Ordi-Ros J, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1575–1582.
- 背景
- SLEにおいて、腎症はよく注目されるが、腎症以外に関してはあまり分析されていない
- 腎症以外の初期治療はPSL、抗マラリア薬が中心であり、それらで抑えられない疾患活動性もしくはsteroid sparing agentとして免疫抑制剤が使用される
- AZAは妊娠中も使えるという安全性から広く用いられている免疫抑制剤である
- enteric-coated mycophenolate sodium (EC-MPS)はMMFと同じ作用だが消化器症状が少ない
- 限られたデータとして、open-labelでRCTよりもエビデンスの低い研究で、再燃したSLEに対してMMFが CYCよりも腎症以外の臓器病変に対して有効であった報告はあった(特に皮膚、血液に対して)(Lupus 2011;20:1484–93.、Clin Exp Nephrol 2016;20:628–36.、an observational cohort study. J Rheumatol2016;43:552–8.)
- しかしこれらの研究はLNのためにデザインされた研究であるため、high dose PSLを使用しており、BILAG indexもprimary outcomeとなっていない
- 今回の研究は、EC-MPSの腎症以外のSLE臓器病変に対する有効性を調べるためにazathioprine (AZA)と比較した24ヶ月間のものである
- 方法
- スペイン、12個の病院、2010/5-2016/1
- EC-MPSとAZAに1:1でランダム化
- EC-MPS:target dose: 1440mg/day
- AZA:target dose: 2mg/kg
- 上記の目標量に副作用で達しない or 50kg以下の場合は、最小量として最初の6ヶ月間はEC-MPS 720mg/AZA 50mgとした
- 最初の24週間=6ヶ月のあとに病勢に応じて減量することは自由とした
- PSL、抗マラリア薬:継続、用量は制限なし
- 評価時期:3ヶ月、24ヶ月
- Primary Outcome:3ヶ月、24ヶ月時点で8週間以上続くCR
- CR定義:clinical SLEDAI=0(serological SLEDAIは4まで許容)& BILAG A, B, Cはいずれもなし
- Secondary Outcome:CRとPR全ての割合、治療失敗率、CRまでの時間、SLE再燃率、再燃までの時間、SLEDAIとBILAGの変化量、PSL用量、血清学的活動性(ds-DNA & C3)
- PR定義:ΔSLEDAI reduction ≧ 50% & BILAG Cもしくは改善(BILAG A, Bなし)
- 再燃の定義:new BILAG A or Bがいずれかの臓器で出現
- BILAGスコアは数値に置き換えた(A=12, B=3, C=1,D=0, E=0)
- ITT解析
- 結果
- 240人、2010/5-2013/12
- EC-MPSとAZAの平均用量(SD)はそれぞれ1.18 (0.29) g、123.2 (22) mg
- CRに達した割合はEC-MPS群のほうが高かった
- 3ヶ月時点:32.5% vs 19.2%; treatment difference,13.3 (CI 2.3 to 24), p=0.034
- 24ヶ月時点:71.2% vs 48.3%; treatment difference, 22.9 (CI 10.4 to 34.4), p<0.001
- CRに達するまでの時間もEC-MPS群のほうが早かった(HR 1.43; 95% CI 1.07 to 1.91; p=0.017)
- BILAG A/B もしくは Bの再燃率はAZAのほうが多かった
- BILAG A/Bの再燃:71.7% vs 50%,p=0.001
- BILAG Bの再燃: 21.67% vs 8.3%, p=0.004
- BILAG A/B もしくは Aの再燃までの時間はEC-MPS群のほうが優れていた
- BILAG A/Bの再燃:HR 1.81; 95% CI 1.3 to 2.56; p=0.0004
- BILAG Aの再燃:HR 2.84; 95% CI 1.37 to 5.89; p=0.003
- 副作用は汎血球減少はAZAのほうが多かったが、それ以外は同等であった
まとめ
- EC-MPSが、AZAと比較して、LN以外の中等度以上の活動性を持つSLE臓器病変に対して、寛解達成率・寛解維持率が優れていることを示した
- 多くの患者が24ヶ月間の治療を継続できた
- CYCと比較してどうかは不明
- 個々の臓器に対する有効性に関しては、統計学的に十分なサンプルサイズではないが、似たような有効性であった
- limitation
- コーカサス人は多い
- open-label試験である
- それぞれの薬剤の血中濃度を測定していないので、治療失敗した人がアドヒアランスの影響である可能性もある
- PSLの用量が自由であったので、SLE活動性にそれが影響を及ぼした可能性あり
- さらなる長期的な予後はわからない
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