Svensson J, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1803–1808.
背景
- 特発性炎症生筋疾患(IIM)は、骨格筋の筋力低下や炎症を生じる多様な自己免疫疾患である
- 臨床所見、筋生検の結果から、多発性筋炎・皮膚筋炎・封入体筋炎に分類される
- IIMは、環境因子と遺伝因子によって発症する
- HLA-DRB1*0301 が最も関連のある遺伝子である
- 環境因子についてはあまり特定されていないが、紫外線とvitDが報告されている
- 他のリウマチ膠原病疾患のように、感染症も、分子相同性やepitope拡大などの機序で発症に関与することが報告されている
- 肺は、IIMにおいて、頻度の高い筋外病変であり、多くの患者で診断時に肺病変を有している
- 喫煙や感染への最初の防御因子である肺の粘膜組織が、自己免疫を惹起する可能性がある
- 実際、RAにおいて喫煙がCCP抗体産生のリスク因子である
- IIMにおいては、jo-1抗体が喫煙者に陽性になりやすいことが報告されている
- 最近のケースコントロール研究では、サルコイドーシス、肺炎、結核などの肺疾患の既往が、IIM患者に多いと報告された
- 今回の研究では、感染症と呼吸器疾患が、IIMの発症に関連するか調べた
方法
- ケースコントロール研究
- スウェーデンで実施
- 対象
- 最近診断されたIIM患者と、背景因子で調整された一般集団のコントロール
- IIM発症より遡って、1年以内の感染症 or 呼吸器疾患を同定した
結果
- 957人のIIM患者、9476人のコントロールを2002年〜2011年の期間で抽出
- それぞれ直近の感染症 or 呼吸器疾患からIIM発症までの平均期間は3.4年、3.0年
- 感染症で多かったのは肺炎、胃腸炎、真菌感染
- 呼吸器疾患で多かったのはCOPD、喘息、間質性肺疾患
- 感染症が先行していた割合はIIM群で13%, コントロール群で9%
- OR 1.5, 95%CI 1.2 to 1.9
- 消化器感染症、呼吸器感染症ともにIIM発症リスクとなっていた
- 皮膚感染症はリスクにならず
- 感染症 or 呼吸器疾患で医療機関を受診した回数によってIIM発症リスクが増加した
- IIMのサブタイプ間の違いはなかった
- 感染症
- DM OR=1.6 and other IIM OR=1.5
- 呼吸器疾患
- DM OR=2.3 and other IIM OR=2.3
- PMとIBMはICD codeで区別できなかった
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