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2018年4月15日日曜日

膠原病疾患における、ST合剤によるPCP予防の有用性

Park JW, et al. Ann Rheum Dis 2018;77:644–649.

背景

  • PCPは、HIV患者においては、HIVに対する治療とPCP予防法の進歩によって、PCP発症は減少した
    • しかし、non-HIV患者では未だ、肺炎の主要な起因菌であり、PCPを発症するとHIV患者よりも重症となりやすく死亡率も高い
  • non-HIV患者のPCP発症リスクで特に重要なのは、ステロイドである
    • 造血器悪性腫瘍、固形臓器悪性腫瘍、膠原病疾患において、高用量ステロイドを長期間使用することは、PCP発症の有意なリスクとなる
    • しかし、non-HIV患者における発症率や予防のrisk-benefitのバランスが明らかでないため、まだその予防法については確立したものはない

方法
  • 解析対象
    • ソウル国立大学病院に通院している膠原病患者
    • 期間:2004/1-2015/12
    • 連続して4週間以上、高用量ステロイドを投与された患者
      • PSL ≧ 30 mg/day
  • 除外
    • PCP既往あり
    • HIV患者
    • 現在、悪性腫瘍に罹患している
    • 固形臓器移植患者
    • 18才未満
  • PCPに対する予防介入をしているか否かで、2群に層別化
    • 予防群
    • コントロール群
  • baselineは、PCP予防を開始した時点(予防群)、高用量ステロイド開始した時点(コントロール群)
    • 観察期間:baselineより1年間
      • 既報にて、多くのPCPは最初の1年に発症するため
  • primary outcome
    • 観察期間におけるPCP発症率
  • PCP診断方法(以下の2つを満たす)
    • 喀痰もしくはBALで、PCRもしくは直接免疫蛍光染色で陽性
    • 臨床所見がPCPに合致する(発熱、急性呼吸困難、画像所見)



  • PCP予防方法
    • TMP-SMX 2錠 週3回 or 1錠 毎日
      • 腎機能低下あればそれに合わせて調整
      • 今回の解析対象となった症例に、ダプソン、アトバコン、ペンタミジン吸入で代替した症例はなし
    • 予防を行うか否か、予防期間は主治医に一任
      • 多くは、高用量ステロイドを開始した日から予防も開始
      • 予防終了した時点は、ステロイドの用量がPSL換算で以下の割合
        • 30mg:13.6%
        • 25mg:2.3%
        • 20 mg:10.1%
        • 15 mg:20.6%
        • 15 mg未満:44.0% 

  • 統計
    • characteristicsに両群で違いがあったので、propensity scoreで以下でマッチング
      • 年齢
      • baselineからその前6ヶ月間のステロイド積算量
      • 免疫抑制剤併用の有無(CYC, ステロイドパルス)
      • リンパ球減少(< 800/uL)
      • PCP予防が一般的に必要と考えられる併存疾患の有無
    • 同一患者で、1年間以上間隔が空いて、もう一度高用量ステロイドで治療した場合は、別のエピソードとして解析

結果
  • 1092人の症例で、計1522回の高用量ステロイド治療歴があった
    • そのうち、262回でTMP-SMXによる予防あり
      • 予防期間:平均 237日
      • 予防量:大半(95.8%)が 1錠 毎日
      • 9例(急性腎障害:4例、白血球減少:3例、妊娠:2例)が、高用量ステロイドを開始してから1ヶ月以上経過してから予防開始
  • baseline characteristics(table1)
    • 予防群のほうが
      • 高齢
      • リンパ球減少が多い
      • 免疫抑制剤の併用が多い
      • PCPの発症リスクが高い疾患(GPA, MPA, DM)が多い
      • ステロイド積算量が多い



  • PSでマッチングしたものがtable2
    • 有意な背景の差なし

  • PCP発症率
    • 全体
      • 1474.4人年の間に、30症例(30 PCP cases)が発症
        • そのうち、予防群で発症したのは 1例 のみ
          • さらに、この予防群で発症した症例では、副作用のため、途中でTMP-SMXを中止していた
    • コントロール群(予防なし)
      • 2.37 (1.59 – 3.41)/100 人年
    • 背景疾患別
      • GPA and MPA
        • 12.14 (3.94 - 28.33)/100人年
      • SSc
        • 10.88 (2.24 - 31.80)/100人年
      • DM
        • 3.11 (0.64 - 9.07) /100人年
      • SLE
        • 2.42 (1.36 - 4.00) /100人年
  • 発症までの期間
    • 平均 3.4ヶ月
      • 最短:0.9ヶ月
      • 最長:10.8ヶ月
    • 90%は、最初の6ヶ月間に発症 
  • PCP発症時のステロイド量(PSL換算)
    • 平均 31.3mg
      • 最小:5mg
      • 最大:80mg
    • 50%は、30mg/day以上で発症
      • 15 - 30mg:12例
      • 15mg未満:3例
  • PCP発症した症例の経過
    • 人工呼吸器を使用:16例(53.3%)
    • PCP関連死亡:11例(36.7%)
      • PCP関連死亡例は、全てコントロール群

