Efficacy and Safety of Selexipag in Adults With
Raynaud’s Phenomenon Secondary to Systemic Sclerosis
A Randomized, Placebo-Controlled, Phase II Study
Christopher P. Denton,1 E ric Hachulla,2 Gabriela Riemekasten,3 Andreas Schwarting,4 Jean-Marie Frenoux,5 Aline Frey,5 Franck-Olivier Le Brun,5 and Ariane L. Herrick,6 on behalf of the Raynaud Study Investigators
A Randomized, Placebo-Controlled, Phase II Study
Christopher P. Denton,1 E ric Hachulla,2 Gabriela Riemekasten,3 Andreas Schwarting,4 Jean-Marie Frenoux,5 Aline Frey,5 Franck-Olivier Le Brun,5 and Ariane L. Herrick,6 on behalf of the Raynaud Study Investigators
ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 69, No. 12, December 2017, pp 2370–2379
Vol. 69, No. 12, December 2017, pp 2370–2379
- Raynaud症状(RP)は、SSc患者の90%以上に認める症状であり、しばしば初発症状となる
- SScに関連するvasculopathyの一つであり指尖潰瘍・指尖虚血もそれに含まれる
- SScにおいて、vasculopathyは早期のpathogenesisにおいて主要な役割を果たしているため、重要な臨床所見である
- RPは、手指や足趾におきる、一過性で可逆的な小動脈の血管収縮であり、寒さや精神的ストレスが誘因となる
- SScによる二次性のRPは血管系の構造変化と関連しており、血流低下へつながる
- RP改善はQOLにも重要である
- リスク因子を回避したり、Ca拮抗薬やPDE5阻害薬などの薬剤的治療による、多面的な治療が必要である
- アンギオテンシン受容体阻害薬は推奨されることもあるが、エビデンスは限られている
- 他の治療薬が奏功せず重症の場合には、プロスタノイド点滴投与(特にイロプロスト)が推奨される。
- これは、重症度、発作頻度、発作持続時間は改善するが、点滴で投与しなくてはならないのが負担である
- 経口プロスタサイクリンアナログは、エビデンスは限られている
- そのため、プロスタサイクリン受容体に作用する経口薬の開発が必要と考えられていた
- セレキシパグは、経口の選択的プロスタサイクリン受容体アゴニストであり、WHO classⅡ/Ⅲ PAHに対して承認されている
- 今回は、セレキシパグのSSc-RPに対する有効性を調べた
方法
- 多施設、二重盲検、ランダム化プラセボ比較試験、phase2、以下の2つの期間をおいた
- 2−4週間のプラセボ単盲検期間(run-in period)
- 1日2回プラセボ内服
- 治療薬開始前のRP発作頻度を調べるために実施
- 3週間でtitrationし、5週間維持、その後30日間の安全性を調べた治療期間(treatment period)
- 200ug 1日2回投与(400ug/day)から開始
- 中止せざるを得ない頭痛や下痢などの副作用が出現するまで3日おきに200ug/dayずつ増量(副作用が出現したらその量で維持 or 200ug減量)
- 最大1600ug 1日2回(3200ug/day)
- 維持の期間は増量不可だが、副作用などあれば減量は可
- baselineは割付ける前の7日間を使用
- 割付
- 1:1=placebo:セレキシパグ
- baselineで指尖潰瘍があるかによって層別化
- 電子日記でRP発作を記録
- 最初に、RP発作を正しく記録できるように患者教育を行なった
- RP発作の定義:寒さやストレスによって誘発され、少なくとも2種類の色が出現すること
- 北半球において、冬に実施し、季節による違いをなるべく最小限にした
- 対象
- 18歳以上
- RPの3点を含み、計9点以上でACR/EULAR 2013分類基準によってSScへ分類される
- baseline期間に5日間以上において、RP発作が7回以上出現している
- run-in periodにおいて、電子日記のコンプライアンスが80%以上
- 以下の薬剤は割付前1ヶ月間において維持量かつ試験期間中も維持量であればOK
- Ca拮抗薬
- 硝酸薬
- エンドセリン受容体拮抗薬
- α遮断薬
- 抗血栓薬
- NSAIDs
- ACE阻害薬
- β遮断薬
- クロニジン
- 全身ステロイド投与
- フルオロキセチン
- 除外
- RP発作に影響する他の因子を有している(手術、最近のボツリヌス毒素での治療など)
- 直近3ヶ月以内においてプロスタサイクリン or プロスタサイクリンアナログを投与されている
- primary endpoint
- 維持期間における、1週間あたりの平均RP発作回数
- 解析
- 維持期間の後の30日間まで継続でき、電子日記コンプライアンス ≧ 70% の人を解析
- 統計学的に有意差あり:2群間の1週間あたり平均RP発作回数の違い ≦ 0 の可能性が95%以上
- 臨床的有効性あり:2群間の1週間あたり平均RP発作回数の違い <-4 の可能性が50%以上
結果
- 2014年11月〜2015年2月、フランス、ドイツ、UKの16施設で92例をスクリーニングし、74人が割り付けられた(figure1)
- baseline(table1)
- 平均RP発作回数/週
- 両群とも22回程度
- 指尖潰瘍あり、baselineでCa拮抗薬を使用している割合がplacebo群で多い
- 維持量
- placebo群:セレキシパグ1600ug 1日2回 相当の量まで71.1%が増量、継続できた
- セレキシパグ群:維持量 ≦ 800ug 1日2回 が83.3%を閉めた(平均600ug 1日2回 [IQR 200-800])
- 投与期間
- placebo群:55.5日間
- セレキシパグ群:55.5日間
- primary endpoint
- 両群とも、baselineから維持期間にかけて、RP発作回数は統計学的かつ臨床学的に有意に低下(table2)
- 両群間での有意差なし(table2, figure2)
- 層別化解析を行っても同様の傾向(figure3)
- RP発作平均回数が改善した患者の割合、RP発作持続時間、RP重症度スコアも有意差なし
- 安全性
- 1つ以上の有害事象を経験した割合
- placebo群:86.8%
- セレキシパグ群:100%
- 多くの有害事象は軽症〜中等症
- セレキシパグの有害事象の種類はこれまで報告されたものと同様
まとめ
- SSc-RPに対するセレキシパグの有効性を示せなかった
- RPに関する試験はデザインが難しい
- 試験を行なった季節にも影響される。今回は試験期間における気温の変化を最小限にするため、titration期間が3週間と短く、それによって有害事象が多く出て有効性のある用量まで達しなかった可能性もある
- placebo群にてRPが改善したのは、精神的な要素によってRP自体が誘発されるので、有害事象が起きた症例が少ないこと、セレキシパグ群より多い錠数を飲めているという安心感など、精神的なものもあるだろう
- 既報ではイロプロスト点滴投与ではRPに対して有効性を示しており、投与経路が有効性に重要なのかもしれない
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