ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Drug-Free Long-Term Remission in Severe Beh"cet’s Disease Following Withdrawal
of Successful Anti–Tumor Necrosis Factor Treatment
Petros P. Sfikakis, Aikaterini Arida, Stylianos Panopoulos, Kalliopi Fragiadaki, George Pentazos, Katerina Laskari,
Maria Tektonidou, and Nikos Markomichelakis
- Behcet’s disease (BD)は、再燃と寛解を繰り返す全身性の血管炎であり、etiologyは不明である
- シルクロードに沿った国に多い
- 臨床所見の幅は広く、再発を繰り返す口腔内潰瘍が最も頻度の多い症状である
- 粘膜皮膚病変のみの軽症の場合もあれば、眼・大血管・腸管・中枢神経など致死的な臓器に病変を持つこともある
- ステロイド、conventional免疫抑制剤(AZA, MTX, CyA, CYC)が致死的な臓器病変の場合には使用される
- IFNαは、後部ぶどう膜炎のような重症眼病変の場合には有効な代替治療である
- TNF阻害薬は、15年以上重要な治療として位置付けられている
- 眼、大血管、腸管、中枢神経病変のいずれにも、早期に寛解を達成し維持するのに有効である
- IFX, ADAの有効性と安全性に関しては多くのデータがあるが、これらを中止した後の予後に関するデータは乏しい
- RA, IBDでは漸減中止が可能であるデータが出てきている
- そして、BDにおいても、IFNαによって長期寛解を達成した重症ぶどう膜炎に対して、中止した後のも寛解を維持できた報告がある
- これらに基づいて、複数の重症臓器病変を有するBDにおいて、TNF阻害薬中止後も寛解を長期間(少なくとも3年間)維持できるか調べた
方法
- retrospective longitudinal study
- 対象
- the International Study Group for Behcet’s Disease criteria を満たす
- 筆者らの施設で2000年からフォローされているBD患者
- conventional immunosupressive drugsに対して治療抵抗性のためTNF阻害薬を導入し、寛解を得られた
- TNF阻害薬をいずれかのタイミングで中止し、その後少なくとも3年間はフォローされている
- endpoint
- TNF阻害薬中止してから3年間以上、寛解を維持している割合
結果
- 当施設でフォローされているBD 87症例のうち、29症例が解析対象(figure1)
- characteristics(table1)
- TNF阻害薬を中断する前に、TNF阻害薬によって寛解を維持していた期間
- 中央値 2年 [IQR 1.1-2.0]
- TNF阻害薬開始前に使用していた薬剤
- ステロイド:29例
- AZA:26例
- CyA:18例
- MTX:2例
- TNF阻害薬導入理由(いくつかの症例は複数の理由あり)
- 繰り返すぶどう膜炎によって失明の恐れあり:22例
- QOLを低下させる重症粘膜病変:3例
- CNS病変(parenchymal):2例
- 治療抵抗性腸管病変:2例
- TNF阻害薬を中止した理由
- 長期間再発イベントなし:23例
- 投与期間を伸ばしていく漸減法を使用
- 計画外の妊娠:3例
- 物流の問題:1例
- 繰り返す感染症:1例
- アレルギー:1例
- TNF阻害薬中止してから3年間以上、寛解を維持した症例:12例(41%)
- もともとの病変
- 眼病変 11例
- 消化管病変 1例
- 中止後の寛解維持期間:中央値 7.3年 [IQR 5.5-8.7]
- drug-free:8/12例
- 全例、もともとの病変は眼
- TNF阻害薬中止後に再燃した症例:17例
- AZA+少量PSLで治療していた場合、中止〜再燃までの期間:中央値 1年 [IQR 0.6-1.5]
- TNF阻害薬を再開した症例:16例
- 再開するまでの期間:中央値 1.8年 [IQR 1-2.5]
- 再開しても安全かつ有効だった症例:14例(82%)
- 他の2例は眼病変がTNF阻害薬再開しても改善なし
- 再開したあと、再度TNF阻害薬を中止して、3年間以上寛解を維持:4例
- それぞれTNF阻害薬を使用していた期間は0.7年、2年、2年、2.8年
- 中止後の寛解維持期間:中央値 6年 [IQR 5.5-6.5]
- 2例はdrug-free
- 最終的に、16例がendpointを満たした(figure1の黒色)
- drug-free:10例
- 全例、もとは眼病変
- 寛解維持期間:中央値 6.8年 [IQR 5.5-8.5]
- AZA(≦1mg/kg):6例
- 眼病変 4例
- 中枢神経病変 1例
- 消化管病変 1例
- 寛解維持期間:中央値 6.3年 [IQR 5.5-7.5]
- サブグループ解析(table2)
- drug-free (vs. 維持治療としてAZA使用 6例)
- 若年
- TNF阻害薬開始時点での罹病期間が短い(いずれのdrug-free症例も発症から3年以内にTNF阻害薬を開始)
- remissionを維持(vs. relapseした症例)
- 有意差のある項目なし(データ提示なし)
まとめ
- 今回の患者集団は、眼病変が大半であったが、TNF阻害薬の中止は比較的安全におこなえることがわかった
- 半数において漸減中止が成功した
- 再燃後に再開しても有効性は高かった
- 漸減の仕方は投与間隔延長が多い
- 今回のように、2年間は寛解を維持したあとに漸減する方が安全かもしれない
- 若年、発症〜TNF阻害薬開始までが短い症例ではdrug-freeも可能かも
- limitation
- サンプルサイズが少なく、眼病変が多い
- 眼病変の自然経過をみているだけの可能性も否定できない
0 件のコメント:
コメントを投稿