  • 初期ステロイド用量が多いほど、PCP発症率が高い

  • TMP-SMX予防の有効性(PS:table 3、全体:table 4)
    • PCP発症率は有意に低下
      • HR = 0.07 (95%CI 0.01 - 0.54) 




  • TMP-SMXによる有害事象
    • 21.2/100人年
    • 多くが中等症以下
    • 2例、重症の有害事象があったが、中止後に改善 



  • TMP-SMXのリスクベネフィット
    • NN Harm:131
    • NN Treat:52
  • PSL ≧ 60 mg/day とそれ以外で分けると、前者では、NNT 32, 後者では NNT 215だった


まとめ
  • 今回の試験は、膠原病疾患に関連したPCP予防の報告の中では、最大規模である
  • コントロール群における発症率(2.37/100 人年)は、既報と同様だった
  • PCP予防としてのTMP-SMXの有用性は、非常に高かった
    • そして、HIV患者と比較して、薬剤関連有害事象は少なかった
    • NNT 52と比較して、重度薬剤関連有害事象のNNH 131であり、リスクよりもベネフィットが上回るといえる
    • そして、初期ステロイドの用量が多いほど、NNTは低かった
  • PCP予防の終了時期は、まだわからない
    • expert opinionでは、CD4 T cell > 200/mm3 を6ヶ月以上維持した後に中止といわれている
    • 今回の結果では、PCP発症症例の90%は、PSL ≧ 15mg/day だったため、15 mg/day未満となった時点が、1つの中止の目安かもしれない 
    • また、今回の解析でも、既報と同様に、15 mg/day未満でPCPを発症した症例では、高齢、CYC併用、リンパ球減少のいずれか1つを有していた
  • limitation
    • 観察研究であり、元の集団は背景因子に差があったため、交絡因子が除外しきれていない
      • これはPSでマッチングすることでなるべく影響を最小限にした
    • PCP発症例が少ないため、正確なリスクベネフィット評価が困難である
    • ランダム化していないので、薬剤有害事象の発症率は両群で比較できない
      • そのため、NNHは予防群でのみ計算した

1 件のコメント:

  1. 過去3年間のHiv病、特に苦痛で食べ難い、咳が悪夢、特に1年目この段階では、免疫系は著しく弱まり、日和見感染症にかかるリスクははるかに大きくなります。ただし、HIV感染者全員がエイズを発症するわけではありません。私は早期死亡を避けるためにARVを服用し始めましたが、いつか癒されると神に信じていました。Hivの特許として、チャンスを減らすために抗レトロウイルス治療を受けることをお勧めします。ウイルスを他の人に感染させることについて、数週間前、漢方薬によるHiv治療に関する情報が得られるかどうかインターネットで検索しました。検索で、Hivから癒された人の証言を見ました。彼女の名前はAchima Abelardでしたそして、他のヘルペスウイルスの特許であるTasha Mooreも、この同じ男性について証言しています。DrItua Herbal Centerと呼ばれます。私は証言に感動し、彼のEmail.drituaherbalcenter@gmail.comで彼に連絡しました。私たちはおしゃべりをして、彼が私に命じた薬草のボトルを私に送った。彼が私に指示したとおりに飲んだ。薬。私は彼に永遠に感謝しています。Drituaherbalcenter。ここで彼の連絡先番号+2348149277967 ...彼は、彼が次の病気を治すことができると確信しています。緑内障、脳腫瘍、乾癬、白内障、黄斑変性、心血管疾患、慢性下痢、肺疾患。前立腺肥大、骨粗鬆症。アルツハイマー病、
    認知症。 、膀胱がん、自閉症、大腸がん、乳がん、腎臓がん、白血病、肺がん、乳がん、非ホジキンリンパ腫、皮膚がん、ループス、子宮がん、前立腺がん、発作、線維筋痛症、ALS、肝炎、Copd、Parkinson病気。遺伝性疾患、線維異形成症、進行性線維異形成症、フルオロキノロン毒性症候群、脳卒中、Hpv、弱い勃起、肝臓/腎臓炎症、男性/女性不妊症、腸疾患、ハンチントン病、糖尿病、子宮筋腫。

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