ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
本文中の図やグラフは元論文より引用しております。
背景
- RAにおいて、"寛解導入-維持治療"という概念で、生物学的製剤のtapering方法に関しては確立したものはない
- C-EARLY studyは、MTX-naive・早期RA・関節破壊進行のリスクが比較的高い患者に対して、certolizumab pegol (CZP、皮下注) +MTX(10mg/wから開始し、2週間おきに5mgずつ増量、8週目までに最大25mg/w・最小15mg/w)を早期に開始し、続いて疾患活動性に応じてCZPの漸減・中止を試みて、"寛解導入-維持治療"という治療が可能か検討するものである
- period1では、1年間の観察期間において、MTX単剤に対するCZP+MTX群の有効性と安全性を示した
- 40・52週時点、DAS28-ESR < 2.6達成率(寛解):28.9%
- OR 2.3
- 95% CI 1.50–3.47, P<0.001
- 40・52週時点、DAS28-ESR < 3.2達成率(低疾患活動性):43.8%
- OR 2.0
- 95% CI 1.38–2.7, P<0.001
- placebo+MTX群
- 寛解達成率:15.0%
- 低疾患活動性達成率:28.6%
- 有意に関節破壊進行もCZP+MTX群で抑制された
- period2では、40週・52週時点で低疾患活動性を達成した患者群において、さらに52週観察し、漸減群と中止群で効果を比較した
- 今回の研究の仮説は、standard群と減量群は、中止群よりも低疾患活動性を維持するのに優れているというものである
方法
- C-EARLY study period1の対象
- 2010ACR/EULARのRA分類基準を満たす
- DMARD naive
- 割付前1年以内に診断
- 76%は4ヶ月以内だった
- 関節破壊進行もリスク因子を有している
- スクリーニング視点でRF or CCP抗体陽性
- 期間中は関注・筋注・静注ステロイド使用禁止
- 経口はPSL ≦ 10mg/dayまで可
- C-EARLY study period2の対象
- period1にて、40・52週時点で低疾患活動性を維持できたCZP+MTX群
- period2の試験デザイン:phaseⅢ、多施設(ヨーロッパ・オーストラリア・北米・ラテンアメリカの103施設)、二重盲検、ランダム化プラセボ比較試験
- 期間:2013/2-2015/7
- primary outcome
- 104週まで再燃なく低疾患活動性(DAS28-ESR ≦ 3.2)を維持できた割合
結果
- period2開始時点でのbaseline(table1)
- 293人がperiod1から継続して組み込まれた
- これは、period1にて低疾患活動性を維持できた人が少なかったため、予定のサンプルサイズよりも36%少なかった
- CZP standard群にてやや女性が多い以外に、特に群間でcharacteristicsの違いはなさそう
- 平均MTX使用量:20-22mg/w
- 脱落率
- CZP standard群:14/84人(16.7%)
- CZP減量群:15/127人(11.8%)
- CZP中止群:10/82人(12.2%)
- 脱落原因で最も多かったのは治療関連有害事象
- 有効性
- 104週まで低疾患活動性を維持できた割合(figure2A)
- CZP standard群:41/84人(48.8%)
- CZP減量群:67/126人(53.2%)
- CZP中止群:31/79人(39.2%)
- 上2群をCZP中止群と比較してそれぞれp=0.112, p=0.041
- 104週まで寛解を維持できた割合(figure2A)
- CZP standard群:22/50人 (44.0%)
- CZP減量群:36/83人 (43.4%)
- CZP中止群:17/51人(33.3%)
- 上2群をCZP中止群と比較してそれぞれp=0.274, p=0.253
- 上記より、primary outcomeは満足しなかったが、減量群ではstandard群と同等であった
- 患者報告による再燃率(figure4)
- CZP standard群:7/84人(8.3%)
- CZP減量群:3/126人(2.4%)
- CZP中止群:10/79人 (12.7%)
- 最も再燃が多かったのは、再割付して12週間後の64週時点
- 再燃した症例のうち80%は、CZP standard量を再開したところ12週間以内に低疾患活動性を達成できた
- period1にて MTX単剤で治療反応性良好であったMTX responderと比較して、CZPを含む群はレントゲンでの関節破壊進行は抑制されていた(figure3)
- 安全性
- 感染症に関しては、中止群よりも漸減群・standard群で多かった
- CZP使用していた患者全体での感染症発生率:45.1/100人年
- 悪性腫瘍はCZP継続と関係しなかった
まとめ
- ちなみに、他のTNF阻害薬の漸減・中止に関する試験は以下
- ETN(半量投与:25mg/w):the Productivity and Remission in a Randomized Controlled Trial of Etanercept vs. Standard of Care in Early Rheumatoid Arthritis (PRIZE) study
- ADA(中止):The Optimal Protocol for Methotrexate and Adalimumab Combination Therapy in Early Rheumatoid Arthritis (OPTIMA) study
- 中止するよりも、standard用量で継続 or 漸減のほうがリスクベネフィットで優れているかもしれない
- 予定よりサンプルが少なかったのが検出力不足につながった可能性はある
- MTX単剤で治療すると、低疾患活動性を維持していても、CZP併用する場合と比較して関節破壊が進行する可能性がある
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