Arthritis Care & Research
Vol. 69, No. 10, October 2017, pp 1484–1494
Vol. 69, No. 10, October 2017, pp 1484–1494
背景
- ACRやEULARのガイドラインでは、csDMARDsに不応 or 高疾患活動性かつ予後不良因子を有する患者では、bDMARDsでの治療を推奨している
- 推奨されているbDMARDsには、TNF阻害剤、ABT, TCZ (IL-6Rα阻害剤)、場合によってはRTXがある
- しかしながら、どのbDMARDsを使用すべきか、bDMARDsの中での優位性に関してはデータが不足している
- bDMARDsを比較したhead-to-headの試験は少ない
- ADACTA trialでは、MTX不応 or MTXが不適切なRA患者において、TCZ単剤治療がADA単剤治療よりも、24週時点でのDAS28-ESR, CDAIでの寛解達成率が優れていると報告された
- AMPLE trialでは、MTX不応のRA患者において、MTX併用下で、疾患活動性コントロールと関節破壊進行抑制に関して、ABTとADAは同等の有効性を有すると報告された
- ORBIT trialでは、csDMARDs不応のRA患者において、open-labelにて、ΔDAS28-ESRに関して、RTXがTNF阻害剤に非劣勢であることを示した
- 今回のACT-iON trialは、csDMARDs不応のRA患者において、最初のbDMARDsとして、TCZとTNF阻害剤の有効性を比較した多施設研究である
- csDMARDsと併用するか単剤で使用するかは、それぞれの臨床医の判断に任せており、実地臨床に近い形となっている
方法
- 26カ国、158施設で実施
- 観察期間:56週間
- 観察研究
- 対象
- 1987ACR分類基準を満たすRA
- 中等度〜高疾患活動性
- csDMARDsを24週間以上使用しても不応
- TCZ投与法:8mg/kg div で開始
- 主要評価項目:24週時点でのΔDAS28-ESR
- 選択バイアスを考慮し、DAS28-ESR, CDAI
結果
- 1216人の患者がTCZ, TNF阻害剤を最初のbDMARDsとして使用
- そのうち、それぞれの群において、baselineでの疾患活動性、24週時点でのDAS28-ESR, TJC28が評価可能であったのは、下図の通り
- 全体の162人(13.3%)が脱落
- 最も多い理由はloss to follow-up
- 単剤で開始された割合はTCZのほうが多かった(28.1% versus 16.0%; P=0.001)
- baseline characteristics(table1)
- TCZ群のほうが罹患期間短い
- 7.8 ± 7.3 年 vs. 9.4 ± 9.0 年(P=0.014)
- TCZ群のほうがDAS28-ESR, SJC, 経口ステロイド使用率が高い
- 併用csDMARDsの種類
- MTXが最多
- 24週時点、52週時点でのΔDAS28-ESRはTCZ群のほうが大きかった(figure1)
- 副次評価項目に関して(table2)
- ESR, CRP, SJC, CDAI, SDAIが有意にTCZ群で改善
- 52週時点では、SDAI, CDAI, DAS28-ESRにおける寛解達成率がTCZ群で有意に多かった(figure2)
- 治療継続に関して
- 治療脱落したのは下の通り
- TCZ群 14.9%
- TNF阻害薬群 27.4%
- それぞれにおいて、副作用で中断したのは38.1%、40.1%
- それぞれにおいて、治療効果不十分で中断したのは23.8%、48.8%
- 治療継続率はTCZ群で高い(figure3)
- 安全性は両群で同等
まとめ
- 24週時点でのDAS28-ESRはTCZ群で優れていた
- ESRやCRPの盲検化はされていなかったのがバイアスになっている可能性はある
- CDAIはESRやCRPを含まないが、CDAIが有意にTCZ群で改善していたのは、IL-6阻害以外の効果が影響していたことを示唆する
- 単剤治療での効果の比較は、もっと大きいサンブルサイズで評価する必要がある
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