Dale J, et al. Ann Rheum Dis 2016;75:1043–1050.
背景
- RAにおけるT2Tは、composite disease activity scoresを使用して、LLDAS or remissionを目指すものである
- しかしながら、これらのscoreには、活動性滑膜炎がなくとも値が高くなってしまうこともあり、limitationもある
- musculoskeletal ultrasound (MSUS) では、PD陽性だと、再燃や関節破壊進行と関連していると報告されている
- MSUSによって、25%の症例で、DAS28-based DMARD decisionsが変わったという報告もある
- 今回(The Targeting Synovitis in Early Rheumatoid Arthritis [TaSER]study)は、MSUSによって、よりtightなコントロールが可能になりうること、逆にMSUSで滑膜炎がなければ不必要な治療強化が避けられる可能性があることを考え、MSUSを併用したT2Tの有用性を評価した
方法
- 2009.9-2013.4、the Rheumatology Departments of three Scottish teach- ing hospitals にて実施
- 対象
- 18才以上
- 臨床的にRA or 未分類関節炎(CCP抗体陽性 & SJC ≧ 3)と診断されている
- 発症から12ヶ月以内
- DAS44 > 2.4
- DMARDによる治療を6週間以上行なわれていない
- open-label, ランダム化比較試験、investigatorは盲検
- 患者は以下に1:1で割付
- DAS28-ESRによってDMARD escalationを決定(コントロール群)
- DAS-28ESR + MSUSによってDMARD escalationを決定(MSUS併用群)
- MSUS併用群にて、MSUSで検査する基準
- DAS28 > 3.2 かつ SJC < 2
- DAS28 < 3.2
- MSUS operatorは毎回同じ人
- 治療目標
- コントロール群
- LDAS(DAS28-ESR < 3.2)
- MSUS併用群
- PD陽性関節数 ≦ 1
- 以下の場合には、MSUSの結果にかかわらず治療強化
- DAS28-ESR > 5.1
- 3.2 < DAS28-ESR ≤ 5.1 かつ SJC ≧ 2
- 治療は、1ヶ月おきに同じリウマチ科医が診察し、目標に達しておらず3ヶ月以内に治療変更がなければ、以下のstepでescalation
- MTX 20mg/wまで増量(MTX禁忌の場合はSSZ 40mg/kg/day)
- MTX+SSZ+HCQ(<6.5mg/kg/day, max 400mg/day)を併用
- MTX皮下注(25mg/wまで)+SSZ+HCQ
- MTX皮下注+SSZ+HCQ+ETN(50mg/w)
- ステロイド関節注射は、3ヶ月あければ繰り返し使用OK
- ステロイド筋注は、3ヶ月以内にDMARD escalationを行っても疾患活動性がある場合にbridgingとして使用OK
- ステロイド経口は、多関節にステロイド注射しても疾患活動性があり、関節外病変もある場合には使用OK
結果
- 以下の通り割付
- baseline characteristicsはtable1
- MSUS併用群にて女性が少ない以外は同等
治療内容(table2)
- MSUS併用群のほうが、有意にDMARD treatmentを強化された
- 6ヶ月時点での治療薬を併用している割合
- 67% vs 38%, p=0.003
- 18ヶ月時点でETNを使用している割合
- 22% vs 10%, p=0.11
- 個々のDMARDs用量は、18ヶ月時点でのMTX用量がコントロール群で高い(18 mg/w vs. 15 mg/w, p=0.016)以外には、有意差なし
- ステロイド関節注射で使用したステロイド(triamcinolone acetonide)総使用量は有意差なし
- コントロール群:288 mg vs. MSUS併用群 247 mg, p=0.25
- 経口ステロイドを使用したのはコントロール群で3人(平均10mg/d)、MSUS併用群で2人(平均6.5mg/d)
画像的outcome(table2)
- 両群ともにbaselineのRAMRIS, vdHSSは同等(table1)
- RAMRISスコア
- 両群とも、erosin scoreはわずかに増加し、synovitis scoreとosteitis scoreは有意に低下
- vdHSS
- erosion、関節裂隙狭小、total vdHSSは、両群ともにわずかに増加
- 両群間での、baselineからの上記変化量は有意差なし
- しかしながら、MSUS併用群では、RAMRIS erosions smallest detectable change (SDC)=2.5, vdHSS erosion SDC=1.3 を超えた患者の割合は、少ない傾向にあった
- RAMRIS erosion:16 vs 24%, p=0.39
- vdHSS erosion:11 vs 23%, p=0.17
臨床的outcome
- 18ヶ月時点でのΔDAS44、18ヶ月までのDAS44-AUCは有意差なし
- ACR core-set項目も有意差なし
- 18ヶ月時点でDAS44 remissionを達成した割合は、MUSU併用群で有意に多い
- しかしながら、全期間においていずれかの時点でDAS44 remissionを達成した割合とすると、有意差なし
- HAQは、MSUS併用群で有意に低下
有害事象
- 1つ以上の有害事象があった割合、1人あたりのイベント数は有意差なし
- コントロール群:89% vs. MSUS併用群:81%
- コントロール群:2.3 vs. MSUS併用群:2.2, p=0.72
- 重度有害事象の数はMSUS併用群で多かった
- 8 vs. 19
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