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2017年9月17日日曜日

SLE, SScにおける男性の性線毒性への影響

ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY Vol. 69, No. 6, June 2017, pp 1272–1279

  • 男性SLE, SSc患者において、性線ホルモンを、年齢、疾患活動性、臓器障害、ステロイドやシクロホスファミドの治療によってどのように影響を受けるか調べた

方法
  • cross sectional研究
  • 対象
    • the Department of Rheumatology and/or the Department of Nephrology at Karolinska University Hospital を通院している男性SLE, SSc患者
    • SLEであれば1982 SLE分類基準 or 2012 SLICC基準、SScであれば2013 ACR/EULAR分類基準を満たしている
    • ホルモン治療を受けている患者は除外
    • 対象群はSwedish Population Registry から年齢をマッチさせて抽出
  • 血清ホルモン値の基準範囲
    • FSH (range 1.0–12.5 units/liter)
    • LH (range 1.2–9.6 units/liter)
    • sex hormone–binding globulin(SHBG)(range 10–30 nmoles/liter)
    • prolactin (range 56– 278 mIU/liter)
    • total testosterone (range 10–30 nmoles/liter)
      • 活性testosterone(SHBGに結合していないテストステロン) (range 6.3–16 nmoles/liter for those ages 20 - 49 years, and 4.4–14 nmoles/liter for those ages ≧50 years) 



結果
  • 71人のSLE男性患者(table1)
    • 平均年齢:49歳(range 19-79歳)
    • 対照群と比較して喫煙者が多かった(p=0.048)
    • 60.6%で腎症あり
    • 疾患活動性
      • 平均SLAM-R score:5 (range 0–19)
      • 平均SLEDAI-2K score:2 (range 0–20)
      • 平均SDI:1 (range 0–6) 





    • ホルモン値(table 2)
      • 平均LH値は、対照群と比較して、有意にSLE男性患者で高い(p<0.0001) 
        • LHが基準値より高い人は、SLE患者のみ
      • 平均FSH値、平均PRL値、平均SHBG値、平均テストステロン値の平均は、SLE患者と対照群で同等
        • PRLが基準値より高い人は、SLE患者のみ
        • SLE患者において、血清CrとPRL値は相関(r=0.28, p=0.02)
      • 活性テストステロン値が年齢で調整した基準値より低い人の割合は、対照群と比較して、有意にSLE患者で多い(p=0.02)
        • SLE患者において、年齢と活性テストステロンは逆相関 (r=0.52, p<0.0001).
        • LH, FSH, PRLが基準値より高い人の割合は対照群と同等
      • LHが基準値より高くかつ活性テストステロンが基準値より低い人の割合は、SLE患者と対照群で同等
    • 疾患活動性とホルモン値の関係
      • SLAM-Rは、血清LH値と相関(Spearman’s r=0.35, P=0.003)
      • SLAM-Rは、血清SMBG、テストステロン値、活性テストステロン値と逆相関  
      • SLEDAI-2Kは、ホルモン値と相関なし
      • SDIは、PRL値と相関あり
      • SDIは、テストステロン値、活性テストステロン値と逆相関あり
    • 治療との関係
      • ステロイドの用量とテストステロン値、活性テストステロン値は逆相関していた
      • 12ヶ月以内にCYC投与していた患者は、有意に活性テストステロン値が低下していた(平均CYC積算量 6.5g, range 0.5-27g)





  • 29人のSSc患者
    • 平均血清FSH, LH, PRL, SMBG値は対照群と同等
    • 活性テストステロン値が基準値より低い人は、SScの方が多かった
    • 疾患活動性との関係
      • 血清FSH, LHと相関しており、活性テストステロン値と逆相関していた(CYC使用に関して調整後)
    • 治療との関係
      • ステロイドの用量とホルモン値の相関はみられなかった
      • 12ヶ月以内にCYC投与していた患者は、有意に活性テストステロン値が低下していた(平均CYC積算量 8.7g, range 3.6-25.1g)




まとめ
  • SLE患者において血清LHは増加する
  • SLE患者、SSc患者ともに、活性テストステロン値が基準値より低い人は、年齢調整した対照群よりも多い
  • ホルモン値は疾患活動性とも関係している
  • SLE患者では、ステロイド用量とホルモン値も関係している
  • SLE患者、SSc患者ともに、12ヶ月以内のCYC投与がテストステロン値と関係している
  • 既報で報告されていたSLE患者におけるPRL増加は、今回は示さなかったが、血清CrとPRL値は相関していた


今や不妊のうち半分は男性側に起因するということなので、女性だけでなく男性においても性線毒性は気にしなくてはならないですね。
疾患活動性、ステロイド、CYCが関係するようです。
導入部分に記載してありましたが、46, XYと比較して、Klinefelter’s syndrome (47,XXY karyotype)だと14倍もSLE発症のリスクが上がるとは知らなかった。。。

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