Rheumatology 2014;53:32 38
導入
- 成人発症Still病(AOSD)はスパイク熱、関節炎、サーモンピンク疹が特徴的な疾患であり、他にはリンパ節腫脹、漿膜炎、心外膜炎、心内膜炎、心筋炎、臓器腫大が起こりうる
- 検査所見は、白血球増加、フェリチン増加、肝酵素増加を認める
- 若年患者に発症し、多くは16-35歳
- 病態は不明なことが多く、既報では、未治療AOSDではTh1サイドカインが有意に増加していると報告されている
- Th1サイトカインの免疫反応
- IL-2, IFN-γ、TNF-α → マクロファージやNK細胞、細胞性免疫を活性化
- 活動性AOSDでは、血清&病理組織でIL-6, IL-8, IL-18, TNF-αが増加
- IL-1βとIL-6がAOSDの特徴かもしれない
- IL-1β
- 体温調節中枢を活性化して発熱させる
- 血管内皮に存在するIL-1受容体が皮疹を生じさせる
- 骨髄に作用して好中球・血小板を増加させる
- エリスロポエチンの作用を低下させ、貧血を生じる
- IL-6を産生させる
- IL-6
- 急性炎症蛋白産生を促す
- そのため、IL-1がAOSDの中心病態の可能性がある
各治療について
(まとめ)
- 治療抵抗性AOSD患者に生物学的製剤が有効
- 最初のTNFα阻害薬が効果なくても他のTNFα阻害薬にスイッチすると有効なことがある
- IL-1, IL-6阻害がTNFα阻害薬より有効性が高い
(各論)
- TNF阻害薬
- IFX
- 3 - 5 mg/kg i.v. at weeks 0, 2 and 6 and every 6-8 weeks
- 6人のケースシリーズでは、6例全員に症状・検査所見に著明な改善を認めた
- ステロイドsparing agentとしての効果もある
- ステロイド、MTXで治療抵抗性の症例には複数の報告がある
- 20例のDMARDs抵抗性・平均罹患年数8.5年のAOSD観察研究にて、10例にIFX, 5例にETN, 5例はそれまでの治療を継続し、13ヶ月フォローし、5例で寛解を得た(1:ETN、4:IFX)
- infusion reactionに注意が必要
- ETN
- 25mg s.c. 2週間おき
- IFX不応例にも有効だった報告あり
- ADA
- 有効性の報告もあるが、MASを誘発した症例もあり
- GOL
- 報告なし
- IL-1阻害薬
- アナキンラ
- IL-1受容体阻害薬
- 100mg/day s.c.(半減期4-6時間のため連日投与)
- IFX, ETNやステロイド、DMARDsで治療抵抗性の症例に用いて、半数以上で有効だった複数の報告あり
- 治療反応性早い
- アナキンラでARDS、血小板減少を誘発した症例が報告されている
- カナキヌマブ
- 抗IL-1β monoclonal抗体
- 半減期26日
- AOSDの治療薬として期待されている
- 150mg s.c. 8週おき
- 一過性の下痢が副作用としてあるが、比較的忍容性高い
- IL-6阻害薬
- TCZ
- IL-6受容体阻害薬
- 複数有効性報告あり
- 共刺激分子阻害薬
- ABT
- CD80/86結合し、CD28に結合するのを阻害してT細胞活性化抑制
- AOSDにはMTX、ステロイド、TNFα阻害薬で治療失敗した患者2例に有効だった報告あり
- B細胞除去
- RTX
- ステロイド、DMARDs、TNFα阻害薬で治療抵抗性の2例に有効だった報告あり(375mg/m2 iv 4週間間隔で2回投与 )
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