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2017年10月22日日曜日

csDMARDs抵抗性のPsA患者に対するトファシチニブの有効性:vs. プラセボ(vs. ADA)


n engl j med 377;16 nejm.org October 19, 2017 

本文中の図やグラフは元論文より引用しております。

背景

  • 乾癬性関節炎(PsA)は、乾癬患者のうち、6 - 42% で生じ、末梢性関節炎、腱、靱帯、体軸を病変とする
    • ガイドラインでは、MTXを含むcsDMARDsが第一選択で、それらが不応の場合にはTNF阻害剤、IL-12/23阻害剤、IL-17阻害剤などのbDMARDsもしくはapremilast が推奨されている
  • トファシチニブは経口のJAK阻害薬であり、PsA患者の病態に関与していると思われるcommon gamma chainのようなシグナルに関与する
  • 今回はthe Oral Psoriatic Arthritis Trial (OPAL) phase3試験であり、ADAと比較してTofaの有効性・安全性、構造変化を12ヶ月間の観察期間で調べた

方法

  • 対象
    • 18歳以上
    • 6ヶ月以上前にPsAと診断され、CASPAR基準を満たす
    • 少なくともcsDMARDsに治療抵抗性
    • TNF阻害剤 naive 
  • 試験デザイン
    • 多国間の126施設で実施
    • 2014/1-2015/12
    • 観察期間:12ヶ月間
    • ランダムに割付(2:2:2:1:1)
      • Tofa 5mg 1日2回 
      • Tofa 10mg 1日2回 
      • adalimumab(ADA) 40mg s.c. 2週間毎
      • placebo 3ヶ月間 → Tofa 5mg 1日2回 
      • placebo 3ヶ月間 → Tofa 10mg 1日2回 
    • 全例、試験期間中はcsDMARDsを単剤で維持量で使用
  • primary endpoint
    • 3ヶ月時点でのACR20達成率
    • 3ヶ月時点でのbaselineからのΔHAQ-DI


結果
  • 422人が割り付けられ、373人が治療を完遂(figure1)


  • baseline characteristics(table1)
    • 平均LEI, SJC、MTX使用率:全てADA群で低い傾向
    • ステロイド使用率:Tofa10mgで低い傾向




  • 有効性(table2, figure2)
    • 3ヶ月時点でのACR20達成率
      • Tofa 5mg群:50%
      • Tofa 10mg群:61%
      • ADA群:52%
      • placebo群:33%
        • Tofa群はいずれもplaceboと比較して有意
    • 3ヶ月時点でのbaselineからのΔHAQ-DI
      • Tofa 5mg群:-0.35
      • Tofa 10mg群:-0.40
      • ADA群:-0.38
      • placebo群:-0.18
        • Tofa群はいずれもplaceboと比較して有意
    • 12ヶ月時点でのTofa 5mg群、Tofa 10mg群、ADA群のACR20, ΔHAQ-DIは同等
    • week2時点でTofa群、ADA群はplacebo群と比較して有意にACR20達成率が高い




  • HAQ-DIが臨床的に有意な改善を意味する0.35以上の改善をbaselineから3ヶ月時点で達成できた割合
    • Tofa 5mg群:53%
    • Tofa 10mg群:55%
    • ADA群:51%
    • placebo群:31%


  • 3ヶ月時点でのACR50達成率(table2)
    • Tofa 5mg群:28%
    • Tofa 10mg群:40%
    • ADA群:33%
    • placebo群:10%
      • Tofa群はいずれもplace群と比較して有意
  • 3ヶ月時点でのACR70達成率
    • Tofa 5mg群:17%
    • Tofa 10mg群:14%
    • ADA群:19%
    • placebo群:5%
      • Tofa群はいずれもplace群と比較して有意

  • 3ヶ月時点でのPASI75達成率は、Tofa両群でplacebo群と比較して有意
  • 3ヶ月時点でのLEI、Dactylitis Severity Scoreは、Tofa 10mg群でplacebo群と比較して有意
  • 3ヶ月時点でのFACIT-F, SF-36は、Tofa両群でplacebo群と比較して有意



  • radiographic progressionについて
    • 全ての群でわずかに進行を認めた
    • しかしながら、12ヶ月時点で、全ての群において、radiographic non-progressionの定義であるΔmTSS ≦ 0.5だった割合は91-98%だった

  • 安全性
    • 3ヶ月間における有害事象の頻度
      • Tofa 5mg群:39%
      • Tofa 10mg群:45%
      • ADA群:46%
      • placebo群:35%
    • 3ヶ月間における重度有害事象の頻度
      • Tofa 5mg群:3%
      • Tofa 10mg群:1%
      • ADA群:1%
      • placebo群:1%
    • 12ヶ月間における重度有害事象の頻度(有害事象によって治療を中断した割合)
      • Tofa 5mg群:7%(6%)
      • Tofa 10mg群:4%(3%)
      • ADA群:8%(4%)
    • placebo→Tofa 5mgスイッチ群で4ヶ月時点(変更後1ヶ月)で心血管合併症により死亡
    • 重症感染症は計4例
      • そのうち3例はTofa群
        • インフルエンザ、虫垂炎、肺炎
      • もう1例はADA群
        • 単純ヘルペス、streptococcal pyoderma 
    • 帯状疱疹は4例、全てTofa群
    • 悪性腫瘍は4例(膀胱癌:day1、外陰部癌:day11、浸潤性乳管癌:day232、基底細胞癌:day103)、全てTofa群


    • 最も頻度の多い有害事象は上気道感染症

    • placebo群以外で好中球減少、LDL増加、HDL増加あり
      • 以下はなし
        • リンパ球減少症(0.5×10cells/L)
        • 好中球減少症(1.0×10cells per/L)
        • ΔHb低下 ≧ 0.8g/dL 
    • 正常上限3倍以上のAST増加
      • Tofa群:5例
      • ADA群:3例
    • 正常上限3倍以上のALT増加
      • Tofa群:5例
      • ADA群:9例


まとめ
  • トファシチニブが、csDMARDsに治療抵抗性のPsAに対して、ADAと同等の有効性があることを示した
    • しかしながら、今回の試験ではADAとトファシチニブを比較するようなデザインではなく、そういった解析も行なっていない
  • トファシチニブの有効性は、5mg 1日2回でも10mg 1日2回でも、PsAの末梢性関節炎、皮膚病変、腱付着部炎、指尖炎に対してあまり変わらなかった

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