203症例を含む)に関するシステマティック解析が2014年に行われた
- その結果では、TNFi漸減は、わずかな関節破壊は起こりうるものの、臨床的な有効性や日常生活制限に対するTNFiの有効性を維持できるというものだった
- TNFiに関する他の15研究のシステマティック解析では、中止もしくは漸減したあとに、30%程度の割合で再燃が起きると報告された
- 今回は、bDMARDsを漸減もしくは中止したことによる、再燃や関節破壊進行のリスクを、メタアナリシス解析を行なった
方法
- prospectiveな、remission もしくは LDAを維持しているRAに対して、bDMARDs(RTX以外)の漸減もしくは中止に関する試験を対象
- PubMed, Embase, Cochrane databaseで、以下の①と②のtermを組み合わせて検索
- ①:以下のいずれか
- “abatacept“ [All fields]
- “adalimumab” [All fields]
- “certolizumab pegol” [All fields]
- “etanercept” [All fields]
- “golimumab” [All fields]
- “infliximab” [All fields]
- “tocilizumab“ [All fields])
- ②:以下の全てを含む
- “rheumatoid arthritis” [All fields] )
- (“reduction” [All fields] or “discontinuation” [All fields] or “withdrawal” [All fields])
- ( “remission” [All fields] or “low disease activity” [All fields])
結果
- 13のpublished articlesと4つのabstractsを解析
- 内訳(table1)
- 9 articles:bDMARDs中止
- 7 articles & 4 abstracts:bDMARDs漸減
- bDMARDs導入理由
- MTX不応(7論文)
- MTX-naive(3論文)
- csDMARDsに関するデータが不明(7論文)
- bDMARDs中止(継続と比較して)
- remissionを維持できなくなるリスク
- RR (95%CI)=1.97 (1.43 - 2.73), P<0.0001(Figure2A)
- 中止群:57.2%がremissionを維持できなかった
- 継続群:28.8%がremissionを維持できなかった
- 発症早期RA(45%)のほうが、established RA(66.1%)と比較して、remissionを維持できない割合が少なかった
- LDAを維持できなくなるリスク
- RR (95%CI)=2.24 (1.52 - 3.30), P<0.0001(Figure2B)
- 中止群:49.9%がLDAを維持できなかった
- 継続群:21.1%がLDAを維持できなかった
- 発症早期RA(37.22%)のほうが、established RA(52.6%)と比較して、remissionを維持できない割合が少なかった
- 関節破壊進行のリスク
- RR (95%CI)=1.09 (1.02 - 1.17), P=0.01(Figure2C)
- bDMARDs漸減(継続と比較して)
- remissionを維持できなくなるリスク
- RR (95%CI)=1.23 (1.06 - 1.42), P=0.006(Figure3A)
- 中止群:33.1%がremissionを維持できなかった
- 継続群:25.7%がremissionを維持できなかった
- LDAを維持できなくなるリスク
- RR (95%CI)=1.02 (0.85 - 1.23), P=0.81(Figure3B)
- 中止群:26.6%がLDAを維持できなかった
- 継続群:25.1%がLDAを維持できなかった
- 関節破壊進行のリスク
- RR (95%CI)=1.09 (0.94 - 1.26), P=0.26(Figure3C)
- 再燃するリスク
- 疾患活動性に関するcomposite measures(DAS28, SDAI)
- 罹病期間における平均の疾患活動性が影響しているかも
- 罹患年数
- HAQ
- CRP
- RF陽性
- Pain VAS
- 再燃して再投与した際の有効性
- 40.8 - 91%は再びremissionを得た
- remissionに入るまでの期間は 3 - 12ヶ月とバラバラ
- アレルギー反応などの有害事象は増えなかった
まとめ
- bDMARDs中止は、再燃や関節破壊進行のリスクとなった
- bDMARDs漸減は、remissionを維持できなくなるリスクとはなったが、LDA、関節破壊進行に関しては有意ではなかった
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