Yamanaka H, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:270–276.
背景
- 痛風患者は増加しており、発作はQOLを低下させる
- また、痛風と高尿酸血症は代謝性疾患、腎不全、そしておそらく心血管疾患とも関連している
- 尿酸降下薬(ULT)を開始した数ヶ月以内に発作が起きることはよくある
- 初期の尿酸値、痛風結節の存在、ULTの用量がリスクとなる
- コルヒチンの併用が有用である
- 最近のEULAR/ACRの推奨では、最初の少なくとも6ヶ月はコルヒチンを併用するように推奨している
- 予防としても治療としても頻用されるが、毒性にも注意が必要である
- 以前、日本の臨床試験で、フェブキソスタットの使用方法を漸増法にする方が、用量固定で開始するよりも、痛風発作の再燃が少なかった
- すなわち、治療開始に伴う痛風発作の再燃を予防する方法として、コルヒチンの併用・ULTを漸増法で使用することが有用だと考えられる
- しかしながら、これに関しては前向き試験が今までおこなわれていない
- 今回の試験では、上記を調べることとした
方法
- 対象
- 1年以内に1回以上の痛風関節炎を起こした男性
- 2週間以内に発症した場合は除外
- UA ≧ 7.0mg/dl
- 1ヶ月以内に尿酸を下げる治療を受けていない
- 痛風の診断は1977年の基準を使用
- Cr ≧ 2.0mg/dL は除外
- 前向き、多施設、ランダム化、open-label
- 以下に割付(C群が発作多いと仮定されたため、倫理的観点から割合は 2 : 2 : 1)
- A:フェブキソスタット漸増群
- 10 mg/day (4 weeks) → 20 mg/day (4 weeks) → 40 mg/ day
- B:フェブキソスタット 40mg/day 固定 + コルヒチン 0.5mg/day 併用群
- C:フェブキソスタット 40mg/day 固定群
- primary endpoint
- 最初の12週間における痛風関節炎の頻度
- 痛風関節炎の定義:NSAIDsが必要な発作
結果
- 2013/8 - 2015/2 で実施
- figure1に示す通り、283人から承諾を得て、255人が割り付けられた
- 241人が解析対象
- baseline characteristics (table1)
- いずれも同等
- 2回以上の痛風発作を経験している人が大半
- 尿酸値 約8.5mg/dl
- 治療開始12週間以内の、発作の発症率(figure2)
- group A:20.8%
- group B:18.9%
- group C:36.0%
- 以前にULTを受けたことがある人と、未治療だった人で、発作の発症率に違いはなかった
- 発作の回数(figure3 A:最初の12週間、B:次の12週間)
- 発作の回数は群間で有意差なし
- 尿酸値 ≦ 6.0 mg/dl を達成した割合
- いずれの群も12週間時点では有意差なし、8割近くで達成できた
- 安全性
- 重症有害事象なし
- 群間で有意差なし
まとめ
- 漸増法もしくはコルヒチン併用によって、治療開始後の痛風発作を減らすことができた
- 漸増法とコルヒチン併用の間には有意差なかったが、サンプルサイズが不足しているのでこれらの比較は今回の試験ではできない
- コルヒチンの潜在的な毒性を考慮すると、有効性が同等であるならば、漸増法のほうが望ましいだろう
- limitation
- open-label
- 通ふ発作の定義
- NSAIDsが必要なもの、という定義は世界的に共通ではない
- USAやヨーロッパでは、尿酸 ≦ 6.0mg/day を達成するのに通常使用するフェブキソスタットの用量は80mg/dayなので、今回の試験の結果を日本以外でそのまま当てはめることはできないかもしれない
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