このブログを検索

2018年1月11日木曜日

食物アレルギー



Food allergyの国別有病率
  • gold standardは食物負荷試験だがリスクも高いため、診断が難しく、正確な有病率は把握できていない


  • 食物特異的IgE値も、食物によって有用性が異なる


病態
  • マウスモデルから判明した、食物抗原に対する、局所組織と免疫の反応に関わる要素(下のBox内)
  • 食物関連
    • アルコールや毒素など局所組織にダメージを与えるもの
    • アレルゲンのタイプと曝露量
    • アジュバントの存在とその量
    • 摂取方法(経口以外?)
      • IgEによる反応と消化の研究から、食物アレルゲンへの感作を避けるには経口摂取が重要
    • 食物の成分
    • 料理した時の温度
  • 個人関連
    • 年齢、免疫状態
    • microbiome
    • バリア損傷
      • 皮膚におけるfilaggrinの欠損は、皮膚の湿潤を失わせ、アレルゲンを経皮的に通過させ、黄色ブドウ球菌の皮膚へのcolonizationを引き起こし、総IgE値を増加させ、喘息やアトピー性皮膚炎を悪化させる
      • 市販の石鹸や界面活性剤が皮膚のバリアを破綻させる
    • ある種の薬物
    • 背景疾患(アトピー、皮膚炎、免疫不全など)

  • IgE mediatedとnon-IgE mediatedがある。


  • IgE mediatedのほうにはantigen specific IgGが保護的に作用している。


  • non-IgE mediatedには好酸球性食道炎などがある
    • 好酸球性食道炎では、遺伝的な背景やGERDなどによるダメージによって食道上皮細胞からTSLPやIL-33が産生される
    • これらがfood allergenが粘膜バリアを通過させる&basophils やAPCへの作用を介してTh2サイトカインを産生させてnaive Th0→Th2へ分化させる。
    • Th2サイトカインであるIL-3, IL-5, GM-CSFは、好酸球を増やす。IL-4は、血管内皮細胞にVCAMの発現を増やし、rollingと血管外への遊走を促進する。
    • 好酸球はCCR3でCCL26を認識して粘膜へ浸潤し、組織のダメージやTGFβを介して線維化をおこす。
    • mast cellやILC2も、それぞれ炎症性メディエーターやIL-4の産生に関与している。


immune tolerenceについて
  • 正常
    • antigenは、腸管上皮細胞の隙間や、M cells(Peyer patchesの上に存在)やgoblet cellsなどのactive transporterを介して粘膜内へ通過する。
    • また、腸管上皮細胞の間に樹枝状に存在しているCX3CR1+マクロファージや、粘膜固有層に存在するCD103+樹状細胞によっても、antigenは捕捉される。
    • これらの細胞は、それぞれIL-10やTGFβによってTregを誘導する。また、B細胞からのIgE産生を減らし、IgA・IgG4産生を増加させて、組織局所へのeffector T細胞の誘導を抑制し、好酸球・mast cell・basophilを抑制し、toleranceとなる。
    • Bregの役割に関しては、経口免疫療法(OIT)の後に食物特異的なIgG4が増加していることから、IgG4を増加させることと関連していると考えられている。IgG4の増加はIgEの低下と関連しており、IgE低下はIl-4低下(IL-4増加→IgE増加)・IL-10増加(IL-10増加→IgG4増加)の結果と考えられる
    • OITはまた、末梢血のピーナッツ特異的結合B細胞を増加させ、アレルゲン特異的IgG4のsomatic mutationを誘導する。
      • しかしながら、血清IgG4値と臨床的改善は必ずしも相関しない
    • IgAもまた、アレルギーに対する免疫療法で増加し、抗原が腸管上皮細胞に結合し通過するのをブロックしていると考えられているが、アレルギー反応を抑制する機序に関してはまだわかっていないことも多い
      • 実際、IgA欠損は、食物アレルギーのリスクが高まる
  • 一方で、toleranceがbreakdownしている状況
    • ある種のPAMPsの曝露やそれに続く腸管上皮細胞の損傷により、IL-25, IL-33, TSLPを産生する。
    • この状況では、樹状細胞はfood antigenによってTh2を誘導するほうに傾き、food antigenはすなわちallergenとなる。
    • Th2 cellsはIL-4を産生し、アレルギー反応を生じる
      • 局所のB細胞をIgE産生へクラススイッチさせる
      • mast cellsを増殖させてmast cellとIL-4のautocrine loopを形成させる
      • Tregを抑制&TregがIL-4を産生するようにreprogrammingする
    • ILC2sは、antigen specificityなしにIL-4とIL-13を産生し、Tregを抑制する。
    • OX40Lを介した樹状細胞活性化も、食物抗原への感作に重要である




Food allergyの予防
  • 湿疹をなるべく起こさない
  • vitDを不足させない
  • ピーナッツはローストではなくボイルする
  • フルーツや野菜を食べる
  • 西洋化に偏った食事をしない
  • microbial diversityを保つ
    • いろんな人と接する
    • 動物とも接する
    • 多少汚い水にも触れさせる
    • 抗生剤を使用する場合は適正使用を心がける
    • できるだけ経膣分娩する


経皮的免疫療法(epicutaneousimmunotherapy:EPIT)の機序

  • gastrointestinal tract–homing latency- associated peptide (LAP)+FoxP3ー Treg cells が、TGFβ依存性にmast cellsを抑制して、アナフィラキシーを予防する


0 件のコメント:

コメントを投稿

トファシチニブ開始後のリンパ球数、リンパ球サブセットの推移と感染症の関連について

Evaluation of the Short‐, Mid‐, and Long‐Term Effects of Tofacitinib on Lymphocytes in Patients With Rheumatoid Arthritis Ronald van Voll...