Autoimmunity Reviews 15 (2016) 544–551
- BDにおいて、血管病変は特に若年男性において多い
病理(J Vasc Surg. 2012 Jan;55(1):157-63. )(Cardiovascular Pathology 24 (2015) 267–278)
- BDの大動脈炎の病理は、"mixed inflammatory pattern"
- 多様な種類を含む炎症細胞の浸潤を認める(マクロファージ、リンパ球、形質細胞、好酸球、mast cell、好中球)
- 肉芽種なし
- 壊死の所見はあるかもしれない
- 同様の所見は、他にCogan syndrome、再発性多発軟骨炎でも認める
- 再発性多発軟骨炎とBDはMAGIC (Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage) syndrome としても知られている
- vasa vasorum周囲の炎症細胞浸潤+内弾性板の消失、外膜・内膜の肥厚を認める
治療
- EULARは、ステロイド、AZA, CYC, CyAを推奨している(Ann Rheum Dis. 2008 Dec;67(12):1656-62. )
- 静脈病変(DVT, 表在性血栓性静脈炎):AZA, CyA+ステロイド少量
- 動脈病変:CYC+ステロイド
- そもそも、BDにおける血管病変は多くないために、その病変の広がりによっていかに治療強度を調整するか、適切な推奨が存在しない
- 動脈病変におけるEULARのCYCの推奨に関しては、肺動脈瘤に関する2つのケースシリーズ報告(Br J Rheumatol. 1994 Jan;33(1):48-51.)(Am J Med. 2004 Dec 1;117(11):867-70.)に基づいて弱く推奨されている
- 本文が読める後者の報告については、BDにおいて肺動脈瘤を合併した、1992年以降に診断された症例+それより以前に診断された症例の計50例の報告をまとめている。
- 血栓性静脈炎、針反応の陽性率が高い(80%以上)
- HLA-B51陽性が70%近い
- 早期に死亡した1例を除き、全例、mPSLパルス 1g/day ×3回 から開始し、その後PSL 1mg/kg/day をはじめ、2-5ヵ月で漸減(可能なら中止)。CYCは、1996年までの症例では経口 2.5mg/kg, 1996年以降は点滴 1g/回 monthly (×12回)→ 1g/回 2ヵ月ごと (×6回)、すなわち2年間のCYC治療(計18g)をおこない、その後AZA 2.5mg/kg へスイッチした。
- それによって、1992年以降に診断された症例では、最初の1年間に5/26例が死亡したが、その後は8年目に1人死亡するまで死亡なし。
- BDで血管病変を有する患者では、末梢血にてTNFαが増加していることが報告されている(Int Immunol 2014;26:71–81. )
- 腸管病変を有するBD患者の腸管組織でもTNFαは増加している
- 神経BDでは、脳脊髄液でIL-6が増加している
- BD血管病変に対するTNFiの文献(下表)
上記の表のAamarらが報告した症例(1-5が血管病変、6-7が網膜血管病変)
IFX 5mg/kg q4w にて、6ヶ月後には壁肥厚が消失
BD血管病変に対するTNFiの有効性の時系列(n=4)(Hibi et al. Medicine (2016) 95:24)
- IFX 5 mg/kg @0週, 2週, 6週, その後 q8週
- baseline characteristics
- 男性3例
- complete responderの定義
- 評価時点において、baselineと比較してBD血管病変による臨床症状の増悪がない
- 評価時点において、baselineと比較して画像所見の増悪がない
- 評価時点において、baselineと比較してCRP, ESRが低下しており、低値で安定している
- 14週時点で4/4例(100%)がcomplete responderとなっており、その後少なくとも54週までは維持
- 下肢のthrombophlebitisにおけるPET-CT所見の推移(下の図)では、14週時点で改善傾向、30週時点でさらに改善傾向
- 動脈閉塞の患者では、14週時点ではわずかに改善しており、30週、54週と経過とともにさらに改善した
- 重症ではない感染症が3/4人で発生
- 口内炎、皮膚症状、陰部潰瘍にもIFXは有効だった
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