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2017年9月24日日曜日

MCTDの腎病変について

古い文献ですが・・・
(Seminars in Arthritis and Rheumatism, Vol 16, No 2 (November), 1986:135-145)
本文中の図やグラフは元論文より引用しています。


  • 腎病変の割合は40%程度
  • 腎病変を予測するもの:蛋白尿、円柱の出現など。血尿は稀。
  • 血清学的な検査(RNP抗体 titer、補体、ds-DNA抗体、Sm抗体、クリオグロブリンなど)は腎病変の出現と相関しない
    • クリオグロブリンは全体として活動性が高いことには相関するかもしれない
  • 臨床像としてはネフローゼとなるのが多い(75%、特に病理が膜性腎症の場合)、それも比較的に急速・再発性の経過
  • 腎病変を持つ人は他の臓器症状含め全身的に病変がある場合は多い傾向にあった
  • 免疫複合体(特にC1q-binding assayよりもRaji cell assayで)levelは疾患活動性と関係している
    • Arthritis Rheum 22:484-489, 1979
    • Proceedings of the XIV International Congress ofRheumatology, San Francisco, 1977 (abstr 69))


  • 90%程度の症例で、電顕での沈着物、グロブリンと補体の沈着があることから、immune depositが腎病変と関連している可能性が高い
  • この報告では、10人のうち6人は、糸球体の病理像が LNに類似していた(2人は軽微なメサンギウム増殖、1人は糸球体硬化、1人は膜性腎症)。
  • LNでよく認めるような糸球体の増殖性変化は1人のみ。小児のMCTDではいくつか報告がある。
  • 半数で血管性の腎硬化を伴う血管内膜肥厚を認めた。これは強皮症コンポーネントかもしれない。


  • これまでの報告をまとめると、SLEでは増殖性変化が多いが、MCTDの腎病変の病理像はメサンギウム変化・膜性腎症が多い。

  • 病理型による腎予後の違いは解析できなかった
  • 強皮症腎クリーゼを起こした症例は10人のうちにいなかった。過去に1例報告あり(Medicine 59:239-248, 1980)




<RNP抗体陽性(かつSm抗体・ds-DNA抗体陰性)の膜性腎症におけるIgGサブクラスによる解析>
(Nephrol Dial Transplant (2012) 27: 1937–1941) 

  • RNP-MN group(n=7)
    • ほとんどの症例で蛋白尿あり
    • 血尿は1例のみ
    • 2例でネフローゼ
    • 腎不全なし
    • SS-A抗体陽性が4例
  • C4以外にRNP-MNとL-MNに血清学的な有意差なし
  • RNP-MN group
    • IgGは全例で陽性
    • IgA, IgM, C3, C1qが染まらなかったのは2/7認めた
  • L-MNではほぼ全例full house patter


  • IgGサブクラス別
    • L-MNではIgG1とIgG3が有意差を持って染まっていた
    • RNP-MNではIgG1とIgG3はほぼ染まっていない。IgG2は全例で陽性。
    • これまでの既報では、idiopathic-MN(non-L-MN)ではIgG4優位で、L-MNではIgG3 > IgG4との報告あり
      • IgG1, IgG3は補体の古典的経路の活性化能が高く、IgG2, IgG4は低い。これがMCTDとSLEの補体の違いと関連しているかもしれない。

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