- 妊娠予後には、aCLよりも、LACと抗β2GPI抗体のほうがより関係している(LACがリスク最大)
- 3種類全て陽性だと最も臨床的に有意( Autoimmun Rev 2013;12:832–4.)
- miscarriage(10週未満の流産)への関与に関しては、研究不足、sPL陽性基準の多様性、アッセイの非標準化、他の要因の除外不足などで未だ示されていない。最近の研究ではmiscarriageを生じた女性でaPL抗高価の頻度が多くなかったという報告もある( J Reprod Immunol 2015;107:59–63.)
- APS妊婦に対する血栓症治療は注目されているが十分な効果は出ていない
- 現在、APS妊婦は>80%出産できているが、ヘパリン・少量アスピリンを使用しても、18-40%で妊娠高血圧腎症、5-15%でIUGRのリスクがある。早産も多い。(New York: Springer; 2014. p. 109–37.)
- 胎盤外の臓器でも、血栓症が多い。これには炎症も関与していると考えられている
- aPLが胎盤に対して致命的な作用を起こしていることは明確であるものの、病理学的な面で胎盤の異常発育をどのように生じているかはまだ不明。LACに関しては、最大のリスクであるが、何に対して反応しているのか不明。
- 妊娠していない女性の子宮では、壁に豊富な平滑筋を含む螺旋動脈が脱落膜の静脈と結合している(A)
- 妊娠first trimesterでは、extravillous trophoblasts(EVTs)が胎盤内の螺旋動脈に侵入し平滑筋と置き換わっていく(B)。この時、侵入したtrophoblastは緩く結合するプラグを血管内に形成し、血液の流れを妨げるが血漿を通過させることになる。それによってaPLがsyncytiotrophoblastに通じcytotrophoblastsの侵入させることになる
- 正常妊娠では子宮筋の1/3の深さまでtrophoblastが平滑筋に置き換わる(C)
- しかし、妊娠中期になっても上記の置換が十分でない場合には、血液の流れが滞り、娠高血圧腎症やSGA児の原因になる(D)
- 置換がより不十分だと、胎盤のダメージがより深刻になる(E)
- 組織検体
- dot lineで囲まれた部位が螺旋動脈であり、胎盤(黒矢印)からきたtrophoblastによってプラグが形成されている(緑矢印)
- 胎盤を形成し母体血液内に浮遊している絨毛は完全にsyncytiotrophoblastによって覆われている
- 最近の研究では、sPLによって特徴付けられた検体の特徴は下記5つ
- 胎盤の梗塞
- 螺旋動脈のリモデリングの障害
- 絨毛膜の炎症
- syncytial knotsの増加
- vasculosyncytial membranesの減少
- sPLのtrophoblastに対する作用(下図)
- aPLはtrophoblastと絨毛膜内皮細胞に常に発現しているβ2GPIのdomain Ⅴという分子を認識して結合し、trophoblastの増殖・移動を阻害し、trophoblasの作用を阻害する。それによる胎盤の虚血によって強力な血管新生抑制作用のあるsoluble Flt-1(=soluble VEGFとして知られている), soluble endoglinが産生される(A)
- LDLR familyであるapolipoprotein E receptor 2(ApoER2、LDLR-related protein 8として知られる)を介して細胞増殖や細胞移動を阻害する。(B)
- β2GPIとTLR-4が分子相同性を有していることより、TLR-4とそのadapter proteinであるmyeloid differentiation factor 88(MyD88)を活性化し、MyD88の下流であるNLRP3 inflammasomeを活性化して、IL-1βを産生する。IL-8はTLR-4, 8によって誘導される(C)
- ROS, TNF, soluble Flt-1, TFによって細胞表面で補体を活性化させpolymorphonuclear neutrophil(PMN)やmonocyteの活性化を誘導する(D)
- Low-density lipoprotein receptor(LDLR)family members を介してミトコンドリアの代謝を阻害したり障害性の物質を放出する
- 新規治療のターゲットは以下
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