Lilleker JB, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:30–39.
- 最大の特発性炎症性筋疾患(IIM)レジストリーであるEuroMyositisにおけるデータを利用し、IIMにおける臨床所見の特徴を調べた
- 炎症性疾患のreview、2017 ACR & EULAR 分類基準
方法
- 定義
- PM, DM, JDM:Bohan & Peter分類にてprobable or definite
- ASS:anti-synthase antibodyが陽性+典型的な臨床所見のうち1つ以上有する(筋炎、関節炎、間質性肺炎、mechanic's hands、Raynaud's phenomenan、発熱)
- IBM:感度を上げるために、下3つの基準のうち、いずれかを満たすものとした
- the Medical Research Council (Neuromuscul Disord 2010;20:142–7.)
- Griggs RCらの基準 (Ann Neurol 1995;38:705–13. )
- Neuromuscular Centre (ENMC) diagnostic criteria (Royal Society of Medicine Press 1997. 81–4. )
- CTD-overlap myositis:SLE, SSc, RA, SjS, MCTDに関連したもの
- IMNM:PMの基準を満たすが、病理所見にて壊死した筋繊維を認め、炎症性変化を伴わないもの
- CADM:皮膚生検を含め古典的な皮膚所見を呈し、2年間以上の観察期間において臨床所見・検査所見・病理所見にて筋炎の所見を認めないもの
- EuroMyositis Registryに参加している国、それぞれの患者数・IIM subtypeは以下の通り
- 上記のsubtypeの基準にしたがってre-classificationを行なった
結果
- Demographic & clinical information(table1)
- コーカサス人が最多(80%)
- 女性 69%
- CTD-overlap myositisの中では、SSc関連が最多(39%)
- IBMは、他のsubtypeと比較して男性が多い(61%, OR 3.83[95% CI 2.91-5.04])
- 平均診断時年齢:51才
- IBM(65才), IMNM(57才)は有意に高齢
- 発症〜診断までの期間:平均8ヶ月
- IBMでは有意に長く(41ヶ月)、DM(5ヶ月)ASS(7ヶ月)IMNM(7ヶ月)では有意に短い
- ヘリオトロープ疹、ゴッドロン丘疹・サイン
- DM, JDMともに同じ割合
- ショールサイン、Vサインの頻度
- DM > JDM:それぞれ45% vs. 15%, 56% vs. 16%
- Calcinosis
- JDM > CTD-overlap myositis > 全体:44% vs. 10% vs. 6%
- ASSの臨床所見
- 筋力低下:90%
- ILD:71%
- Raynaud's phenomenan:51%
- 関節炎:50%
- mechanic's hands:38%
環境因子(table2)
- 喫煙者
- CTD-overlap myositis > 他のsubtype:45% vs. 36%, p<0.05
- 環境中の有害物質に暴露したことがある既往
- IBM > 他のsubtype:28% vs. 16%, p<0.01
※既報にて、喫煙がserotype(特にJo-1抗体 status)とgenotype(HLA-DRB1*03)と関連するという報告あり(Ann Rheum Dis 2012;71:961–5.)
疾患の活動性、重症度(table2)
- 最終観察時のMMT, HAQ-DI
- IBM:他のsubtypeと比較して有意に不良
筋外病変(table3)
- ILD
- 全体:30%
- ASS > 他のsubtype:71% vs. 19%
- IBM(3%)、JDM(6%)では少ない
- 喫煙、環境有害物質暴露の既往が、ILDあり群において有意に多い:それぞれ41% vs. 35%, 22% vs. 14%
- 心病変
- 全体:9%
- CTD-overlap myositis:最多(12%)
- CTD-overlap myositisの中でも、SSc関連の場合はより頻度が高い(18%)
- IBM:4%のみ
- 喫煙者、環境有害物質暴露の既往が、心病変あり群において有意に多い:55% vs. 34%、27% vs. 14%
- 嚥下障害
- 全体:39%
- CTD-overlap myositis:最多(53%)
- CTD-overlap myositisの中でも、SSc関連の場合はより頻度が高い(67%)
- IBM:有意に多い(50%)
- 喫煙者が、嚥下障害あり群において有意に多い:42% vs. 34%
- 悪性腫瘍
- 全体:13%
- その中では、乳がんが最多
- 悪性腫瘍関連myositis(IIM診断から3年以内に悪性腫瘍を診断された場合)
- 全体の悪性腫瘍の中で46%
- DMが多い
- IIMと悪性腫瘍の診断期間の間隔:平均1ヶ月
- DM:最多(20%)
- JDMでは悪性腫瘍併存症例なし
- 喫煙者が、悪性腫瘍あり群において有意に多い:51% vs. 37%
- 年齢が高い人が、悪性腫瘍あり群において有意に多い:57才 vs. 48才
治療
- ステロイド:98%
- IVIg:JDM(25%)、IMNM(18%)、IBM(17%)で多い
- CYC、RTX:ASSで多い(それぞれ39%, 14%)
- ステロイドsparing agentとして全体で最も使用されていたのは、MTX(71%)
- ASSでは、AZAとMTXが同じ割合(60%)
- IBMでは、anakinraの臨床試験をスウェーデンで行なっていたこともあり、other biologicと記載されていた割合が多い(48%)
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