Arthritis Care & Research
Vol. 69, No. 11, November 2017, pp 1751–1763
Vol. 69, No. 11, November 2017, pp 1751–1763
Rheumatic and Musculoskeletal Immune-Related
Adverse Events Due to Immune Checkpoint
Inhibitors: A Systematic Review of the Literature
LAURA C. CAPPELLI, ANNA KRISTINA GUTIERREZ, CLIFTON O. BINGHAM III, AND AMI A. SHAH
LAURA C. CAPPELLI, ANNA KRISTINA GUTIERREZ, CLIFTON O. BINGHAM III, AND AMI A. SHAH
背景
- 悪性腫瘍と自己免疫疾患の関連は、1900年代から乳がんや消化器系悪性腫瘍と筋炎の関連に関して、また、RNAポリメラーゼⅢ抗体陽性の強皮症では悪性腫瘍のリスクが増加するなど、すでに指摘されていた
- 病態としては、交差反応が関与していると考えられている
- 筋炎に関しては、anti–transcription intermediary factor 1γ(TIF1γ)抗体や、nuclear matrix protein-2 (NXP-2) 抗体が悪性腫瘍関連筋炎の自己抗体として代表的である
- 悪性腫瘍に対する治療と自己免疫疾患の関連も増加してきた
- 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が代表例である
- CTLA-4とPD1は、T細胞に発現しているnegative regulatory receptors である
- リガンドは抗原提示細胞に発現している(B7、PDL1, PDL2)
- 悪性腫瘍自体も腫瘍細胞表面にPDL1に似た抑制系のリガンドを発現しており、T細胞の抑制する
- ICIは、これらの抑制系のシグナルを阻害し、T細胞のcostimulationを誘導し、T細胞を活性化させる
- これらに加え、TIM3(T cell immunoglobulin and mucin domain–containing protein 3), CD137, VISTA(V- type immunoglobulin domain–containing suppressor of T cell activation), LAG3(lymphocyte activation gene 3)などを標的にした多くの臨床試験が組まれている
- そして、これら免疫チェックポイントは、リウマチ系疾患の病態にも関与している
- 悪性腫瘍の治療ではnegative co-stimulationを阻害し、自己免疫疾患の治療ではnegative co-stimulationを促進させる
- abataceptは、CTLA-4の細胞外ドメインとIgG1のFc領域を融合させた抗体製剤だが、RAに対して有用である
- これらICIによる免疫関連有害事象(irAE)は、筋骨格系関連(関節炎、関節痛、筋筋炎、sicca syndrome)に関しては報告が少なく、今回の研究ではこれらをreviewしてみた
方法
- PD1, CTLA4, PDL1抗体によるirAEに関して調べたsystematic review
- Medlineのliterature、the Cochrane database のclinical trialで文献検索
- 治療に関する検索語
- ipilimumab
- nivolumab
- pembrolizumab
- the targets of drugs, PD- 1, PD-L1, and CTLA-4
- 筋骨格系関連irAEと他のirAEに関する検索語
- arthralgia
- arthritis
- synovitis
- xerostomia(ドライマウス)
- xerophthalmia(ドライアイ)
- sicca
- Sjogren’s syndrome
- systemic lupus erythematosus
- myositis
- vasculitis
- colitis
- thyroiditis
- hypophysitis
- endocrinopathy
- pneumonitis
- vitiligo(尋常性白斑)
- hepatitis
結果
- Clinical trialからの報告(計33trial)(table1)
- 関節痛:1-43%
- 関節炎:1-7%
- 筋痛:2-21%
- ドライアイ・ドライマウス:3-24%
- 血管炎の報告も2例あった
- 巨細胞性血管炎が1例、なんらかの血管炎が1例
- 他には、サルコイドーシス、腰痛、骨痛、自己免疫疾患と表記されていた報告もちらほら
- 観察研究からの報告(計3研究)
- 1つ目の研究は、CTLA4抗体で治療した119例の画像所見に関する研究
- CT, PETを施行し、画像的に関節炎あり:3.4%
- これらはいずれもRF陰性、CCP抗体陰性
- 2つ目の研究は、メラノーマと腎細胞癌に対してipilimumabとminus vaccinesを投与した198例の臨床所見を調べた研究
- grade 3-4の関節炎:2%
- それ以下の関節炎は報告なし
- 3つ目の研究は、自己免疫疾患が既往にある症例でipilimumabを使用した30例の報告
- そのうち8例で自己免疫疾患が再燃し、10例が他のirAEを発症した
- ICI治療後にリウマチ膠原病関連の症状を呈した、もしくは自己免疫疾患の既往がある症例にICIを投与した、というcase seriesとcase reportからの報告(16 case series)(table2)
- 関節炎
- メラノーマに対してpembrolizumab投与後に多関節炎と腱鞘滑膜炎を呈した(2例)
- いずれの症例もRF陰性、CCP陰性
- nivolumab投与後にぶどう膜炎とスワンネック変形を呈した(1例)
- 筋痛/好酸球性筋膜炎
- 皮膚筋炎(1例、ipilimumab)、多発性筋炎(2例、nivolumabとipilimumabが1例ずつ)に類似した筋炎
- いずれの症例もステロイドで軽快
- 好酸球性筋膜炎(1例)
- 血管炎
- 網膜炎(1例)
- しかしこれに関しては眼のメラノーマであり腫瘍随伴症候群の可能性もあり
- 子宮(1例)
- 巨細胞性血管炎とPMR(2例、転移性メラノーマに対してipilimumab投与後)
- PSLで軽快
- SLE腎症
- SLE腎症(1例、ipilimumab)
- 腎生検でextramembranousとmesangialにIgG, IgM, C3, C1qの沈着あり、かつds-DNA抗体陽性。ステロイド治療後にds-DNA抗体は陰性化。
- 自己免疫疾患の既往がある症例にICIを投与した症例
- 炎症性腸疾患(クローン病 or 潰瘍性大腸炎)の既往がある症例に、転移性メラノーマに対してipilimumabを投与した3例
- そのうち2例は再燃なし
- 1例は潰瘍性大腸炎の重症再燃を起こし、緊急大腸摘出術を要した
- Sjogren症候群の既往がある症例に、ipilimumabを投与して急性間質性腎炎を呈した症例(1例)
- その他
- 眼窩筋炎、関節痛を伴う脳症を呈した症例が報告あり
- 解析した研究のエビデンスレベル(table3)
- clinical trail
- 多くの研究は解析と有害事象に関して盲検化されておらず、バイアスは否定できない
- ランダム化されていない試験も多い
- サンプルサイズも少ない試験が多い
- そして多くの試験が安全性にfocusしたearly phaseの試験である
- 観察研究
- いずれも後ろ向き
- 交絡因子を考慮した研究はなし
- 2つのみ100症例以上、そのほかは30例程度
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