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2017年12月20日水曜日

特発性炎症性筋疾患の特徴:The EuroMyositis registry


Lilleker JB, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:30–39.
  

方法
  • 定義
    • PM, DM, JDM:Bohan & Peter分類にてprobable or definite
    • ASS:anti-synthase antibodyが陽性+典型的な臨床所見のうち1つ以上有する(筋炎、関節炎、間質性肺炎、mechanic's hands、Raynaud's phenomenan、発熱)
    • IBM:感度を上げるために、下3つの基準のうち、いずれかを満たすものとした
      • the Medical Research Council (Neuromuscul Disord 2010;20:142–7.

      • Griggs RCらの基準 (Ann Neurol 1995;38:705–13. 

      • Neuromuscular Centre (ENMC) diagnostic criteria (Royal Society of Medicine Press 1997. 81–4. 


    • CTD-overlap myositis:SLE, SSc, RA, SjS, MCTDに関連したもの
    • IMNM:PMの基準を満たすが、病理所見にて壊死した筋繊維を認め、炎症性変化を伴わないもの
    • CADM:皮膚生検を含め古典的な皮膚所見を呈し、2年間以上の観察期間において臨床所見・検査所見・病理所見にて筋炎の所見を認めないもの

  • EuroMyositis Registryに参加している国、それぞれの患者数・IIM subtypeは以下の通り



  • 上記のsubtypeの基準にしたがってre-classificationを行なった




結果
  • Demographic & clinical information(table1)
    • コーカサス人が最多(80%)
    • 女性 69%
    • CTD-overlap myositisの中では、SSc関連が最多(39%) 
    • IBMは、他のsubtypeと比較して男性が多い(61%, OR 3.83[95% CI 2.91-5.04])
    • 平均診断時年齢:51才
      • IBM(65才), IMNM(57才)は有意に高齢
    • 発症〜診断までの期間:平均8ヶ月
      • IBMでは有意に長く(41ヶ月)、DM(5ヶ月)ASS(7ヶ月)IMNM(7ヶ月)では有意に短い
    • ヘリオトロープ疹、ゴッドロン丘疹・サイン
      • DM, JDMともに同じ割合
    • ショールサイン、Vサインの頻度
      • DM > JDM:それぞれ45% vs. 15%, 56% vs. 16%
    • Calcinosis
      • JDM > CTD-overlap myositis > 全体:44% vs. 10% vs. 6%
    • ASSの臨床所見
      • 筋力低下:90%
      • ILD:71%
      • Raynaud's phenomenan:51%
      • 関節炎:50%
      • mechanic's hands:38%


環境因子(table2)

  • 喫煙者
    • CTD-overlap myositis > 他のsubtype:45% vs. 36%, p<0.05
  • 環境中の有害物質に暴露したことがある既往
    • IBM > 他のsubtype:28% vs. 16%, p<0.01

※既報にて、喫煙がserotype(特にJo-1抗体 status)とgenotype(HLA-DRB1*03)と関連するという報告ありAnn Rheum Dis 2012;71:961–5.)




疾患の活動性、重症度(table2)
  • 最終観察時のMMT, HAQ-DI
    • IBM:他のsubtypeと比較して有意に不良



筋外病変(table3)
  • ILD
    • 全体:30%
    • ASS > 他のsubtype:71% vs. 19%
    • IBM(3%)、JDM(6%)では少ない
    • 喫煙、環境有害物質暴露の既往が、ILDあり群において有意に多い:それぞれ41% vs. 35%, 22% vs. 14%
  • 心病変
    • 全体:9%
    • CTD-overlap myositis:最多(12%)
      • CTD-overlap myositisの中でも、SSc関連の場合はより頻度が高い(18%)
    • IBM:4%のみ
    • 喫煙者、環境有害物質暴露の既往が、心病変あり群において有意に多い:55% vs. 34%、27% vs. 14%
  • 嚥下障害
    • 全体:39%
    • CTD-overlap myositis:最多(53%)
      • CTD-overlap myositisの中でも、SSc関連の場合はより頻度が高い(67%)
    • IBM:有意に多い(50%)
    • 喫煙者が、嚥下障害あり群において有意に多い:42% vs. 34%
  • 悪性腫瘍
    • 全体:13%
      • その中では、乳がんが最多
    • 悪性腫瘍関連myositis(IIM診断から3年以内に悪性腫瘍を診断された場合)
      • 全体の悪性腫瘍の中で46%
      • DMが多い
      • IIMと悪性腫瘍の診断期間の間隔:平均1ヶ月


      • DM:最多(20%)
      • JDMでは悪性腫瘍併存症例なし
      • 喫煙者が、悪性腫瘍あり群において有意に多い:51% vs. 37%
      • 年齢が高い人が、悪性腫瘍あり群において有意に多い:57才 vs. 48才




    治療

    • ステロイド:98%
    • IVIg:JDM(25%)、IMNM(18%)、IBM(17%)で多い
    • CYC、RTX:ASSで多い(それぞれ39%, 14%)
    • ステロイドsparing agentとして全体で最も使用されていたのは、MTX(71%)
      • ASSでは、AZAとMTXが同じ割合(60%)
    • IBMでは、anakinraの臨床試験をスウェーデンで行なっていたこともあり、other biologicと記載されていた割合が多い(48%)



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