ARTHRITIS & RHEUMATOLOGY Vol. 69, No. 9, September 2017, pp 1707–1709
- アメリカのデータベース(Arthritis Rheumatol 2017;69:1823–31.)
- 66000人、18〜65歳
- 42% black, 38% white, 16% Hispanic, 3% Asian, 1% American Indian/Alaska Native
- "Hipanic and Asian paradox”:ヒスパニックとアジア人のSLE患者は心筋梗塞は少ないが、黒人とヒスパニックでは脳梗塞は頻度が高い。これは遺伝的に動脈硬化が少ない、環境、文化、経済、社会精神など多因子が関係している
- カナダのデータベース(J Rheumatol 2009;36:1200–8.)
- 1000人
- アメリカと同じで、アジア人は脳梗塞と心筋梗塞は少ないがコーカサス人は心筋梗塞が多い
- アボリジニは脳梗塞とAPSが多い
- 低い収入が多数の障害と健康に関係している(Clin Med Insights Arthritis Musculoskelet Disord 2009;2:1–8.)
- これがSLEの予後にも関係している
- ケアへの障害が最も大きいのがアジア人とアボリジニ
- 発症年齢も民族間で違いがある
- アジア人はコーカサス人よりも8歳発症年齢が若い
- 発症年齢が若いと、発症してからの期間での死亡率は低くなる。アジア人の死亡率が低いのは発症年齢が低いからかもしれない。
- アジア人
- 疾患活動性が高い
- しかし、それによる臓器障害はコーカサス人より少なく、SLICC damage index=SDIは低い (mean SDI:アジア人 1.0, コーカサス人 1.5, アボリジニ 1.3, 黒人 1.7)
- no damageの割合もアジア人が多い(59%, vs. 42% コーカサス人)(J Rheumatol 2009;36:1200–8.、J Rheumatol 2010;37:38–44.)
- アボリジニ、黒人、コーカサス人よりも腎症の頻度が高いが、ESRDまでいたることはアボリジニや黒人より少なく、コーカサス人と同等。
- 死亡率と逆相関のあるCharlson Comorbidity Indexは、アジア人が最も低く、予後も良いと推測される
- 黒人、アボリジニ、アジア人では、コーカサス人よりも、自己抗体(ds-DNA, Sm, RNP, リン脂質抗体)陽性となることが多い。SS-A/Bは同じ。
- LAはアボリジニが高くなる傾向にある
- 腎症がある人はない人よりもds-DNA, Sm, RNP抗体陽性率が高い
- ヒスパニックというのはheterogeneousな集団なので、"a person of Cuban, Mexican, Puerto Rican, South or Central American, or other Spanish culture or origin regardless of race”というほうがよいかも
- 民族間によって腎症が起きやすかったり臓器障害が出やすかったりするのは、それらが異なる遺伝子が関わっているからかも
- 上記のデータベースの解釈には、SLEと正しく分類できていない可能性、喫煙など他のバイアス(皮膚病編は喫煙で増悪する)、疾患活動性に関係するデータの欠損、それぞれの民族間の経済・教育面での違いも考慮する必要がある
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