Koper et al. World Allergy Organization Journal (2017) 10:46
疫学
- 喘息の発症率、重症度は女性のほうが高い
- 成人に限ると、女性>男性に関しては40-60才代が最も顕著である
- 小児期では、男児の方が喘息のリスクが2倍ほど高い
- 女性優位に変わっていくのは、主にnon-atopic asthmaである
- 小児では、運動に関わらず、女児において肥満が喘息発症と関与している
- 男児にはこの傾向は見られない
- 喘息を有する女児では血中好酸球が高い傾向にあるものの、肥満傾向のある喘息女児では、血中好酸球増多を伴わない喘息が60%を占めている
- ステロイド抵抗性の喘息は、女性の方が、男性よりも多い
病態生理
- エストロゲン受容体は、多様な免疫細胞に認められ、アレルギー発症に関与していると言われている
- アレルゲンへの感作は、動物モデルでは、内因性のエストロゲンのみではなく、外因性のエストロゲン(bisphenol A、phthalates など)も関与している
- 喘息の発症と症状における性ホルモンの影響は、ダイナミックに変動するホルモンレベルに影響されるため、非常に複雑である
- テストステロンとその代謝産物
- 自己に対する免疫と免疫寛容の調節を担っている
- 免疫を抑え、おそらく喘息発症に保護的に作用していると考えられている
- アンドロゲン受容体を介してILC2を阻害して、type 2 inflammatory responseを抑制することが機序として報告されている
- テストステロンを投与された女性が喘息が改善したという報告もある
- エストロゲン
- 気管の過敏性を増加させる
- 20-40%の閉経前女性は、pre- or peri-menstrual asthma (PMA) を経験し、生理の前に喘息の増悪を経験する
- これは、エストロゲンよりもプロゲステロンが関与していると考えられている
- PMAは、アトピーとの関連は弱く、アスピリン感受性と関連し、肺機能の予後が悪くなると言われている
- PMAの原因は、性ホルモンのダイナミックな変動が原因と考えられている
- PMAに対して、ホルモン治療を行うと、有害事象も発生するが、症状の改善も見られた
- エストロゲンとプロゲステロンにおける、喘息に対するdose-dependentな関係は見られなかった
- 妊娠すると、1/3の女性は喘息症状が改善し、1/3は悪化し、1/3は変わらない
- 閉経後女性においては、喘息のリスクが増加する(主にnon-allergic)といわれているが、報告によって結果は一致しない
- BMI < 30 の女性において、エストロゲンの低下と喘息リスク増加が関連する
- 喘息の発症と関係なく、閉経後の女性では不釣り合いに肺機能が低下する
- FVCがFEV1より顕著に低下するが、これはエストロゲンによる骨量低下で身長が低下するのと関連があるかもしれない
Gender-specific symptoms
- 女性においては、若い時は咳嗽、喘鳴が特に多いが、年齢を重ねると気道の過敏性は男性よりも低下する
- 喘息を罹患している女性は、そうでない女性よりも、偏頭痛のリスクが2倍増加する
- 一方で、男性は、夜間の症状が強いといわれている
- 女性の喘息患者の方が、男性よりも、向精神薬を内服している割合が高い
- 気管支拡張薬が性別によって有効性が異なるか調べた研究はない
- モンテルカストは、性別によって、有効な年齢が異なる
- 男児は2-9才、女児は10-14才でより反応性がよい
- オマリズマブ、メポリズマブの性別による違いを集めたデータはない
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