Kavanaugh A, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1009–1019.
背景
- MTXはRAにおいてキードラッグであるものの、適正量使用しても治療に反応するのは50%程度のみである
- JAK阻害剤は、経口で投与可能な低分子化合物であり、成長因子やホルモン、 IL-6を含む炎症性サイトカインなど、様々なシグナルに影響を与える
- FilgotinibはJAK1選択的阻害剤であり、RAや炎症性腸疾患などに対する有効性を期待している
- DARWIN 2は、MTXによる治療が不応だった中等度以上の活動性を有するRAに対して、Filgotinib monotherapyでの有効性を調べたものである
方法
- 多施設(59施設、18カ国)、ランダム化、二重盲検、phaseⅡb試験である
- 観察期間:24週間
- 割付
- 1:1:1:1=placebo:Filgotinib 50mg:Filgotinib 100mg:Filgotinib 200mg
- Filgotinib群はいずれも朝1回投与
- レスキューとして、12週時点で、全てのplacebo患者と、Filgotinib 50mg群のうち治療効果不十分(腫脹関節痛、圧痛関節数の改善が20%以下)だった場合に、Filgotinib 100mgへ再度割り付けて、24週目まで継続した
- 対象
- 18歳以上
- 6ヶ月以上前に
- RAと6ヶ月以上前に診断されている
- 2010 ACR/EULARのRA分類基準を満たす
- ACR機能分類 1-3
- 腫脹関節数 ≧ 6/66、圧痛関節数 ≧ 6/68
- CRP ≧ 正常上限の0.7倍(2014/3より、正常上限の1.5倍以上へと変更)
- MTXの効果が不十分と主治医が判断し、4週間以上のwash out期間を設けることに同意あり
- PSL使用していれば10mg以下で、用量が組み入れ前4週間以内はstable
- NSAIDs使用していれば、用量が組み入れ前2週間以内はstable
- 妊娠可能な女性は避妊している
- exclusion criteria
- HCQなんらかのDMARDを使用中
- 6ヶ月以上、組み入れ時点から前に治験としてbDMARDsを使用していて、それが有効だった場合はOK
- 以前にJAK阻害薬、MTX以外の細胞障害性薬剤の使用歴あり
- 組み入れ前4週間以内に点滴 or 筋注でステロイド使用歴あり
- 妊婦
- Primary outcome
- 12週時点でのACR20達成率
- 解析
- 治験薬を1回でも使用した患者を全例解析
結果
- 2013/10-2015/5
- 625人のうち、287人が割り付けられ、283人が一度は治験薬を内服し解析に組み込まれた
- 脱落率 9.2%
- placebo群とFilgotinib群で有意差なし
- Filgotinib群内で用量別の間にも有意差なし
- baseline characteritics
- placebo群で平均CRPが高い(統計学的には有意差なし、p=0.0865)以外に同等
- ステロイドあり 59%
- HCQあり 4.2%
- Primary outcome
- 12週時点でのACR20達成率(figure2A)
- 有意に全てのFilgotinib群で多かった
- Filgotinib 50 mg, 67% (48/72)
- Filgotinib 100 mg, 66% (46/ 70)
- Filgotinib 200 mg, 73% (50/69))
- placebo (29% (21/72))
- p<0.0001
- secondary outcome
- 12週時点でのACR50達成率(figure2B)
- 有意に全ての Filgotinib群で多かった
- 12週時点でのACR70達成率(figure2C)
- Filgotinib 100mg, 200mgでplacebo群より有意に多かった
- ACR20達成率は、8週目でプラトーとなり、24週まで持続した(figure2A)
- 効果出現の早さ
- ACR20
- 1週目時点で、filgotinib 200mg群が有意
- ACR50
- 2週目時点で、filgotinib 200mg群が有意
- ACR70
- 4週目時点で、filgotinib 200mg群が有意
- DAS28-CRP(figure2D)
- 12週目時点で、全てのFilgotinib群がplacebo群より有意に低下
- CDAIも同様の傾向(figure2E)
- 健康関連QOL(figure2F)
- 2週目時点からFilgotinib 200mg群で有意に改善
- 12週目時点では全てのFilgotinib群で有意に改善
- Filgotinibの用量が多いほうが、疾患活動性の低下の程度や寛解達成率が高かった
- 副作用(Table3)
- 24週までで、9例、重度の治療介入が必要な有害事象が起きた
- 4例は重症感染症
- 3例はFilgotinib 200mg群(腰痛、変形性関節症、肺炎)、2例はFilgotinib 100mg群(蜂窩織炎、めまい)、2例はFilgotinib 100mg群(胃腸炎、大腿骨骨折)、2例がplacebo群(RA再燃、慢性腎盂腎炎)
- Filgotinib群のほうがplacebo群よりも有害事象は多かった
- 脱落率は全てのFilgotinib群で同等
- 帯状疱疹は1例のみ、10日間で治癒
- 結核なし、リンパ腫なし、悪性腫瘍なし
- 血液
- Filgotinib 100mg, 200mg群で12週目までHb増加したが、その後安定
- 好中球数は4週目まで低下したがその時点でプラトーとなり24周目まで安定
- Filgotinib 50→100mgスイッチした1例のみ低下し続けた
- 2例がCTCAE grade 3 程度の好中球数減少あり
- 平均リンパ球数(NK細胞含む)低下なし
- 3例のみCTCAE grade 3 程度のリンパ球数低下あり
- 5例はリンパ球数低下のため脱落
- 血小板数は4週目まで低下したが、その後24週目まで安定した
- Crは用量依存性に4週目までわずかに増加したがプラトーとなり24週目まで安定
- 1例のみCTCAE grade 3 程度のAST, ALTの上昇あったが、AST, ALT上昇による脱落なし
- HDL, LDLはFilgotinibで増加したが4週目以降は安定
まとめ
- Filgotinib 単剤治療にて、MTX不応性の中等度以上の活動性を有するRA患者において、用量依存性に有効だった
- 治療脱落率も比較的低い
- 血球系副作用(血球減少)は許容範囲だった
- Cr増加もわずか
- 肝障害もわずか
- コレステロールは増えたがLDL/HDL比は低下
- CTCAE grade 3 or 4 の検査異常は全部で11例と少なく、ほとんどは治療中断とはならなかった
- limitation
- placeboとの比較期間は12週間のみと短い(全例placeboはfilgotinibにスイッチしたため)
- 観察期間が短いため副作用のモニタリングが不十分
monotherapyでも有効性を認めたという結果。
multi-target DMARDsは副作用もこれまでのbDMARDsとも異なるので、extension studyにも注目したいです(萩野先生に教えていただいたFINCH studyはextensionもおこなう予定なので楽しみです)
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