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2017年10月18日水曜日

成人発症Still病に対する生物学的製剤(TNFα阻害薬、IL-1阻害薬、IL-6阻害薬、RTX、ABT)


Rheumatology 2014;53:32 38 

導入
  • 成人発症Still病(AOSD)はスパイク熱、関節炎、サーモンピンク疹が特徴的な疾患であり、他にはリンパ節腫脹、漿膜炎、心外膜炎、心内膜炎、心筋炎、臓器腫大が起こりうる
    • 検査所見は、白血球増加、フェリチン増加、肝酵素増加を認める
  • 若年患者に発症し、多くは16-35歳
  • 病態は不明なことが多く、既報では、未治療AOSDではTh1サイドカインが有意に増加していると報告されている
    • Th1サイトカインの免疫反応
      • IL-2, IFN-γ、TNF-α → マクロファージやNK細胞、細胞性免疫を活性化
      • 活動性AOSDでは、血清&病理組織でIL-6, IL-8, IL-18, TNF-αが増加
      • IL-1βとIL-6がAOSDの特徴かもしれない
        • IL-1β
          • 体温調節中枢を活性化して発熱させる
          • 血管内皮に存在するIL-1受容体が皮疹を生じさせる
          • 骨髄に作用して好中球・血小板を増加させる
          • エリスロポエチンの作用を低下させ、貧血を生じる
          • IL-6を産生させる
        • IL-6
          • 急性炎症蛋白産生を促す
        • そのため、IL-1がAOSDの中心病態の可能性がある

各治療について
(まとめ)
  • 治療抵抗性AOSD患者に生物学的製剤が有効
  • 最初のTNFα阻害薬が効果なくても他のTNFα阻害薬にスイッチすると有効なことがある
  • IL-1, IL-6阻害がTNFα阻害薬より有効性が高い

(各論)
  • TNF阻害薬
    • IFX
      • 3 - 5 mg/kg i.v. at weeks 0, 2 and 6 and every 6-8 weeks  
      • 6人のケースシリーズでは、6例全員に症状・検査所見に著明な改善を認めた
      • ステロイドsparing agentとしての効果もある
      • ステロイド、MTXで治療抵抗性の症例には複数の報告がある
        • 20例のDMARDs抵抗性・平均罹患年数8.5年のAOSD観察研究にて、10例にIFX, 5例にETN, 5例はそれまでの治療を継続し、13ヶ月フォローし、5例で寛解を得た(1:ETN、4:IFX)
      • infusion reactionに注意が必要
    • ETN
      • 25mg s.c. 2週間おき
      • IFX不応例にも有効だった報告あり
    • ADA
      • 有効性の報告もあるが、MASを誘発した症例もあり
    • GOL
      • 報告なし

  • IL-1阻害薬
    • アナキンラ
      • IL-1受容体阻害薬
      • 100mg/day s.c.(半減期4-6時間のため連日投与)
      • IFX, ETNやステロイド、DMARDsで治療抵抗性の症例に用いて、半数以上で有効だった複数の報告あり
      • 治療反応性早い
      • アナキンラでARDS、血小板減少を誘発した症例が報告されている
    • カナキヌマブ
      • 抗IL-1β monoclonal抗体
      • 半減期26日
      • AOSDの治療薬として期待されている
      • 150mg s.c. 8週おき
      • 一過性の下痢が副作用としてあるが、比較的忍容性高い

  • IL-6阻害薬
    • TCZ
      • IL-6受容体阻害薬
        • 複数有効性報告あり

  • 共刺激分子阻害薬
    • ABT
      • CD80/86結合し、CD28に結合するのを阻害してT細胞活性化抑制
      • AOSDにはMTX、ステロイド、TNFα阻害薬で治療失敗した患者2例に有効だった報告あり

  • B細胞除去
    • RTX
      • ステロイド、DMARDs、TNFα阻害薬で治療抵抗性の2例に有効だった報告あり(375mg/m2 iv 4週間間隔で2回投与 )

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