Immunogenicity and loss of response to TNF inhibitors: implications for rheumatoid arthritis treatment
Joachim R. Kalden and Hendrik Schulze-Koops
NATURE REVIEWS RHEUMATOLOGY VOLUME 13 DECEMBER 2017 707
- TNFi阻害薬を中止する最も多い原因はineffectivenessである(adverse eventsなどではなく)
- RA患者はSpAなど他の疾患と比較してTNFi製剤継続率が低いことがわかっている
- ブラジルからの報告では、TNFi製剤が継続できているのは平均47.5ヶ月(95% CI 45.65-65.9)であり、ASでは63.1(95% CI 60.4-65.9)
- イタリアからの報告では、first-TNFi製剤を10年間以上継続できているのは23%のみ、SpAでは30.5%
- これは、SpAと比較するとRAは全身性の炎症が強いので、B細胞の増殖を促進し、抗生物学的製剤抗体の産生率が高くなることが考えられいてる
- TNFi製剤間での継続率の差は、同等だったり、IFXがADAやETNより低かったり、報告によって異なり、これはそれぞれの患者集団やMTXなどの併用率が異なるからだろう
- TNFi製剤継続率に関係しているもの
- csDMARDSs併用の有無(特にMTX)
- BMI
- 併存疾患
- (baselineの疾患活動性は関係しないと考えられている)
- 現時点でprimary failure, secondary failureを予測するbiomarkerは見つかっていない
- primary failure
- 16週間以内に治療反応性がない(non-responder)
- メカニズムは不明であるが、RA患者においてIFXを使用開始した後にTh1, Th17がparadoxical expansionすることが関係しているかも
- responders
- baselineからのΔDAS28改善 ≧ 1.2
- secondary failure
- その前の6ヶ月間よりΔDAS28増加 > 0.6
- 抗生物学的製剤抗体の産生も関連している
- 製剤によってimmunogenicityが異なる(figure1)
- MTXを使用していないとIFXが最もimmunogenicityが高い
- ADAは完全ヒト化抗体
- ETNはidiotypeを有していないので、immunogenicityが低い
- IFX, ETN, ADAはsoluble TNFを中和する
- 中和する能力は、可溶性TNF濃度による
- そして、IFX, ETN, ADAは膜に存在するTNF(tmTNF)にも結合する
- soluble TNFとtn TNFのどちらのほうがより重要なのかはわかっていない
- tmTNFはLPSが刺激した単球、マクロファージ、樹状細胞の表面に一過性に発現する。
- TNFi製剤が樹状細胞のtmTNに結合すると、それらのcomplexがすぐに細胞内に入り、樹状細胞からanti-TNF peptidesが産生される
- この反応が抗生物学的製剤抗体の産生に関係しているかはわかっていない
抗体製剤の図。Fc領域が抗体製剤のeffector function regionであり、Fab領域はantigen-binding regionである。variable regionsがantigen specificityを決定している。
b)immunogenic siteをそれぞれの抗体製剤の赤い丸で囲っている。
IFX:マウスのvariable region(赤い部分)とhuman Fcγ1 IgG が結合しているキメラ型抗体。
ADA:完全ヒト化抗体。
CZP:humanized Fab' fragment がPEGに結合した抗体。
ETN:TNF受容体 Fcγ1 融合蛋白
- 抗生物学的製剤抗体は、acute infusion reactionとdelayed infusion reactionを引き起こすが、infusion reactionのメカニズムはわかっていないことも多い
- 抗生物学的製剤抗体を特定する方法は様々である
- ELISAは比較的安価だが、偽陽性の可能性がある
- それを改良したのがtwo-side or bridging ELISA とradioimmunoassay antigen binding testであるが、それもまた欠点がある
- bridging ELISAは生物学的製剤による干渉を受けてしまう。また、ADAへのIgG4抗体は拾えない。
- 一方で、radioimmunoassay はIgG1とIgG4の両者を拾える
- 抗生物学的製剤抗体に関する検査は、生物学的製剤自体やリウマチ因子の高い濃度に影響される可能性がある
- 抗生物学的製剤抗体のうち、実際の中和抗体に関しては、既報では、IFX, ADA, CZP, GOLに対する抗生物学的製剤抗体は90%以上が中和抗体だったため、TNFi製剤に対する抗生物学的製剤抗体は大半が中和抗体がと考えられる
a) capture ELISA:TNFi製剤が、TNFが添付されているassay plateに結合し、そのTNFi製剤に患者血清中の抗生物学的製剤抗体が結合し、HRP-conjugated anti-human antibodiesで特定する
b) bridging ELISA:assay plateがTNFi製剤でコーティングされており、そこに患者血清中の抗生物学的製剤抗体が結合し、HRP-conjugated drugで特定する
c) radioimmunoassayでは、protein A sepharoseが患者血清中の抗生物学的製剤抗体に結合し、radiolabelledされたdrugが結合する。radiolabelledされたdrugの量を測定する。
- 抗生物学的製剤抗体が出現する頻度は下の表の通りだが、試験によって測定方法やMTX併用率が異なるため注意が必要
- IFX:7-53%
- ADA:1-31%
- ETN:3%
- CZP:3-25%
- 抗生物学的製剤抗体によって、血中のfree TNFi製剤濃度は低下し(トラフレベルが治療効果と相関している)、treatment failureやinfusion reaction増加に繋がる
- MTX以外のcsDMARDsであるLEF, SASP, HCQもTNFi製剤と併用されるが、TNFi製剤へのトラフレベルへの影響はMTXが最も強かった(ADAでの報告)
- Fc受容体を介した単球による生物学的製剤クリアランスにもMTXが影響している
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