Volume 69, Issue 8
August 2017
Pages 1517–1520
- 足細胞は、糸球体の毛細血管ループを、内皮細胞、基底膜(GBM)とともに包囲している。
- 3層構造でフィルターの役割をしており、有窓である内皮細胞とGBMによって血球が漏れることを防ぎ、足細胞がアルブミンや比較的大きい血清タンパクが尿中に漏れることを防いでいる
- 足細胞のバリアは、サイズと、足細胞表面のグリコカリックスが陰性に荷電していることで役割を果たしている
- 自己免疫疾患などで損傷を受けると、足細胞はsimplyficationを起こし、足突起と陰性荷電したグリコカリックスを失う。
- これによって尿中タンパクが出現する
- Lupus nephritis(LN)などの疾患で生じる尿中タンパクは、この足細胞のダメージのhallmarkとなっている
- 足細胞は上記の構造に加えて、抗原提示細胞からのシグナルを伝達するための受容体を発現し、糸球体の炎症を制御している
- 培養されたマウスの足細胞では、TLRs 1-6 が発現しており、炎症によって産生されるTLRリガンド(LPSなど)に反応する
- ヒトでも同様に、TLR3の発現と、TLR 4-6が弱く発現している。これを介して、炎症性サイトカインを産生しMyD88の産生を亢進させている。
- しかしながら、これらTLRがどこまで尿蛋白に関与しているかは不明である
- 抗原提示細胞がT細胞活性化させるには、MHC分子に結合するペプチドとCD80, 86のような共発現分子が必要である。
- マウスの足細胞は炎症状態においてMHC classⅡが強く発現している
- 抗GBM腎炎のモデルマウスでは、足細胞特異的なMHC classⅡ分子をdeleteすることでCD4陽性T細胞の活性化と疾患活動性を抑制し、足細胞が抗原提示細胞として直接的に働いていることが示唆される
- 足細胞における共分子の機能は不明でありる。
- CD80によって、α3 integrinを欠いた足細胞が増加することが当初報告された。α3 integrinは足細胞がGBMにくっつくためのadhesion receptorの一部を構成するものである。
- α3 integrin欠失マウスでは、蛋白尿が出現し糸球体硬化に進行する
- その後、糖尿病性腎症やLNにおいて、足細胞のCD80発現が増加していることがわかった。これによって、CD80を阻害することをターゲットにした治療が試されたが、いずれも有効性を示せていない。
- インフラマソームは微生物もしくは内因性メディエーターに反応する様々な蛋白の複合体である
- インフラマソームはcaspase1を活性化させ、caspase1はIL-1βとIL-18を活性型に変化させる
- SLE患者の活動性の高い腎炎検体から採取した糸球体において、インフラマソーム関連蛋白(ASC, caspase1, IL-18)のmRNAが増加していた
- 足細胞がインフラマソーム構成タンパクを発現していることも報告されている
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