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2017年9月1日金曜日

MRIとsacroiliac jointの病変について

Diekhoff T, et al. Ann Rheum Dis 2017;76:1502–1508.
the sacroiliac joint MRI and CT study SacroIliac MAgneticresonance Computed Tomograph (SIMACT)
  • 背景
    • axSpAの仙腸関節病変に対してX線はよく利用されるが、なかなか読影が難しい
    • MRIが最近はよく使われるようになった。特に脂肪抑制T2強調画像(STIRなど)は炎症病変を描出するのに有用である。
    • しかしながら、T1強調画像はerosion, sclerosis, joint free space, 脂肪沈着病変に適しているかどうかはまだ議論の余地が残されていた
    • CTは仙腸関節の病変描出に有用だが、放射線被曝の面がありgold standardとしては確立していない
    • T1強調画像はX線と比較して有効なのか?
  • 方法
    • Low dose CTをstandard
    • 慢性の原因不明の腰痛として脊椎関節炎疑いでリウマチ科を2012年9月-2014年1月に受診した110人の患者を対象
    • 平均年齢36.1歳、52%男性・48%女性、体軸性関節炎53%(21% non-radiographic axSpA, 32% radiographic axSpA)・non-SpA 47%
    • Erosion, sclerosis, joint free space、全体の印象を評価。スコアリングは筆者らが以前に行った研究で用いた下表の通りスコアリング。


    • MRI評価に関して、24カ所に部位を分けた。前面は仙骨神経孔より前(S2の周囲180度未満が見えるあたり)を8ヶ所に、中面は両側仙腸関節の中心を前側仙骨神経孔が見えるところで8カ所に、後面は仙腸関節の腱付着部を中心において仙腸関節の背側・尾側もみるようにした。このスコアリングシステムでは仙腸関節が斜め向きにみえてしまうことはなることは避けられない。
    • 上記スコアリングシステム項目にて2点以上をpositiveと定義した
  • CTでの陽性は、erosionもしくはjoint space scoreが2点以上とした。これは修正New York基準に基づいている。sclerosisはOAや骨炎でも認められるような非特異的な所見であるため、CTでは評価しなかった。

  • 結果
    • 58/110人が最終的にaxSpAと診断された(平均年齢34.8歳、HLA-B27陽性46人、onsetからの期間は平均で94ヶ月、35人はnr-SpA)。他は硬化性骨炎、OAなどと診断された。
    • T1強調画像はX線と比較して感度の面でerosions (79% vs 42%; p=0.002), jointspace changes (75% vs 41%; p=0.002),  overall positivity (85% vs 48%; p=0.001)が優れていた
    • 特異度の面ではX線と同等であった
    • sclerosisに関しては感度はX線の方が優れていたが、統計学的有意差は出なかった(30% vs 70%, p=0.663)
X線s. CT


 MRI vs. CT

  • CTをstandardとした場合の、感度・特異度についてMRI vs. X線で比較
    • 感度は、"sclerosisを除いて”、MRIが優れていた
    • 特異度はほぼ同等、わずかにX線が低い程度

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