ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY
Vol. 70, No. 2, February 2018, pp 266–276
Vol. 70, No. 2, February 2018, pp 266–276
背景
- SLE患者では、B lymphocyte stimulator (BLyS) と APRIL (BAFF-APRIL)が増加しており、疾患活動性と自己抗体産生に関連があることが知られている
- BLyS inhibitorであるベリムマブは、phase 3 試験でSLEに対して有効性を示した
- ataciceptは、APRILとBLySの両者を阻害する
- the APRIL SLE study において、SLE患者に対して、B cells, plasma cells, 血清免疫グロブリンを減らすことが示された
- 今回のADDRESS Ⅱ試験は、ランダム化プラセボ比較試験 phase 2b である
方法
- 24週間、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ比較、parallel-arm、phase 2b
- 対象
- 18才以上
- 既存の治療を受けても中等度以上の活動性(SLEDAI-2K ≧ 6 )のあるSLE患者(ACR分類基準4つ以上を満たす)
- 罹病期間 ≧ 6ヶ月間
- 抗核抗体陽性(titer ≧ 1:80)± anti-ds-DNA抗体陽性(≧30 IU/ml)
- 肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種している
- 免疫抑制剤は単剤のみ使用可能、抗マラリア薬も可
- 除外
- 重症の糸球体腎炎(尿蛋白/Cr > 2.0 g/gCr ± eGFR < 40 ml/min/1.73m2)
- 中枢神経病変の症状がある
- 1年以内にベリムマブ、RTX, ocrelizumab, その他B細胞標的治療薬を使用していた場合は除外
- 以下に割付
- SLEDAI-2K score [ 6-9 vs ≧10 ] ・人種・baselineにおけるMMFの使用の有無によって層別化して、1:1:1に割り付けた
- atacicept 75mg s.c. weekly
- atacicept 150mg s.c. weekly
- placebo
- CS(ステロイド)は、スクリーニング期間の間はPSL換算量 40mg/dayまで増量可能
- ~week4:30mg/dayまでに漸減
- ~week16:可能な限り漸減していくが、30mg/dayまでのレスキューは1回のみ認める(しかし7日間以内にweek4時点での用量以下に漸減しなくてはならない)
- ~week24:ステロイドは維持
- primary endpoint
- 24週時点におけるSRI-4(以下の全てを満たす)
- ΔSLEDAI-2K score の改善 ≧ 4点
- Δphysician’s global assessmentの増加 < 10%
- 新規のBILAG 2004 Aなし & 2つ以上Bなし
結果
- 306人が割り付けられた
- baseline characteristics(table1)
- atacicept 150mg 群が、75mg群よりも、BILAG 2004 1A or 2B scoreが多かった以外は、特に違いなし
- BILAG 2004 A or B scoreは、主に皮膚粘膜・筋骨格
- 24週時点におけるSRI response
- atacicept 75 mg (57.8%; adjusted OR 1.78 [95% CI 1.01–3.12]
- P = 0.045 (vs placebo)
- atacicept 150 mg (53.8%; adjusted OR 1.56 [95% CI 0.89–2.72]
- P = 0.121 (vs placebo)
- placebo 44.0%
- 16週時点から、placeboと違いが出てきている(figure1A)
- primary endpointは達成できなかったため、他の探索的研究を行なった
- day1をbaselineとした感度解析では、ITT populationにおいて、両群ともに有意に(p<0.05)placeboよりSRI-4 responseがよかった(下図)
- 高疾患活動性(HDA)の患者のみのサブグループ解析
- 用量依存性(150mg > 75mg)にSRI-4 response がよかった(上のfigure1B)
- SRI-6 response
- HDAにおいて、placeboとatacicept 150mg群の違いが顕著だった(figure2B)
- atacicept 150 mg (54.9% [adjusted OR 3.31 (95% CI 1.44–7.61)]
- placebo (28.8%)
- P = 0.005
- HDA+血清学的に活動性あり、とするとさらにその差が顕著だった(figure2D)
- severe disease flare
- 新規BILAG A 出現は、atacicept 75mg群で有意にplacebo群よりも少なかった(figure3A)
- HDAサブグループ解析では、その差がより顕著だった(sigure3B)
- 24週時点でPSL ≦ 7.5mgを達成できた割合
- ataciceptの両群ともplaceboと変わりなかった
- atacicept 75mg:17.9%
- atacicept 150mg:11.3%
- placebo:18.9%
- patient's global assessmentの変化も、いずれの群も有意差なし
- biomarkerの変化について(figure4)
- C3, C4, anti-ds-DNA antibody はいずれもataciceptの両群で改善
- IgGもataciceptの両群で低下
- 重度の低IgG血症( ≦ 300mg/dL)はなし
- 有害事象
- 治療関連有害事象は、atacicept 群で多い
- atacicept 75 mg:81.4%
- atacicept 150 mg:80.8%
- placebo:72.0%
- 主には投与局所部位反応、上気道感染症、下痢、尿路感染症
- 重症感染症
- atacicept 75 mg:5.9%
- atacicept 150 mg:1.0%
- placebo:5.0%
まとめ
- primary endpointである24週時点でのSRI-4 responseは、ITT populationにて満たすことができなかった
- しかしながら、day1をbaselineとすると、両群とも有意の改善を認めた
- BLISS studyのように、倫理面も考慮して通常治療継続とステロイドの用量調整が入っており、中等度活動性の患者群ではplacebo群でのSRI-4が高いために、有意差が出なかったのかもしれない
- 高疾患活動性のサブグループ解析では、サンプルサイズが減少したにもかかわらず、ataciceptの有効性がより高くなった
- 血清学的な活動性が高い患者群も、ベリムマブと同様に、ataciceptの有効性がより高くなった
- SRI responseにおける血清学的項目を除いて解析しても、血清学的な活動性が高い患者群に対するataciceptの有効性は認められた
- 血清学的マーカーの改善(C3, C4, ds--DNA抗体)は、気泡によるBLySのみを標的にした治療薬よりも顕著だったのは、APRILがplasma cell survival, 抗体産生, そして潜在的な補体消費に関係しているからだろう
- 有害事象に関しては、忍容性のある結果だった
- 重症低γグロブリン血症や死亡例はいなかった
- これまで死亡例や重症感染症によって試験が中断されたこともあったが、今回のように、しっかりワクチンを打ってモニタリングすれば、リスクを減らすことができることが示された
- limitation
- black/African American が少ない
- 重症腎症や中枢神経病変を有するSLEが除外されている
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