- CTD-PAHにおいてSSc-PAHは大きな割合を占める
- プロスタグランジン誘導体、ETR拮抗薬、PDE5阻害薬による単剤での短期間の治療の試験では、6分間歩行試験の結果から、特発性PAHよりもCTD-PAHは治療効果が低いことが示されている
- Chest 2004;126:420–7.
- N Engl J Med 2002;346:896–903.
- J Rheumatol 2007;34:2417–22.
- SERAPHIN試験とGRIPHON試験では、長期間の併用治療は、CTD-PAHも特発性PAHのように有効であった
- しかし、いずれの試験もSSc-PTDに関しては成績がよくなかった
- 最近のメターナリシスでは、CTD-PAHのほうが特発性PAHよりも治療反応性は不良(6分間歩行試験、臨床経過の増悪という面において)であるという結果であった
- Am J Respir Crit Care Med 2015;192:1111–17.
- SSc-PAHは、特発性PAHと比較して血行動態が比較的よいのに関わらず、生存率が低い
- Ann Rheum Dis 2012;71:249–52.
- SSc-PAHを除くCTD-PAHは、PAH治療を受ければ特発性PAHと同様の生存曲線となる
- Chest 2014;146:1494–504.
- これらより、CTD-PAH全体の予後を不良としているのはSSc-PAHのpopulationであると示唆される
- PVOD, 潜在的な心臓病変、肺病変、筋骨格病変などがSSc-PAHにおける治療効果を減弱している要因だろう
- AMBITION trial
- アンブリセンタンとタダラフィルで初期治療をした場合 vs. アンブリセンタンもしくはタダラフィルで単剤治療
- WHO/NYHA class2 or 3の患者を対象
- phase3/4, ランダム化二重盲検試験
- N Engl J Med 2015;373:834–44.
- 今回は、AMBITION trialにおけるCTD-PAH群のpost hoc解析である
方法
- 対象
- 18−75歳
- 40kg以上
- WHO機能 class分類 2 or 3
- iPAH, hPAH, CTD-PAH, 薬物or中毒関連PAH, HIV-PAH, 治療された先天性心疾患のいずれかの診断を受けている
- 全例、以下を満たす
- Total Lung Capacity ≧ 60%
- FEV1 ≧ 55%
- baseline mean PAP ≧ 25mmHg
- PCWP or LVEDP ≦ 15mmHg
- PVR ≧ 240 dyne・s/cm5
- 試験組み入れ6ヶ月後、上記によって組み入れられた対象群は比較的高い左室拡張機能障害を有していたため、修正inclusion criteriaによって再度組み入れをおこなった
- PVR ≥300 dyne·s/cm5
- PVR ≥300 to <500 dyne·s/cm5患者であれば PCWP or LVEDP ≤12 mm Hg
- PVR ≥500 dyne·s/ cm5, であればPCWP ≤15 mm Hg
- exclusion criteria(これらは左室拡張機能障害のリスク因子であるため)
- BMI≧30, 本態性高血圧の既往、冠動脈疾患の既往
- Primary outcome:ランダム化されてから最初の臨床症状増悪(以下)
- 死亡
- PAH悪化による入院
- baselineの6分間歩行試験の結果から15%以上悪化かつWHO機能分類3/4症状が14日間以上離れた2つの期間で認める
- 試験開始後のフォローでおこなった6分間歩行試験で2回連続して悪化
- WHO機能分類3症状が6ヶ月間以上離れた2つの期間で認める
結果
- 下のように組み入れられた
※ex-primary analysis set (PAS) population includes patients who were randomised and received study drug but did not meet the amended entry criteria.
※mITT=modified intention-to-treat
- CTD-PAHの中で、SSc-PAH群はnon-SSc-PAH群と比較して年齢が高かった(mean 61.5 vs 52.6 years).
- 血行動態の重症度は同程度
- SSc-PAH群でcombination therapyに割り当てられた群は、6分間歩行試験が比較的悪く、NT-proBNPが高い傾向で、免疫抑制剤の使用が少なかった
- Primary outcome
- A:CTD-PAH
- B:SSc-PAH
- いずれもcombination therapyのほうがevent-free期間が増加した
- A:CTD-PAH
- B:SSc-PAH
- Primary outcomeに含まれるそれぞれの項目別に表記
- 副作用は下記
- 副作用発現率はやはりcombinationのほうが多かったが、それによる治療中止はmonotherapyと同等
- SSc-PAHとCTD-PAH間での違いもなさそう
考察
- 初期からのcombination therapyによって、SSc-PAHでもCTD-PAHと同じように臨床的な増悪のリスクを下げることができた(monotherapyと比較して、それぞれ56%, 57%リスクを下げた)
- また、今回の試験で、secondary outcomeとした6分間歩行試験は、SSc-PAHにおいて、monotherapyとcombination therapyによってそれぞれbaselineより12.2m, 40.9m改善しており、6分間歩行試験が有用な治療効果指標となることを示している
- REVEAL試験によって、6分間歩行試験が15%悪化した場合、有意に予後不良であるとの報告がある。
- AMBITION試験では、combination therapyもしくはmonotherapyをおこなっても、6分間歩行試験が15%悪化する割合がそれぞれ31%, 44%おり、より積極的な治療を行える新しいregimenを必要としている。
- limitation:CTD-PAHのなかでnon-SSc-PAHが少ないので、CTDのなかでも原因によって治療効果を比較することはできない
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