Gerd R. Burmester,
Johannes W. J. Bijlsma
, Maurizio Cutolo
& Iain B. McInnes.
Nature Reviews Rheumatology 13, 443–448 (2017)
はじめに
- リウマチ膠原病疾患は、T2Tの概念によって、非常に予後が改善された
- RA, PsA, AS, GPA, SLEなど。
- しかしながら、SSc, OA, 線維筋痛症などは有効な薬剤が未だ少ない
- 今回は、これまでのリウマチ膠原病疾患の治療の歴史を振り返る
治療
<糖質コルチコイド>
- 初めてRAに使用されたのは1948年であり、ブレークスルーを起こした
- その2年後にノーベル賞を受賞
- SLEの予後改善など、大きく治療に貢献した
- しかしながら、様々な副作用もある
<SSZ>
- 1942年にsulfapyridineと5-amino salicylic acidを含むものとして開発
- スルフォンアミドが抗菌作用、サリチル酸が鎮痛作用を有すると言われている
- 現在は3剤併用療法(MTX, HCQとともに)に特に使用されるが、最も頻用されるのは脊椎関節炎の末梢関節病変だろう
<MTX>
- 1946年に初めてRAに使用された
- 1980年代にはPsAにも使用し、皮膚病変によく効いた
- 現在は、ステロイドどともにRAのアンカードラッグとも言われている
- RA以外にも、多くのリウマチ膠原病疾患において、ステロイド減量効果を有する免疫抑制剤として使用されている
- MTXが使用できるまでは、金製剤、SSZが唯一使用可能なcsDMARDsだった
- その次に、LEFがMTX不応もしくは禁忌症例に使用されるようになった
- この時代の治療は、治療の選択肢が少なく、薬剤の使用量も副作用なくすることが第一であったため、有効な治療ができなかった
- そのため、副作用を増やすことなく有効性を上げるために、csDMARDsの併用が用いられるようになった
- また、これらの治療で早期治療介入することで、大きく予後改善をもたらすことができるようになった
<生物学的製剤>
- 生物学的製剤によって、さらに大きくリウマチ膠原病疾患治療が発展した
- TNFが治療ターゲットとして特定され、TNF阻害薬が開発された
- さらにその後、TNF阻害薬は脊椎関節炎、乾癬、若年性特発性関節炎にも使用されるようになった
- TNF阻害薬以外に、他の治療標的(IL-1, IL-6, IL-17, IL-12/23、B細胞、共刺激分子など)の阻害薬もリウマチ膠原病疾患に対して有効であることが判明してきた
- これらの市場は1990年代には存在しなかったが、今や世界で€100 billion/年を超える市場に成長した
- ここ数年で、JAK経路も治療標的とされ、RAに対して複数のRCTが組まれ、有効性や安全性が確認された
- トファシチニブ、バリシチニブがRAに対してすでに承認されている
<外科的治療>
- 関節置換術はOAに対してよく行われる手術である
- RAに対しては薬物治療が発展し、頻度が減ってきた
診断
<リウマチ因子、ACPA>
- 1949年、H.M.Roseがリウマチ因子を報告した
- しかしながら、1937年にErik Waalerによって最初に報告されていた
- リウマチ因子は、当初、羊の赤血球を使用して検査していたが、今は様々なグロブリンの愛想タイプを特定できる比濁分析法やELISAを利用している
- 1964年には、Nienhuisらが、舌下の粘膜細胞にあるケラトヒアリン顆粒を認識する特異的な抗体であるanti-perinuclear factor (APF) を報告した
- 15年後に、RAに特異的で、食道粘膜のケラチンや毛嚢に反応する、抗ケラチン抗体(AKA)を発見した
- 1993年にフィラグリンが RA患者の血清で発見され、APFやAKAは(pro)フィラグリンに反応することが判明し、改めて抗フィラグリン抗体と呼ばれるようになった
- ブレークスルーだったのは、peptidyl-arginine deiminaseの発見であった
- これはフィラグリンやビメンチンなどを含む分子のシトルリン化に関わっており、シトルリン化されたそれらは自己免疫原性を有するようになる。これがいわゆるanti-citrullinated protein antibodies (ACPAs)である
- これにより、CCP抗体などの新しい検査の開発に繋がった
- その後わかったこととして、カルバミル化やアセチル化などもRAの自己免疫原性をもたらし、RA発症に関わっていると言われている
<抗核抗体、ANCA>
- Hargravesらによって1948年に発見されたLE細胞は、SLEの診断に関して重要な発見だった
- Miescherは、ヒト白血球に対する免疫をつけたウサギの血清がLE細胞を産生し、子牛の胸腺細胞由来の核がLE細胞現象を消失させることを発見した
- この"LE因子"を、抗核抗体と呼んだ。その後、DNAが抗原であること特定した。
- ANCAは、1985年にvan der Woudeらによって発見され、血管炎の診断に大きく貢献した
<自己抗体以外>
- ASに対して、HLA-B27が関与していることは1973年に発見されて以来、リウマチ疾患に関する遺伝的研究が進んだ
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