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2017年9月3日日曜日

HCV-CGに対するRTXとConventional therapy(AZA, PSL, CYC)との比較

・多施設ランダム化比較試験、phase Ⅲ
・非盲検化
・対象
  • 18-80歳 
  • HIV陰性、HBV陰性 
  • HCV関連と非関連両方とも含む 
  • HCV関連ではウイルス治療に失敗・耐えられなかった・禁忌の人
  • 重症CG血管炎症状あり(皮膚潰瘍、急性腎炎、末梢神経障害)
  • CG Ⅱ型

・除外
  • 生存率に関して中等度以上のリスクがある活動性CG血管炎
  • RPGN、AKI患者
  • 活動性感染症 or 悪性腫瘍の既往(B細胞性リンパ腫を除く)
  • アルコール依存症 or 薬物中毒者
  • Cr > 4 mg/dl
  • AST or ALT > 3 ULN
  • Hb < 8 g/dl
  • Neu < 1000 or WBC < 1500, Plt < 40000
  • モノクローナル抗体に対して過敏症の既往
  • 妊婦
  • 以前にRTX治療歴あり
  • 高用量PSL治療、血漿交換療法、CYC, AZAにて治療失敗歴あり

・治療
  • RTX群:1g iv, day 0 & 14 (前投薬:mPSL100mg, AAP 1000mg,  10mg クロルフェニラミン)。併用薬はPSLのみで、これまで使用していた場合は継続 or さらに少量で、RTX投与時から導入する場合は PSL < 0.1mg/kg/dayと少量で開始。治療中に再燃してRTXに導入療法で効果あった場合には同じregimenでRTX再投与。
  • non-RTX群(conventional treatment群):PSL(最大1mg/kg/day ± パルス), AZA(1-2mg/kg/day ± PSL単剤の場合と同じregimen), CYC(1-2mg/kg/day ± PSL単剤の場合と同じregimen), 血漿交換(± PSL単剤の場合と同じregimen)から選択。AZA,  CYC, 血漿交換は効果あれば開始後6ヶ月で中止、再燃した場合に再開。治療失敗時はRTXへ変更可能(open-label)

・L/D評価項目
  • 一般的項目+RF, C3, C4, 免疫電気泳動、IgG/M/A, B cell数

・Primary Endpoint:12ヶ月後の治療継続率

・Secondary Endpoint
  • 6ヶ月、24ヶ月時点での治療継続率
  • RTXでのBVAS変化
  • conventional treatment群で治療失敗した人たちのRTX有効性
  • RTX効果発現までの期間
  • 副作用発現率

<結果>
・Characteristics
  • 46人女性、11人男性
  • 平均年齢65歳
  • 93%HCV-Ab & HCV-RNA (+)
  • 2群間で上記に関して有意差なし
  • 半数程度でHCV治療失敗 or 耐用性なし or 禁忌の既往
  • non RTX群の内訳:PSL 17人(58.9%), CYC 4人(13.8%), AZA 3人(10.3%)、PE 5(17.2%)
  • RTX群の治療開始時ステロイド:7 ± 6 mg/day (v.s. non RTX群:19.5 ± 16.3 mg/day)




・Primary Endpoint(12ヶ月時点での治療継続率)
  • RTX群 v.s. non-RTX group = 64.3% v.s. 3.5% (difference of 60.8% [95% CI 43.5–63.9]; P <0.0001)

・Secondary Endpoint
  • 24ヶ月時点での治療継続率:RTX群 v.s. non-RTX group = 60.7%v.s. 3.5% (difference of 57.3% [95% CI 38.1–76.5];P < 0.0001 by chi-square test)
  • 治療継続率に関して影響していたのはRTXかnon RTXかの選択のみ有意差あり(Table 2)


・24ヶ月までに治療を中止した理由
<non RTX群>
  • 治療反応性が不良 or 標的臓器の病勢悪化:86.2%
  • 副作用発現:10.3%
<RTX群>
  • 治療反応性が不良 or 標的臓器の病勢悪化:14.3%
  • 副作用発現:14.3%
  • 3人はフォローからロスト

  • 6ヶ月時点での治療継続率:RTX群 v.s. non-RTX group = 71.4%v.s. 3.5% (difference of 67.9% [95% CI 50.1–86.1];P < 0.0001 by chi-square test)
  • 3ヶ月時点での治療継続率(副作用 or 初期反応不良で治療脱落したかどうかの指標):RTX群 v.s. non-RTX group = 92.9% v.s. 13.8%  (difference of 79.1% [95% CI 63.3–94.8]; P <0.0001 by chi-square test)
  • RTX群では早期に治療効果が発現していたのが特徴的(Table3)
  • BVASもRTX群では開始後2ヶ月時点で改善しており、24ヶ月まで効果は持続した:平均 9.6 ± 3.6 in non-RTX群 v.s. 11.9 ± 5.4 in the RTX群 ;P 0.06) →2ヶ月後→  9.6 ± 4.5 in the non-RTX群 v.s. 7.1 ± 5.7 in the RTX群; P 0.076)

<臓器別>
  • 糸球体腎炎:6ヶ月時点で、7人のRTX投与患者のうち、2人は寛解、2人は部分寛解、3人は治療失敗であった。治療効果良好であった4人は24ヶ月時点で3人は完全寛解、1人は部分寛解で2回目のRTX投与を行なった。
  • 皮膚潰瘍:6ヶ月時点で、5人のRTX投与患者のうち、4人は寛解、1人は部分寛解であった。24ヶ月時点までこれに関しては変化なく、2回目のRTXは不要であった。non RTX群では1人のみ寛解を24ヶ月まで維持した。
  • 末梢神経障害:6ヶ月時点で、16人のRTX投与患者のうち、2人は寛解、9人は部分寛解であった。12ヶ月時点で、1人は寛解、6人は部分寛解であった。24ヶ月時点で、1人は寛解、7人は部分寛解であった。11人のRTX反応患者のうち6ヶ月時点で効果が消失したと思われる6人は2回目のRTX投与を行なった。



・non RTX群で効果不良であった23人にRTXを投与した結果、6ヶ月時点で14人(60.9%)がRTX治療に良好であった(皮膚潰瘍 2/2人、糸球体腎炎 6/8人、末梢神経障害 6/13人)。
・RTXの効果持続期間RTX群 18ヶ月、non RTXからRTXへのスイッチ群 12ヶ月
・RTX治療後の再燃のリスクは、non RTXからRTXへのスイッチ群のほうが初期からRTXを使用していた場合よりも高かった (hazard ratio 3.36 [95% CI 1.21–9.32]; P 0.02)
2回目のRTX投与が有効であったのは11/15人(73.3%)であり、初期からRTX使用群とnon RTXからRTXへのスイッチ群で有意差はなかった 

<副作用>
  • 肝酵素の上昇は、2年間の間、RTX群で認めなかったHCV-RNAは評価されていない
  • 心血管イベント:3人 RTX群、2人 non RTXからRTXへのスイッチ群。そのうち1人はRTX投与に伴う低血圧で発症、他はRTX投与後30日以内に発症。
  • RTX群で重症感染症 or 低ガンマグロブリン血症を起こしたのは以前に大量PSL治療を行われた既往のある患者のみ

・L/D推移
  • B cell数:1ヶ月時点で、リンパ球数のうちB cell分画 < 1%がRTX投与群全てで認めた。6ヶ月時点でも84.3%が持続
  • RF:6ヶ月時点で、RTX投与群では低下(286.14 ± 67.81 IU/ml → 122.31 ± 43.03 IU/ml; P 0.0003)
  • C4:6ヶ月時点で、RTX投与群で増加(5.93 ± 1.45 → 11.58 ± 1.80 mg/dl; P 0.0001)
  • 再燃した時点で、再燃群と非再燃群でRFとC4の値に有意差はなかった

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